Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

このままじゃ離婚になりかねない。

人生は戦場だ。生きていればさまざな戦局に出くわすことだってある。僕の戦場は義理の親との付き合い方、そして戦局は思わしくない。僕は義母とうまくいかず悩んでいる。それが理由で離婚を考えているといったら多少、大袈裟ではあるが、まったくの嘘でもない。それくらい悩んでいる。皆はどうやって義理の親とうまく付き合っているのだろう?

義父や義母は僕にとても良くしてくれる。たとえば好きなだけ酒を飲ませてくれたり、旅先でキーホルダーを買ってきてくれたり。基本的にいい人たちなのだ。そんな彼らに会うことに抵抗を覚えてしまうのがとても心苦しく、申し訳ない気持ちになる。そう自分を苛む一方で、義母に会うたびに苦痛を感じるのもまた揺るぎない事実。罪の意識と苦痛で板挟みにあってとてもつらい。

きっかけはあの日の出来事だ。夏の終わり秋のはじまりの或る夜。僕は妻と妻の実家に招かれた。酒をがぶ飲みした僕は義父に勧められるまま泊まることになった。楽しい団欒のあと風呂に入った。「自分の家だと思ってくれて構わない」という義父の言葉に甘え、脱衣場の大鏡に生まれたままの姿で立ち、ルーティーン(前立腺体操)をこなしてから服を着てリビングに顔を出した。

「いいお湯でしたー。バスクリンサイコー」と声を掛けようとした僕は部屋の真ん中に義母が倒れているのを見つけてしまう。その距離五メートル。黄色の長袖Tシャツに包んだ両手、ピンク色のタイツに包んだ両足を伸ばし、仰向けに大の字になりぴくりとも動かない義母。脳内出血。心筋梗塞。新興宗教。不吉な単語が頭の中をピンボールのように跳ね回る。くそ。何で僕が泊まった日にかぎって!こういうのは現場に出くわすのではなく真夜中の不吉な電話で伝えてくれればいい。また妻に「君ははた迷惑なジョン・マクレーンみたいですね」と揶揄されるのか。

たった五メートルだが視力0.02の僕には絶望的な距離。僕は一歩一歩慎重に近づいていった。途中で仰向けに倒れている義母が腰のあたりにタワシを載せていることに気づいた。タワシでフローリングを磨いている最中の事故…。嫌な予感が脳裏をよぎった。

嫌な予感のとおりタワシではありませんでした。泥酔した義母はなぜか下半身裸で伸びていた。下半身マッパ。マッパゴーゴーゴー。きっつー。告白しよう。夜な夜な映像の性器を見ている僕は、その質感とサイズからそれがタワシではなくヘアだと気づいていた。タワシじゃないタワシじゃないの~当たり前だけどね。だ~か~ら報われない気持ちを整理して義母に近づいたの。普通でしょう?

僕は見てしまった。義母のすべてを。妻が出てきた場所を。妻のも見たことないというのに。以来、義母と顔を合わせたり、義母の話題が出るたびに、義母のタワシが頭に浮かび、頭痛や激しい吐き気に襲われている。もしかしてだけど、僕はPTSDかもしれない。剃毛。離婚。それくらいしか解決策が浮かばない。僕はどうすれば。

(所要時間15分)