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Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

僕は煙草を吸いながら死ぬ。

タバコ大好き。だけど害すぎ。喫煙者不採用方針を掲げる企業があらわれるように昨今の嫌煙ムードは過熱する一方。そんな世の中を僕は複雑な気持ちで見ている。中学時代、根性焼きと称してタバコの火を押し付けたり押し付けられたりヤンチャしていた…バカなクラスメートをせせら笑いながら眺めていた僕にやっと時代が追いついたからである。あれから30年。遅いにもほどがある。今でこそ僕は人間空気清浄機に落ちぶれ若い女性の吐き出す紫煙を片っ端から吸っている下郎だが、かつては僭越ながら自分の口に煙草をくわえる高等遊民であった。そういう出自の僕には喫煙と嫌煙、両方の気持ちがわかる。はっきりいって職場における喫煙者・タバコの扱いは会社トップ次第。ウチは幸か不幸か社長がヘビースモーカーだったので創業以来喫煙者が優遇される社風であった。入社当時タバコをやめていた僕は「営業なのにタバコを吸わないのか!」「えっタバコ吸わないの?」と喫煙主義者どもが信奉するタバコマッチョイズムの嵐に晒され胃を壊した。世間体を気にして設置されたのは、仕切りも空気清浄機もない名ばかりの喫煙スペース。喫煙休憩に文句を言うことは大将たる社長批判とされ粛清の対象。まるで朝鮮民主主義人民共和国。このようなシャチョーを筆頭としたキタチョーみたいなカンキョーに1人のおばはんがあらわれた。おばはんは入社初日から「こんな煙草臭い場所で仕事なんて出来ない!」と主張して早退。翌日、ゴーグルタイプのメガネと防塵マスクを装備し、携帯型空気清浄機を首から下げてあらわれた彼女を僕らは畏敬の念を込めて救世主《メシア》と呼んだ。本来なら粛清されるところだが役所や第三者機関に働きかけたり、「労組がない会社なんて」と喚き散らしユニオンジャックに似た名称の組織をコンタクトを取ったりするなど、メシアのアレな行動に手を焼いた上層部は外部に煙が漏れないよう数十万の費用をかけて喫煙所を壁で囲み空気洗浄機を設置した。理想的な職場環境を手に入れ、仕事に本腰を入れたメシアの仕事能力の低さが露呈してしまったのは悲劇だった。メシアはただの《総じて能力が低い故に意識だけが高く見えてしまう系の人》であった。2ヶ月で退職。メシアの退職直後に喫煙所の壁崩壊。喫煙者大勝利。だが、永遠に続くと思われた喫煙王国はある日突然に終焉を迎えることになる。社会の嫌煙ムードに乗じたのではなく社長が禁煙をはじめたからだ。即日喫煙スペースは撤去。ヤニ専門清掃業者が社内清掃。喫煙者一掃。空気洗浄義増設。社内でタバコの臭いをさせた者は社長の御手直々による会議での吊るし上げ、露骨な嫌がらせなど粛清の対象になった。これまたキタチョーである。タバコは害。喫煙者は害人。自分の正義を信じて疑わない人の行動はすさまじく、おそろしい。社長の健康志向はヒートアップしてマラソンを開始。毎日のランニング。市民マラソンへの参加。勝手に一人でやってりゃあいいのに、嬉しいね、社員に応援を要請。という名の強制。ついにマラソン同好会を設立。元気あふれる若手社員と仕事あぶれる窓際社員のうち喫煙者を半強制徴用してアフター6ランランラン。このように喫煙も禁煙も嫌煙も逝きつく先は地獄なのである。きっつー。中学のときタバコを吸って根性焼きをしていたクラスメートたちは予想通りジャージ着て地元のスーパーとパチンコをうろつくパッとしない人生を送っているし、大学入学から30歳まで1日2箱吸っていた僕はタバコとの因果はわからないが結果的にインポになってしまったし、タバコがキャリア形成や健康に悪影響を及ぼすのは間違いないみたいだけど、ルールを守り他人様に迷惑をかけず自己責任で地獄を見るならそれはそれでいいんじゃないの、勝手に吸わせてやれよ地獄逝かせてやれよというのが僕のスタンス。だいたいタバコ滅ぼしちゃったらドトールで女子大生の吐き出す煙を吸えなくなるじゃないかバーロー。(この文章は朝のドトールの喫煙室で19分かけて書かれた)