Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

松崎行き


 朝、目が覚めると綾瀬はるかのことが好きになっていた。好きで、好きで、身が張り裂けてしまいそうで、あのツンとアゴのでた表情や豊満な乳房を想うだけで苦しくて、苦しくて。ああ、もうこれは、俺がお前で、お前が俺で、てな調子で僕自身が彼女と同化しないと駄目だなこりゃ、と思ったりもしたけれど、それは到底実現不可能で。申し訳ないことに、僕は一方的な愛を放出しているわりに、彼女の出演作はCM以外はほとんど見たことがなくて。あの、セーラー姿が眩しい「世界の中心で、愛をさけぶ」のドラマだって、共演の、緒形拳の息子が嫌いという理由で、緒形息子が画面に現れるたびにチャンネルを変えていて、まともに記憶に残っていなくて。それがまた、僕の愛はこの程度なのかと、情けなくて、悲しくて。



 そんなモヤモヤの三時間後、僕はドラマ「セカチュー」ロケ地、静岡県松崎の海に先日買ったばかりのカメラを手にして立っていた。純粋に、綾瀬はるかと同じ空気が吸いたい、吸わないともうやっていけないと車を飛ばして来たのだ。だらだらと汗をかきながら、海と山に囲まれた小さくも静かな、美しい町をてくてく歩いた。立ち止まってカメラをいじった。ミネラルウォーターで喉を潤した。




ロケ地/静岡県松崎町


僕は、松崎を離れる際、綾瀬はるかも接触したであろう海水を口に含んだ。少し甘かった、と思いたい。