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Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

年休中に仕事をさせられて気付いたこと。

昨日。取りたくもない年次有給休暇を強権で取らされ「仕事を休むのも仕事のうち」と仰った社長の運転手として長野県にあるスノーリゾートへ赴いた僕なのである。年休中に上司とトラベルとはテリブルだ。長年サラリーマンをやってきたが年休中に仕事は初めてのこと。すでに人生折り返しターンをしている僕だが、まだまだ学ぶべきことは多い。《今日も気づきをありがとう》ベッキーのツイッター並みのポジティブさで事実を受け入れようとした。無理でした。学ばなくていいどうでもいいことの方が確実に多い。今回は間違いなくそれ。


スノーリゾートのレストランでの食事中にムカついた僕は社長にクビ覚悟で喰ってかかった。「年休に仕事させるな」「技能習得のために業務と関係ない家事や丁稚奉公をさせることは法令違反ですよアンダースタン?」「マトモな返答がなければ然るべき措置は取らせていただきますよ」「頭大丈夫ですか」という意味合いのことを尊敬と謙譲を入れて社長に申し上げ奉りました。


社長は、お前の視点はミクロに偏りすぎていて事象をマクロに捉えられてない、などと意味がありそうでないことを言った。もしそこに意味を見いだすとしたら、部下をミクロマンという存在に落とし込んで優位に立とうとしている意図くらいだろう。僕がEDであることをミクロと呼び嘲笑している可能性もゼロではない。


もう無理だ。辞めてやる。「辞めます」と言おうと思い、や、め、まで言いかけたところで社長の目が人を殺めたことがある人の目になったので「病めるときも健やかなときも」と結婚式における神父の口上に言いかえた。汝、社を愛することを誓いますか。誓いません。


社長はそんな僕の葛藤を見透かしたような、よく言えば仏のような、悪く言えば即身仏のようなアルカイックスマイルを浮かべ、「私が休日出勤や残業を強要したことがあるか?」「幹部たちには部下が休みを取りやすいように積極的に休めと命じている」とスタンスを明確にしてから僕に「君は仕事をしている自分の姿に酔っているだけにすぎない」「仕事が出来る男は数字をあげた上できっちり休むものだ」と言った。耳が痛すぎた。


それから社長は「わざわざ君の年休に付き合って嫌々スキーに来たのは君にそれを教えたかったからだ」と言った。僕が社長を付き合わせたことになっていて、一瞬不満を覚えたが諦めた。なぜなら歴史とは徳川家と豊臣家の関係しかり、ジャニーズ事務所とSMAPしかり、常に勝者によって歪められて後世に伝えられるものだから。


そんな些細なことより、社長が方法の是非はともあれ僕のことを考えてくれたことに僕は感動していた。しばらくうつむき目線を上げる。すると社長は既に雪上で夫人と雪玉を投げ合うなどしてはしゃいでいた。僕の存在は彼の意識にはなかった。こうして社長の言葉の説得力と僕が覚えた感動は一瞬のうちに消失してしまったのである。


今朝、休日出勤し年休届を出し忘れていたことに気づいた。良かった。僕は年休を無駄に消化していない。僕は周りを見た。社長のおかげで視野が広くなった僕には休日なのに平日とほぼ変わらずに出勤してくる同僚たちがとても異様に見えた。総務人事の人に届を出せと執拗に言われたが僕は出さないつもりでいる。スキー場でカレー食べて帰ってきただけだが、あれは完全に仕事だったから。

(この文章は休日出勤のランチ時に21分間で書かれた)