Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

暇なオッサンは雨雲の下でも水彩画を描いていた!

 


 曇り空を眺めていたら、去年の夏に缶ビールと買ったばかりのデジカメを持ってふらふらと実家の周りを散歩したときのことを想いだした。高校の野球部の練習を眺めたり、畑から飛び出してきたバッタに驚かされたり、川に向かって石ころを投げたり。たわいもない休日。周りからみたらただの酔っ払い。恐らく、低い高度にたちこめる雲の層に僕の気持ちも下へ、下へと圧迫されているのではないか。雲の圧力。僕は反発する。僕は、僕のハートだけは梅雨入りしないよ。僕の魂だけは湿らせやしないぜ。カモン、雨雲。そんな反発が、なんでもない一日の記憶を喚起させたのだろう。部屋に帰り、カレンダーを確認すると6月は祝祭日がないってことを知ってしまい、あっけなく心身共に本格的に梅雨入り。僕の梅雨へのレジスタンスは抗戦することなく白旗を掲げたのだ。


 雨雲の下のジメジメとした湿気のなかでも、僕はやっぱり葉っぱの裏を這うナメクジのようにジメジメと水彩画を描いていた。この季節、汗と靴は臭いが酒は旨い。僕は酒を飲むといろいろと行動(といっても絵を描くくらいしかないのだけれど)を起こしたくなるタイプの人間だ。というわけでお絵かきシリーズ第8弾「唐招提寺金堂」。


 


 正月にスナックのママに「絵を描いたらやってくる」と教えられて以来、ロクに外出もせず、最小限の会話と食料、エンゲル係数の大半を占めるアルコールを武器に、暇をみては絵を描いている。だがなんだろう。この明るい近未来到来の予感がまったくしないのはなんだろう。これは嵐の前の静けさなのか。そう信じたい。きっと明日の朝、ドアを開けたら「フィールド・オブ・ドリームス」のラストシーンみたいにトップレスの女性が長蛇の列を成していると思う。そう信じたい。