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Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

42歳、転職のリアル

40才を越えてからの転職のきつさは覚悟していたが現実はそれ以上。面接面談はうまくいかず、届けられる極めて事務的な「今回はご縁が」メール。数万社とご縁があるはずの各転職サイトの転職アシスタントからも見放され、食は喉を通らず、胃に入るのは点滴代わりの生ビール。ちきしょー。このままではダークサイドに落ちてしまう。清原のようにはなりたくない。一念発起した僕は、「今回はご縁が」メールに「貴兄が今回と仰るのを信じるなら次回があるんですよね?次回はいつにしましょう」という陰湿なメールを送り返していた手を止め、今までのうまくいかなかった面接面談を分析してみた。

解はシンプルだった。僕は中年特有の経験豊かさアッピールをやりすぎていて、あまりにもフレッシュさを欠いていた。それと好待遇を望みすぎ。中途でやってきた男が厭世的な態度で皮肉とイヤミで理論武装し、うまくいかなかったらブログで晒すような奴(ついでに加齢臭)だったら…僕なら嫌だ。こうして分析と対策を万全に講じた僕は昨日面談に臨んだのである。

簡単な自己紹介、職務経歴を中年臭くならないようにクリア。「世間一般でいう一流大学は出ていますが気になさらないでください」とイヤミにならないような文句を自然に挿入するデキる男、僕。いよいよアッピールタイム。僕は以下のような内容の話をした。

《私が御社に入ることができたらまずやりたいことは感謝です。新しい出会いに感謝。自分を高めてくれる環境に感謝。賃金に感謝。うざいと思われるくらいに感謝をしようと思います。そして二度とない貴重な1日1日を大切にして学び、成長していきたい。成長期のように日々成長。それから気づきを得るだけでなく、気づきを与えられる人間になりたいと思います。感謝も気づきも成長も仲間とシェア出来る人間。それが私。一方、私に求められているのは、固定概念と派閥争いと古い慣習によって形骸化している御社に新しい風を吹き込み、生産性を高めること。そのためには妻と別居し単身赴任で本社のある品川駅近くのマンションに引っ越すことも手当をいただけるなら厭いません。その単身赴任という新しい環境から気づきを得て日々成長、すべてに感謝していきたい。感謝だけではなく生産性のために私生活を犠牲に出来る人間、それが私です。私事ですが何気ない日々に感謝するためにInstagramを始めました。かねてより人脈づくりで活用していたフェイスブック、ツイッターなどのSNSでの交流からも気づきを得て日々成長してます。本日は素晴らしい機会をいただき感謝感激です」

このような意識の高い感謝プレゼンテーションを時折、ろくろを回すような手ぶりを交えつつこなした。文字に起こすと自分で思った以上にキモすぎたが気にしない。面接で話す内容なんて後々振り返れば薄気味悪いものばかりだからだ。いったい何人の若者が採用面接の際に「将来的には会社を変える力になりたい」と理想を語り、わずか一年後に「会社変わらないじゃないすか」と諦念の表情で辞めていっただろうか。

平成28年2月19日午前11時。お断りの連絡電話があった。後学のために、つって不採用の理由を聞いたところ、即戦力かつ経験豊かなリーダー職つまり部下を育成する立場の人材を求めているのであって、あなたのようないいトシこいて成長中の人間は必要ない、もしかしてバカなんですか、だって。きっつー。薄々気づいていたが、内心で思うのは勝手だけれども、感謝とか日々成長とか気づきばかりを公言しているとバカだと思われるようである。

毎日成長出来る人間というのはよくとらえれば伸びしろが大きい、悪くとらえるなら能力が低すぎる、覚えが悪いということであり、悲しいかな、そのほとんどが後者、それが現実。そもそも成長出来たかどうかは周りが判断することではないか。何が「成長しました!感謝サイコー!」だ。ロールプレイングゲームじゃあるまいし。アホか。そんな自明のことを不採用という明確な形で改めて僕に気づかせくれた今回の面接面談には大感謝している。

(この意識高いテキストは不採用の連絡を受けてからの21分で書かれた)