Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

バイアグラ飲んだった(*^^*)

 据え膳喰わぬは男の恥というけど歳を取るにつれ喰わなかったときに恥をかくのは男ではなく据え膳ガールのほうなんじゃないかと思うようになってきている。好きして好きしてって目の前で待機しているのに手をつけられず残り物と成り果てる据え膳ガールの深い悲しみ。そして屈辱。恥。そんな思いを女の子にさせてはならない。僕らは目前の据え膳を残さず喰らうべきなのだ。あまりにも、きっつーい、のは見ないふりをして。

 だから、「ちょっとくらいの残り物ならば〜残さず全部食〜べてやる〜」と堂々たる据え膳喰っちゃうぞ宣言をして「えっギリギリだよ?」「マジでいいの?」「メンバーの1人荒井さんAVデビューだよ。疑似だけど」なんつー周囲の声に耳を貸さずにギリギリガールズのメンバーに手をつけたミスターチルドレンのボーカルは圧倒的に正しい。もしかしたらダルビッシュも。


 常日頃そう思うもののEDを患っている僕が、女性に恥をかかせたくない一心で「メルモちゃんが持ってる 赤いキャンデー 青いキャンデー 知ってるかい ちょうちょは卵に ベビーは大人に 小さくなるよ 大きくなるよ」、「ふしぎなメルモ」の主題歌を口ずさみながら処方するのはバイアグラバイアグラ、我が命の光、我が腰の炎。我が罪、我が魂。バイ・ア・グラ。モビルアーマー(ガンダム)でも重機動メカ(イデオン)でもないよ。おとなのおくすりだよ。バイ・ア・グラ。


 とはいえ僕もサラリーマン。バイアグラは休みの日にしか処方しない。そのように自制するようになったのは過日、平日夜にバイアグラをのんだ僕のへそ下15サンチで、漫画「寄生獣」のミギーのごとくそれ自身が意識を持ったかのように動き回り、ザクレロの爪を切断、テレビのコントロールを水没など、破壊のかぎりを尽くし、鎮圧まで一昼夜を要したからである。会社は元気ハツラツすぎておかしいからといって休んだ。叱られた。以来僕はバイアグラの扱いに慎重だ。


 ですからこのたび女性に会うためにバイアグラを処方したのは年休の朝。もちろんメルモちゃんを歌いました。鼻毛も全部抜きました。効いてきた。ハイリハイリフレハイリホ〜。大きくなれよ〜。ダルビッシュのように。ところが。「いざ鎌倉」という段階、踵に指を入れた瞬間に携帯が鳴る。絶対にしくじってはいけないクライアントから。「おたくの部長に頼んだ請求書がきていないよ」。何度頼んでも届かない。〆切は今日だ。今日中に届かなければ支払わない契約も切る、ゴルフをドタキャンするんじゃない、など僕の預かり知らぬところでの文句の絨毯爆撃!を残して電話は切れる。僕もキレる。憤怒で痔が再発しそうになる。あんな、若い看護婦さんの前でパンツを脱いでの四つんばい、もう、いやだ。上も…脱ぐの?なんて年下に恥じらって訊いてしまったし。痔なのに。


 部長の携帯にかけてみた。出ない。他の同僚にかけた。皆様最初は協力の声を出すが、行き先を聞くや否や、あぅおぃ、と声にならぬ声をあげ、テンションがあがらない、今日中に金を用意しないと…、今夜彼女にプロポーズするんです、6月に子供が産まれるんです、などと死亡フラグを立てて、よい返事を寄越さない。おっ立っているのはこちらだというのに。そのとき僕のはダルビッシュのストレートを打てるほど硬く大きくなっていた(以下ダルビッシュと表記)。早まる鼓動。副作用か。なんだか息もはあはあだし。しょうがない。僕は女性に断りを入れ、休みを取り止め、クライアントに書類を届けることにした。


 ダルビッシュのままで?しくじってはいけないクライアントのもとにダルビッシュで?疑問は残る。でも振り払った。誰かがやらなければ。昔から僕は行儀よく真面目なんてできやしなかった。部長から謎のメールが届いた。「揉んだ胃はなかにある」。行き先は神奈川より遥か西方の古都京都。不安と液体で膨らませたまま京都。午前10時。上洛を前にダルビッシュは静かに熱を帯びている。
(つづく)(3月9日10:00)


 ダルビッシュを悟られぬよう、体を>のように折って会社に向かう途上メールの謎は解けた。解けたというか。昨夜帰社間際に部長から持っていろ…と渡された書類が問題のブツでございました。僕のカバンのなかにあったよ\(^o^)/。「謀ったな!シャア!」誰にも聞かれないように呟いた。頭上に飛行機雲が伸びていく。駅の窓口でキップを買う。乗車券と新幹線券。まだダルビッシュの硬さはメジャー級。新幹線が停車する小田原駅へ向かうモハ車輛内、立ったまま立っているのは、動悸息切れなど体調からも見た目からも厳しいので腰をおろした。カタンコトン。列車の振動が敏感になったダルビッシュに響く。その長身を誇示するかのように、すっ、と蒼穹に向かって延びているダルビッシュはその大きさと硬さとをもって僕が足を組むことに抵抗しつづけていた。(つづく)(同10:30)


11時。小田原駅到着。熱い。ダルビッシュは熱くなりやすいようだ。トイレットの個室でUNIQLOのヒートテックモモヒキを駄々をこねるダルビッシュに手を焼きながら脱ぎ捨てた。長旅に備えて放尿しようと脱力した瞬間に気づいた。メジャーの高みを目指すダルビッシュは天空を見据えている。このまま放尿すればテポドンミサイルのような弾道を描き、最悪、顔射。間一髪で両手で頭を下げて洋式に向けて射出することに成功する。ダルビッシュは低いコースへの投げわけも得意のようだ。しかし、副作用だろうか、腫れあがっているわけではないのに赤い。登板後のダルビッシュにはクールダウンが必要だ。氷。(つづく)(10:45)

■お知らせ


電子書籍を書きました。「impress QuickBooks」(インプレス・クイックブックス)の第二弾です。役に立たないようで少しだけ役に立つ、そんな感じの文章です。真面目なソウルとライトな感覚で書きました。よろしく。

「恥のススメ〜「社会の窓」を広げよう〜」
フミコフミオ 著/インプレスコミュニケーションズ・デジカル 発行/希望小売価格 380円

(プレス)
http://www.ips.co.jp/news/2012/03/post_9.html

http://digitalharvest.biz/singlesbook/17_fumikofumio/