Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

嫌い


 嫌いな人間がいる。或る上司だ。何か嫌なことをされたり、嫌味を言われたりしたわけではない。むしろ僕に対して良くしてくれている、と思う。だけど生理的に駄目なのだ。


 生理的に駄目なので、具体的にどういうところが駄目かと言われると返答に窮するのだけど、たとえば、車で移動中に赤信号で車が五台ほど並んだだけで、「すごい渋滞だ、これだから車での移動はあまり好きじゃないんだ、時間が読めないから。なあ」、と言ってきたり、電車で移動中に、人身事故で止まっている路線があると、その路線を使うワケではないのに「最近人身事故が多くて嫌になるよなあ、これだから電車での移動は嫌なんだ、車にしておけばよかったな。なあ」、と言ってきたり、今日のような暑い日は日陰に入るたびに、「あー涼しい、涼しい、都会でもこういう場所があるからやっていけるよ。なあ」、日なたにでるたびに、「暑い、暑いー。これだから都会を歩くのはイヤなんだ、水分。水分補給。なあ」、といちいち言ってきたり、といった、はっきりいって他の人からみれば、どうでもいいようなことが気に障って仕方ない。


 僕は、彼の、こういうどうでもいいところがまるで駄目で、口に出したってしょうがないことをいちいち言うなって思う。だったら飛行機かヘリで移動しろ、太陽のない惑星の生物に転生しろ、と思う。難しいのは、彼以外の人が同じ言動をしたとしても、恐らく、そう毛嫌いすることはないと断言できることだ。もしかすると好きな人だったら、同じような言動でも可愛くて仕方なく思えるかもしれない。人間って難しい。


 「アンタが嫌いなんだ!」、そう思いつつも、毎日のように、その上司からアイスコーヒーをご馳走になり、「ゴチになります」と馬鹿みたいな作り笑いをして頂戴している。そんな自分が嫌いだ。だから、そのアイスコーヒーには、たっぷりシロップを入れて飲んでいる。甘すぎて気持ち悪いアイスコーヒーを、自分への罰として飲み込んでいる。乳はいれない。オッパイ好きの僕には罰にならないから。