Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

インポ治った 

 真夜中、目が覚めると勃っていた。2008年の正月以来約4年ぶりの勃起。バイアグラではない。バイアグラは切らしている。最後にバイアグラを飲んだのはいつだっただろうか。あのとき線香花火のように効き目が切れてしまい、僕は男として死んだと、泣きながらバイアグラをトイレに流したっけ。地獄だった。だから僕は天井に突き刺さるように力感たっぷりに勃っている姿を受け入れられない。傍観者のように眺めながら理由について考える。妻。妻の寝息と歯軋りが妻を復活の理由から遠ざけた。ベッドの上で立ち上がり久しぶりの脱ぎにくさに微笑みながらパンツをおろす。見下ろしてみる。怒張したものが赤黒いのはそれ自体がもつ色彩なのだろうか闇の色だろうか。僕には思い出せない。右手で掴みもちあげる。そのずっしりとした重さに驚く。今がチャンス。今こそはじめてのおつかい。僕は片手で妻の顔の前に掲げて、肩を揺らして目を覚まそうとした。「シノさん。時間ですよ。リボーンしましたよ。眠いよね…」妻は寝起きが悪い。「眠いよね。無理は言わない。だけど、せめて、て、てててて、お手手で。来て見て触ってほしーの」。どんなに肩を揺らしても、目前で怒張したものを振っても、怒張したものの匂いをかがせても、ほしのあきのモノマネをしても妻は起きなかった。怒張したもので妻の顔をはたいて男性を誇示する気にはならなかった。雨戸の隙間から朝陽がもれてきた。光線にさらしてみる。怒張したものがマイクロソフト製ソフトウエアEXCEL機能にあるオートシェイプの矢印のひとつに似ているのは光線の加減だろうか。妻は喜んでくれるだろう。僕は右手で掴んだものを左の手のひらにあてて打ち鳴らした。ハレルヤ!歓喜の三三七拍子。パンパンパン。ハレルヤ!歓喜のエイトビート。パパパパパパパパ。ハレルヤ!シンデレラが目覚めたら伝えよう。「君のおかげでインポを克服できた」と。朝。トーストが焼けるダイニングで僕は妻に「治ったよ」と言った。これが土曜日の朝。以来勃起はしていない。僕は神様がくれた最後のチャンスを逃してしまったのかもしれない。妻からはついていい嘘と悪い嘘があると叱責されつづけている。いい嘘のことは死んでもいえない。僕が一時的に治ったのはアダルトDVDのおかげだったとは絶対にいえない。ましてそれがソフトなやつだったらまだしも内緒で買った「夫の遺影を肛門にブチ込まれた妻 中島千秋」のおかげだったとは死んでもいえない。


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