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ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

若年者の早期離職を食い止めるワンダーな方法が見つかった!

若者の早期離職が問題になっている。入社3年以内の退職が3割を超えるとか。そんな世間一般レベルほど酷くはないが、僕の勤める会社も、一時期、二十代前半の若手社員の1年以内の離職率が8割を超えていて、大変に苦労した。

けれども社長以下全従業員が一丸となってこの問題に取り組んだ結果、現在、弊社ではこの問題は公式には存在しないことになっている。早期離職は会社にとっても離職者にとっても大変不幸なことだ。今日は特別に、早期離職問題を解決した弊社の取り組みを公開する。参考にして負の連鎖を断ち切ってもらいたい。

1.退職金廃止/「退職金を無くせば必死に働くしかなくなるだろう」とワンダーな考えに至った上層部。結果、退職金ストッパーがなくなり早期離職だけでなく全社的に離職が加速。

2.社員旅行の復活/早期離職者が絶えないのは会社への帰属意識が足りないから。そう考えた上層部が10年ぶりに社員旅行を復活。旅費は全額社員負担。不参加という選択肢は事実上なし。帰属意識を高めるために、宴会では社員全員で肩を組み社歌を絶唱し、若手社員は「私の仕事」をテーマに一芸を披露する。精神的負担が若手の帰属意識ではなく帰巣本能を刺激。

3.給与一律アップ/若手がすぐに辞めるのは給与が低いから。当たり前のことに気づいた上層部が金融政策を発動。入社半年での一律賃上げ!と行きたかったが、そうも出来ないので、優秀な過半数のみを賃上げとし、若手社員同士を競わせた。疑心暗鬼、密告、蹴落とし、映画「バトル・ロワイヤル」のような展開に疲弊する者多数。

4.やりがいを与える/「仕事にやりがいを見出せない」そのような捨て台詞を残す若者が多いのを嘆いた上層部が、入社3ヶ月で無条件に主任にあがる先進的なシステムを導入。肩書きからやりがいを喚起することに一時成功するも、ベテラン主任と同程度の責任とノルマを押し付けたために、達成出来ずに降格者が絶えず崩壊。ベテラン主任たちの不審を招き、そちらで退職者を出した。副作用で組織の若返りに成功。

5.能力開発の機会を与える/早期離職者から相次いだ「ここにいては脳が腐る」「スキルも身に付かない」の声声声。半世紀守ってきた「与えられた仕事だけをやってりゃいい」という社是を改め、従業員個人の能力・スキルを開発する機会を与える方針に転換…
とここまではよかったのだが、本人の希望ではなく強制的に機会を与えたため、営業職にマッシュポテトつくりを学ばせる、希望してないのに洗浄の現場に送り込まれ業務用食器洗浄機の専門家に洗脳される、といったミスマッチングが起こってしまった。退職に拍車。拍手。

6.若手社員の心のケアをはかる/ヤワな奴はワーキングポア!そういった体育会的な社風を一新した上層部。入社1年未満の社員の心のケアをするために、直属の上司にケア面接を義務付けた。
珍しくエクセレントな策…のはずだったが朝、昼、夕、1日3回の面談を命じたためにかえって若手社員の精神に負荷をかけてしまうというワンダーな結果に。己の失点にならないように若手に重圧をかけまくった上司がいた…なんてことは一切ございません。

以上だ。ひとつひとつの策を見るとマイナスに見えるかもしれないが、これらを組み合わせて複合的有機的に実施することにより、弊社では二十代前半の早期離職が大幅に改善された。現在、入社1年での離職はゼロにまで改善されている。なお、弊社の二十代前半社員が絶滅してまもなく1年になる。それではまた。