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Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

iPhone7はいらない。

検討の結果、アイフォン7の導入は見送ることにした。このたびの見送りはごく私的で、かつ希少な理由によるものなので、アップル社には訴訟を起こすようなことのないようお願いしたい。もともと僕はスマートフォンで人生を革命された人間ではない。なので条件反射的に新型アイフォンに熱くなれない。愛用しているアイフォン6がまだまだ元気というのもある。だがそれらは決定的な理由ではない。私事で申し訳ないが、僕はケータイ時代から新機種を手に入れるたびに自分の尻を記念撮影している。なお、ここでの尻は臀部ではなく穴を意味している。15、6年前にジェイフォンから写メ機能が搭載されたケータイが出たときの衝撃を僕は忘れることができない。当時、駆け出しの営業マンとして走り回っていた僕は、忙しい毎日を送る一方で、永遠に続くような退屈な日常に怯えていた。その退屈さに光を当てたのが写メだった。写メ付携帯を買った日の夕べ、僕はなにか大きな存在に導かれるように尻を撮影した。当時搭載されていたデジカメの画質は、荒んでいた僕の気持ちを代弁するように粗く暗く、尻のシワの数を数えられるような代物ではなかった。それでも撮影された尻画像を知り合いにメール送信したら人生が終わってしまうという、いわば、破滅との隣り合わせのスリリングな生き方に僕は病みつきになってしまったのだ。生を感じた。携帯からスマホへ。搭載されるデジカメの性能は大幅に向上し、尻は時代とともにクリアーに、明るく。シワを数えるのにも飽きて動画撮影したこともあるが、エサを求める鯉の口のようにぷひぷひ動く尻動画を見たときの、寂しい気持ちをあらわす言葉を僕は持っていない。レタッチした自分の尻の、静謐さなシンメトリーの美しさに震えた夜もある。寂しさに泣いた夕べも美しさに震えた夜も、破滅と隣り合わせだったからこそ成立しえたのだ。生が死とともにあるように。導入を見送ったアイフォン7はアイフォン史上最高のカメラを装備しているらしい。明るく、鮮明になったカメラは僕の醜さを白日の下にさらけ出してしまうだろう。レタッチ抜き、きっつー。そんな代物がネットに流出したら人生は終わりだ。最高の尻画像を家族とシェアしかねないリスクに興奮を隠せない。そう、破滅との隣り合わせは僕の望むところなのだ。ではなぜ?元凶はこの夏に遭った交通事故。左足を負傷して歩行がままならない僕はある日突然耐え難い便意に襲われた。遠すぎるトイレ。動かない足。頼れるのは己の脆弱なケツ筋のみ。きっつー。『五体不満足』真面目に読んどきゃ良かったー。シン・ゴジラのように咆哮しながらたどりついたトイレに鮮血、シン・レッド・ライン。裂けちゃいました。明るいレンズ、1200万画素で撮影された裂けた痛々しい尻を直視できるほど僕は強くない。これがアイフォン7見送りの理由でございます。(所要時間14分)