Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

突然、部下が会社を辞めたときに上司が反省すべきこと。

先日、部下が退職代行サービスを利用して退職した。平均的な能力を持ち、そこそこ有望な若手社員であったホープ君の退職は、少々残念である。彼の退職については、上役として僕も思うところがある。社長からも経緯の報告を求められるだろう。きっつー。ホープ君は、僕の仕事のやり方を指して「冷たい」「サイコパス」と非難するような、熱血漢であった。その彼が、退職代行サービスを利用して、きわめて事務的に、こちらからの連絡を遮断して退職するとは、予想だにしなかった。いったい何が熱血漢の彼を、退職代行サービスに走らせたのか。残された人々の中で議論になったが、半日程度で誰も話題にしなくなった。会社員などそんなものである。ホープ君は感情を抜きに、ルールに則って、退職したのだ、僕らも彼の意思を尊重して、感情を抜きに、ルールに則って、退職手続を進めればいい。それが上司としての、最後の仕事。ホープ君は代行サービスからの退職意思通達後、出社していない。年休残日数をご自分でカウントして、希望する退職日まで年休消化をしているつもりである。つもり、というのは、人事担当が労務管理ソフトで感情を抜きに算出した年休残日数と、彼のホープする残日数に違いがあったからだ。ホープ君が算出した日数は、労務管理ソフトが感情を抜きに算出した日数より、かなり多かった。理由はわからない。おそらく、数年前に使い切れなかった古い年休分を加算してしまったのだろう。だが「今後一切連絡をするな」と言われていたので、彼の意思をリスペクトして、あえて連絡を取らなかった。というより連絡を取れなくなっていた。彼は感情を抜きにしたただけでなく、スマホの電源も抜いていたのだ(あるいは着信拒否)。すでに年休は使い切っている。彼がホープする退職日を維持するならば、それまでは欠勤扱いとなる。退職日を早めればいいのに…なんとかして欠勤状態にあることを伝えたい!と僕は優しさを発揮してしまいそうになるが、感情を抜きに、連絡するな、というホープ君の意思を尊重して、何もしなかった。するとホープ君はどこからか残日数について話を聞いたのだろうね。僕に電話をかけてきた。「年休消化と退職日についてご相談があります」と彼は言った。僕は感情を抜いて、事務的に「キミ ノ キボウドオリ ニ ルールニノットッテ タイショクテツヅキ ハ ススメマシタ」と言った。「そういうのどうかと思いますよ!」おかしい。なぜホープ君は感情を露わにしているのか。「コンゴハ レンラクヲスルナ トイウ キミ ノ ゴキボウ 二 ソッテオリマス」と答えた。感情を抜きに。今後一切は連絡は寄こすな。ルールに則って。完璧に彼の思うとおりに行動をしているだけなのに、なぜ不満なのだろう。本当は辞める前にいちど彼と話をしたかったのだ。サシで飲んで感情をぶつけあったあの夜のように。だが、彼の意志をリスペクトして、感情を抜きに、連絡も取らず、規則に則って、退職手続を粛々と遂行したのだ。僕は、あれこれ言いたい気持ち、すなわち感情を抜きにして、社内規程に則って、人事部へ電話を繋いだ。ちがう。それは「彼の退職がスムースに行われるといいなあ」という僕の甘い感情のあらわれであった。今は、あらゆる感情を抜きに、彼の設定した「今後一切連絡をしないように」というルールに則り、速攻で電話を打ち切るべきだったと反省している。(所要時間17分)