Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

ウチの社員食堂はなぜ隣の社員食堂よりも高くてマズいか。


 「どうして同じコロッケ定食なのに値段が250円も違うのか(あたまの悪い)俺にわかるように説明しろ」と部長に無理難題を突き付けられました。脳みその溝が少ない部長のために簡単にざずっと考えてみたもののメモです。


 ある日のことです。部長と得意先に赴いた際にそこの社員食堂で昼食をとることになりました。僕が女の子に逆ナンされていると「URYYYYYY!!」と奇っ怪な声がします。食券を買おうとした部長が券売機の前で奇声をあげていました。「どうしてここの定食はこんなに高いんだ!」。


 部長が言うには別の会社の社員食堂(最寄り駅は一緒/徒歩10分)を利用したとき定食は300円。今日は550円。偶然にも同じコロッケ定食(主菜、小鉢、ライス、味噌汁)、それなのに250円の価格差があるのはおかしいというのです。


 確かに近隣の二つのレストランで、同じコロッケ定食が250円差で売られていれば誰でも安いほうの店を選びます。部長のブーイングもわからないこともありませんがここは社員食堂、特有の事情があるのでしょう。簡単に考察してみます。


 先ずは社員食堂と街にある飲食店の違いを販売価格から考えてみます。飲食店は様々なコストがかかります。大まかに列挙すると食材費、人件費、水光熱費、食器テーブル椅子などの設備(補充分含む)、テナント代(家賃)、その他経費(通信費、消耗品費…)などです。これらのコストに利益やフランチャイズ店ならフランチャイズ料(?)を加えたものを販売価格に転嫁するのが街にある飲食店です。


 一方、社員食堂。社員食堂は社員の福利厚生の為の施設です。僕が何人かの取引先の人に聞いたところ「社員食堂では一部の例外を除くと水光熱費やテーブル椅子食器などは会社が負担している」ケースが多いようです。社員食堂の価格が街の飲食店より比較的安価なのは会社が食堂にかかる経費の一部を負担しているからなのです。


 それでは社員食堂同士でコロッケ定食の価格が異なるのはどうしてでしょう?端的にいえばコロッケ定食の価格差はその会社会社の福利厚生に対する考えかたの相違です。ここでコロッケ定食の食材原価をアバウトに算出してみます。コロッケが一個40円前後で二個付けで80円、メンチカツが40円前後、付け合わせのポテトサラダ、フルーツ、キャベツを入れても主菜は180円前後あるいはもっと低いかもしれません。ライス45円、味噌汁25円、小鉢30円を足しても280円前後消費税を足して「コロッケ定食の食材原価は300円程度」だと推測されます。


 つまりコロッケ定食が300円の会社とは「食堂利用者が食材原価のみを負担している」ことになります。いいかえれば先ほど挙げた会社が負担しているもの(水光熱費や設備・食器etc)に加えて労務費をはじめとした食材原価以外のコストを会社が負担して食堂業者に支払っているとおもわれます。


 コロッケ定食が550円の会社は、食材原価以外のコストの全部ないしは一部を販売価格に乗せていることになります。つまり販売価格の550円から食材原価300円を引いた250円は社員食堂を運営する際にかかる費用(労務費等)に充てられるのです。つまりコロッケ定食が550円の会社とは「食堂利用者が食材原価に加えて食堂にかかるコストその他を負担している」ことになります。


 社員食堂という側面だけをみれば、コロッケ定食が300円の会社の方が550円の会社よりも福利厚生が充実しているということになります。このような理由で食材原価が同じ300円のコロッケ定食であっても販売価格が大きく異なってくるのです。


 社員食堂の価格は食堂が単独で設定したのではなく、委託契約(覚書)によって決められているので部長のように社員食堂の人に言いがかりをつけるのはナンセンスです。意見を言うのであればそれは社員食堂を管轄する立場の人に向けられなければあまり意味がないということです。


 僕は仕事柄、社員食堂の業者の人と話をする機会が多いのですが販売価格を自由に設定できないため(社員食堂で800円の定食は出せないらしい)利益を確保するのが難しいようです。その代わり一般の飲食店に比べて店舗や設備や水光熱費などを負担することは滅多にないうえ一定数の客が確保できるのでリスクが少ないとも話していました。ローリスクローリターンの典型のようです。社員食堂の価格の違いの原因はこんなところじゃないでしょうか。


 ただ、福利厚生であるならば社員食堂を利用する人に対して、「なぜコロッケ定食が300円なのか」「どうしてコロッケ定食が550円になってしまうのか」というなんらかの説明があってもおかしくない気が僕はします。付け加えるなら社員食堂は毎日利用するものなので味や盛り付けについて意見があるならば積極的に社員食堂のおばちゃんにでもしていったほうがいいでしょう。客商売でレスポンスがなくなるというのは致命的だからです。


 結局、部長は結局200円のミニカレーの食券を買って「大盛りにしてくれ」と執拗に頼んで食堂のおばちゃんから「お客さん普通のカレー買いなさい」とたしなめられて退散し若干増量されたミニカレーを食べながら「奴らわかってねぇ」とブチ切れていました。本当に迷惑な人です。こんな部長と接しているので毎晩僕は飲み屋に行って「酒!飲まずにはいられないッ!」と叫ばずにいられないのです。なんだかよくわからないメモは以上です。