Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

私をハロワに連れてって

会社を辞めて2週間。おかげさまで毎日サンデー、家事や実家の庭いじりに追われる充実の日々だ。その一方で、悲しいがカネの切れ目が縁の切れ目なのだろう、家族や旧知のキャバクラ嬢、かつての同僚からは着信拒否等々冷たい仕打ちを受けている。人はどこまで残酷になれるのだろうか。たとえば血の繋がりのない妻から「私とキミの洗濯物は分けて洗ってください」と注文されるのはまだ理解出来る。しかし、血を分けたはずの実の母から「洗濯物はあなたのものと絶対に一緒にするな」と言われるのは納得出来ない。なぜ、70オーバーの婆さんからそのような非人間的な言葉をぶつけられなければならないのだろうか。ババアの腰巻きなどこちらから願い下げだというのに。こうした人々の冷たい仕打ちは前前前世の因果にちがいないと仏壇の前で代々の先祖を罵っても事態は全然改善されなかった。認めたくはなかったが原因は前前前世ではなく、僕が無職であることにあるようだ。一刻も早く職につかなければならぬ。しかし、ハロワに行く気にはならない。気が進まない。鬼のような形相をして職業を追い求める失業者の皆様が恐ろしいのだ。失業とは、職業に就く意思と能力を有しながら職業に就くことが出来ない状態を指す。つまり職業能力はあっても庭いじりが楽しすぎて職業に就く意思が希薄な僕は失業者ではない。我は失業者にすらなれない無職という事実は僕をひどく落胆させる。ただの無職にすぎない僕が失業者面をしてガチガチに求職ってる失業者の群れに飛び込んだら、難癖をつけられて命を落としかねない。その恐怖が僕をハロワから遠ざけていたのだ。そうも言っていられなくなったのは家族からの有形無形の重圧である。朝、楽しい楽しい家族の弁当作りの際、手作りコロッケを揚げている脇から「ハロワハロワハロワハロワハロワハロワ」と不気味なマントラを唱えられたり、夜、「最近、ハロワ見ないねー。あ、ごめんハナワだった」と会話に不自然なサブリミナル・ハロワを挿入されたりして精神的に追い詰められたのである。きっつー。もう耐えられない。このような流れで、僕は、今朝、会社から届いた書類を持参してハローワークこと公共職業安定所へ向かったのである。そして僕を嘲笑うかのようにハロワは本日から正月休みであった。家族からは、本当にハロワに行ったのか嘘ではないのかと疑われ、ノロノロしてるからこんなことになるのだと叱られ、さらに休み明けにはハロワに入るまで見届けると親心を押し付けられている。どうやら神様も無職には微笑まないみたいだ。(所要時間12分)