Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

解雇されちまった

 同僚が解雇された。その同僚はこの4月に採用されたばかりの新卒の新人君。新人君は経理部。営業課長の僕とは仕事での絡みはほとんどなかったが、ある飲み会で偶然隣席になりテレビゲームの話題で親しくなった。最近はモンスターハンター4仲間だ。その彼がいきなり解雇された。他人事ではない。明日からの狩りはどうなるんだ。


 予兆はあった。先週金曜日。飲みながらモンハン談義をする約束をしていた。新人君が「今日はすみません。そんな気分になれません」とメールで断ってきた。彼女はいないはずなのに、僕との約束をドタキャンするなんて、おかしいと思っていたが、まさか解雇とは。正直驚いた。


 金曜日に上から通告されて9月いっぱいだという(今日じゃん)。『不当解雇』。不穏な言葉が頭に浮かんだ。労組もない小さな会社のくせに箝口令がしかれているのか情報が入ってこない。他部署なので解雇に至った詳しい理由はわからない。けれども新人君が会社に甚大な被害を与えたという話は聞いたことがないし、そもそも社会人一年生の新人。大きな仕事が任されているはずがない。


 人員整理の可能性も考えた。けれども、現在、会社の経営は順風満帆とはいえないが、一時期に比べれば新規契約の方はぼちぼち取れているので、リストラしなければならないほど追い込まれているとは思えない。


 ウチは新卒採用をしない会社だった。即戦力、中途採用。そのおかげである年齢層が見事に抜けてしまった。それではマズいと三年前から新卒採用を開始、社員を育てようということにしたはずだった。その新人を整理解雇するのだというのだろうか。理解に苦しむ。


 社内の人脈を活かして話を集めてみると「仕事が出来ないから」というのが解雇理由らしい。内実は、経理部内の厄介な人間(僕もやり合ったことがある)に仕事の出来なさを理由に目を付けられていたらしい、とも。会社には部下を処罰するのが仕事だと考える残念な人種がいるものだ。


 彼にどれだけの仕事が求められていたのか、正直わからない。もしかしたら彼が解雇に値するほど仕事ができなかったのかもしれない。だが聞いたところによると、創立半世紀で経理部に新人が入るのは初めてのことだ。育てる側に新人育成のシステムやノウハウがないことは棚上げして、新人に過度な仕事を求めたのではないか。そう、疑ってしまう。


 今日限りで云々、お世話になりました云々、と挨拶にきた新人君に、クビになる理由に心当たりあるか尋ねてみると「仕事中に居眠りしてしまいました」。「よくないね」「はい。居眠りはよくありません。解雇されても仕方ありません」「その他には?」「二回、居眠りしました」「よくないね。他には?」「ありません。仕事が出来ないからとだけ言われました」二度の居眠りが解雇理由に当たるのだろうか?実際のところ僕にはわからない。けれど。僕が彼なら納得いかない。絶対に闘ってる。


 「解雇に納得出来ないなら戦えよ」つっても「納得は出来ないけれど仕方ないですよ…」と初期アムロ・レイのようにウジウジしている彼を見たとき、僕はほとんど見放していたのだが…。


 新人君が別れの挨拶を済ませたところをつかまえ、今後のことをきくと「今から退職届を書きます」と穏やかでないことを言う。解雇だろ解雇。自分の意思でないものを書いちゃいかんと説得すると「じゃあどうすればいいんですか?」と言う。解雇なら解雇の手続きを会社にさせなきゃダメだろ、ちゃんとやってもらえと教えてやる。社会人一年生だと思って汚い真似をする。僕からみると手続きだけでなく解雇の理由もおかしいけれど。


 「課長ならどうします?」「僕なら闘ってる。だけどこれは君の問題だろ? 冷たい言い方になるけど戦うのは僕じゃなくて君。戦うかどうかは君次第だよ。何かあったら相談に来いよ」「わかりました…」 新人君がどう行動するかはわからないけれど、もし、戦うのなら手を貸してあげるつもりでいる。協力すれば巨大なモンスターだって倒せるはずだ。


※※※※

■ツイッターやってるよ!→http://twitter.com/Delete_All/

■「かみプロ」さんでエッセイ連載中。「人間だもの。」http://kamipro.com/series/0013/00000

■電子書籍を書いてたりします。

刺身が生なんだが

刺身が生なんだが


恥のススメ ?「社会の窓」を広げよう? (impress QuickBooks)

恥のススメ ?「社会の窓」を広げよう? (impress QuickBooks)

  • 作者: フミコフミオ
  • 出版社/メーカー: インプレスコミュニケーションズ/デジカル
  • 発売日: 2012/03/06
  • メディア: Kindle版
  • 購入: 1人 クリック: 60回
  • この商品を含むブログを見る