Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

再就職を果たした僕に神様が起こしてくれた奇跡。

8ヶ月に及ぶ壮絶な失業期間を経て再就職し、働きはじめてから1週間経過。前職と同業界だが、運輸業、外食業とブラッキーになりがちな業界の底辺を渡り歩いてきた僕にとって初めてのマトモな会社だ。駐車場に痛車が1台停められているのが不安かつ不穏ではあるが、ポケストップは近くにあるし、勤怠管理や福利厚生もしっかりしている。何より同僚たちが「敵」でない環境は自分本来の仕事に集中できていい。会社ってこんななんだー。おかげさまで充実した時間を過ごせているけど《いつ誰が邪魔をしてくるのか》《次に辞めるのは誰だ》というハラハラドキドキするだけのアホな緊張感は圧倒的に欠けており物足りないのも正直なところだ。まあ頑張ってみるよ(仕事については別の機会に書く)。「ご参考までに」つって有意義なアドバイスをくれた人、「期間工になれ」と面白くないジョークを言ってきた人、「釜山港に帰れ」を応援歌のつもりで歌ってくれたスナック仲間。皆さんには僕の再就職への貢献度に応じた程度で感謝している。ありがとう。8ヶ月に及んだ失業期間は壮絶のひとことに尽きた。もう二度とあんな思いはしたくない。家族親族一同は、僕の家賃収入と炎天下駐車場バイト収入は一切考慮せず、僕の顔を見るたびに《働け働け働け働け働け》と労働マントラを唱え、傍目に真剣に求職活動をしているようには見えなかったのだろうね、無気力でゲームばかりしている僕に激怒した妻は「処理」と称して、僕のプレステ4のコントローラー(ジェットブラック)を処分し、3DSとドラクエ11を強奪する始末。「キタチョーのショーグンみたいなことをして何が楽しいのか」という僕の非難に対しても、「安心してください。勇者フミオは私がレベル45まで上げてあります。最初のお給料が振り込まれたら返します」と機械的な返事。ソウジャネー。失業というだけでこんな非人間的な扱いが許されるのだろうか?許されない。ダメ、ゼッタイ。コントローラーが行方不明になって丸3週間になる。今は供養のために残骸だけでも見つかればいいと思っている。就職が決まったところで神も仏もない…ゲームも出来ない…そんな現世への絶望からだろうね、僕の魂は肉体から離れ、深夜、実家のリビングでテレビを見ている僕や、親戚の家の庭でヒマワリを眺めている僕の影が目撃されたりもした。そんな絶望の夏はもう終わり。実りの秋はすぐそこ。再就職を報告するために実家に立ち寄ると、母は僕への金の無心が不調に終わると「お父さんに報告しなさい」と吐き捨てるように言った。言いたいことを言えば、最終的には僕を尊重して静かに見守ってくれる。そんな家族に僕もそれなりに感謝している。仏壇の前に座り、線香に火を点け、手を合わせる。父さん…心の中で呟き、目線を上げたとき、奇跡は起こった。一瞬何が起こったのかわからなかった。奇跡というのは思わぬところから顔を出す変質者みたいなものなのかもしれない。仏壇には僕が探し求めていたものがあった。プレステのコントローラー。まさかこんなところに。位牌の横にそっと鎮座したジェットブラックのコントローラーは、黒と金とで彩られた仏壇のなかで完璧な調和をもって溶け込んでいた。棺のようにも見えた。僕の棺桶。その態様はほとんど葬祭そのもので、再就職の先にある不吉を僕に思わせた。けれども今は、今だけは再就職とゲームが出来る喜びに浸っていたい。(所要時間16分)