Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

顧客から受け入れた人物がスパイ活動をしていたので対応しました。

僕は給食会社の営業部長だ。新規事業の立ち上げなどで、一時的に、他部署の人間を預かって仕事をすることもある。中小企業なので、営業の仕事だけではすまないのだ。今は、営業の業務と並行して、某保養所案件を任されている。そうしたなかで、同僚のスパイ行為に気づいてしまった。

某企業の保養所の管理業務を受託している。スパイ疑惑のある人物は、その保養所を所有している某企業の元担当者のオッサンで、定年退職時に先方から請われて雇用されている。典型的ななんとか下りだ。ポジションは前職の経験とコネを活かしたマネージャー(得意先との折衝と保養所全般のマネジメントを行う)。本名を暴露したいところだが、アーニャ(仮)と呼ぶことにする。

アーニャを通じて、その某企業から、別の保養所の管理業務を紹介された。高原リゾート地にある保養所で、維持管理、フロント業務、食事提供などを一括管理する業務だ。現在受託している会社が、来春での撤退を申し入れてきたため、紹介されたのである。
いろいろあって僕が交渉を任された。事前に資料を確認してから現地を視察。現地はインバウンドで人材不足気味である。現地採用は、苦戦が予想された。ウチの会社は、病院や老人ホームといった人員が必要な事業は、積極的に受けないようにしている。労力に対して利益が見合わないからだ。そのため、僕も方針に沿って、この案件にも手を挙げない方向に話を持っていくつもりだった。

交渉担当かつ営業部長の僕が決めた方針に対して、アーニャが噛みついてきた。なぜか、タメ口で「あの保養所の仕事は絶対に受けるべきだよ」と意見するのである。相手は大手企業なので、受託していること自体にメリットがあるというのが、アーニャの言い分。続いてやってくるであろうアーニャ2号の受け皿になることがはたして当社のメリットなのだろうか。ウチは中小企業であって、収益の出ない事業ましてや事業圏外の事業を受ける余裕はないのよ…という僕の心の声がアーニャには聞こえないらしい。

「受託するとしたら収益と事業を安定させるために相応の金額を提示しなければなりません。条件も譲歩してもらわないと…」と言うと、アーニャは「それでは相手にメリットがないじゃないか!現業者よりも安い額を提示したうえでさらにサービスをしなければいけないよ」などと言うのである。タメ口で。アーニャはまだ元の会社の社員のつもりで仕事をしている。そのため、いちいち某企業よりの提案を出してくる。我が社の利益を損なう活動をしているという意味で、アーニャはスパイだった。ただ、こういう人物をうまく使ってこそ、企業というものは伸びるのだ。

アーニャ自身には、悪気がない。クライアントである某企業の意図を察知する役割を求められていることはわかっている。ただ、クライアントの求めるものを察知して、ウチの会社の立場に立ち、ウチに有利な方向へもっていくことがアーニャに求められている仕事なのだが、その結果が、収支を度外視しても付き合いを拡大するほうがいい、だって相手は超優良大企業だから、というズレた行動になってしまっている。

おそらく、超優良大企業に定年まで在籍していたという自尊心が抜けきれないのだ。アーニャの自尊心を破壊することは容易だ。「貴兄はウチのような弱小企業を紹介される程度だと某企業から評価されているのですよ」と耳元でささやけばいい。『SPY×FAMILY』のアーニャみたいに僕の心を読んでほしいものだ。ちちーははーアーニャりょうかい、ってね。

アーニャは間違いだらけだけど、善意でやっていることなのだ、周りが彼を支えてうまくつかえばいいのだ、と性善説に立って接してきたけれども、一緒に仕事をしているうちにときどき「今はこの会社にお世話になっているが、某企業側の人間と認識してくれて構わない」的な発言をするので、スパイとして取り扱ったほうがいいだろう。うまく取り扱わないと、クライアントである某企業との関係も難しくなるのでマジで難しい。

特定のクライアントとの窓口業務しかやっていないうえ、それ以外の仕事は機密漏洩を恐れて任せられないので、閑職に置くしかない。僕は、自分が今の仕事に携わっているあいだは、アーニャを交渉の際に同席させる一方で、アーニャの意見は参考止まりにして、あくまで自社の利益に貢献できるかどうかで判断するつもりだ。それでアーニャが拗らせてスパイ活動を活発化させたら、雇用期間満了でバイバイしてアーニャ2号を受け入れればいいだけのこと。使い捨てされるのもスパイ。

つか、マンガのアーニャやヨルさんみたいに可愛いスパイなら許容できるけど、破壊工作オッサンはいらない。スパイならヨルさんみたいな美女を送り込んでくれよ。つか他社ではアーニャみたいな人をどう扱っているの?(所要時間28分)このような中小企業エピソード満載の本を書きました→

お役所プロデュースの採算度外視食堂案件が打ち出してきた新たな条件に対応しました。

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僕は給食会社の営業部長だ。某市役所の担当者から電話があった。休業中の市役所食堂についての問い合わせだ。すでに何回か電話で対応したことのある案件だ。これまでは条件が悪く収益が見込めない、と理由を挙げて断っている。今回の問い合わせは、条件を見直したので再度検討してくれないか、というもの。なお、先行して話を持ちかけた2社からはいい返事をもらえなかったそうである。そんなことを最初に言われたら身構えてしまう。身構えていれば死神は来ないものだ。

前回の条件は、市役所内の食堂/営業時間は平日ランチタイム/実績1日平均100食50席/厨房機器と食器什器備品と高熱費は業者負担。もちろん各消耗品も/施設使用料(テナント料)を売上に応じた額を支払う/市役所食堂なので価格は上限750~800円に抑えてほしい/であった。これらの条件で試算したら赤字不可避なので断ったのだ。→関連エントリーお役所プロデュースの採算度外視食堂案件に対応しました。 - Everything you've ever Dreamed

「市役所食堂は市民の大切な資産なので活用しなければいけないんです。そこで、皆さんからの助言をもとに条件を見直しました」と担当者。変更点は(1)老朽化してリニューアルが必要な厨房機器は業者負担から市の負担に変更。(2)予想食数は100食から200食に増加。(3)施設使用料はなし。なお、業者による宣伝活動を認めて、食堂存続のために市職員も積極的に利用するらしい。変更点を聞いた第一印象は「頑張ったけれど突っ込みどころが多いな」であった。

まず(1)の厨房機器負担について。「機器(導入)の業者負担はなくなっていますけど、機器の維持費や修繕費や補充の負担はどうなりますか」と確認すると、「そちらが業者さん負担になりまーす」。一応、食器や什器の負担を確認したが、業者さん負担になりまーす、だった。機器の維持費もバカにならないよ…。(2)の食数アップについて。「200食になる見込みはあるのですか。市役所周辺に大規模な施設が出来るとか」と質問すると「環境は変わりませーん」と元気な回答。根拠を求めると「100食では運営が難しいという声を反映して200食を条件にしました」という回答。希望を条件にしたらしい。「休業前は平均1日平均100食ですよね」「そのとおりです」。きつい。きつすぎる。「どうでしょう。施設使用料もありません。200食ならどうでしょう。できますか。できませんか」と希望と幻の200食でぐいぐいと押し出してくるので、その場で試算して伝えた。

【収入】月売上は客単価800円として1日200食、20日間で3,200,000円。【支出】①食材費が1食当たり400円として月1,600,000円。②人件費は200食規模の食堂なので責任者1名とパート4名の直接人件費が860,000円(正社員300,000円/パート4名(1,400円×5時間×20日×4)560,000円)。これに間接人件費をいれてざっくり1,100,000円。③光熱費は過去の実績から200,000円。④食器什器は最低限にして3,000,000円、5年償却として月50,000円⑤その他経費 消耗品代と券売機のリース代で最低100,000円。支出合計が3,050,000円。【収支】売上3,200,000円から支出額3,050,000円を引くと現場利益は月150,000円。売上をかなり多く見積もっているので実際には赤字だろう。つかマックス15万円の利益ならやらない。

担当者に試算を告げて、「実際の食数は100食なのでもっと悪い数字になりますよ。単純に利用者が半分になると売上は半分の1,600,000円、食材費は800,000円、その他経費も食数規模に応じてざっくり半分にして(ならないけど)1,125,000円とすると赤字額は325,000円ですね。実際問題、経費は半分にできないので、赤字額は500,000円くらいでしょう」と教えた。最後通告のつもりだった。「わかりました」と担当者は言った。観念したようだ。「ではこのへんで。また何かご相談があったらお気軽にどうぞ」と僕が話を打ち切ろうとすると、担当者が意外なことを言い始めた。「逆に言えば市から50万円の補助が出せれば食堂運営はできるということですよね」。違う。50万の損失に対して50万の補助では穴埋めにしかならない。企業は利益を生まなければならないのだ。10「50万の補助ですね。わかりました!」と担当者は言って一方的に話を打ち切った。希望に満ちた声だった。身構えていても、死神はやって来るのだ。

公の仕事をしていると、「民間企業は官公庁の仕事を薄利でも受ける」という考えに出くわすことがある。自分たちが利益を追求しない立場だから、利益を追い求める立場がわからないのだ。だから計画(見込み)が甘くなる。今回のケースはおそらく厨房機器の予算を取ってしまったために食堂をやらざるをえなくなっている。次は「月50万円の補助金が出ることになりました」と言い出しそうだ。できないっつーの。地方自治体の事業は、本当にこんなことばかり繰り返している。「市民の資産を寝かしておけない」という考えにとらわれて、より多くの市民の資産をぶち込みかねないからたまらないよね。(所要時間30分)この手のエピソード満載の本を出しました。

 

業者を切って生成AIに切り替えたら全部うまくいった。

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先週末から体調を崩して休んでいる。営業部長なので完全休養できない。仕事は最低限に抑えている。メール対応と現在営業部で抱えている案件のチェックだけだ。具体的には企画書のチェック。企画書は某食堂コンペの一次審査に提出するものだ。〆切は来週。
ウチの会社は、僕が管理職になれることからわかるように、中小企業であり、営業部の人員もギリギリ。かけられる労力やコストには限界がある。それでも大手を含めた競合他社と戦って新規開発は進めなければならない。厳しい。このような状況を改善する目的でいくつかやり方を変えている。なかでも大きな変更はこれまでお付き合いしてきたデザイナーさんとの仕事のやり方だ。ざっくりいえば、断ったのだ。そしてその仕事を生成AIに任せたのだ。

その第一弾が今回の食堂コンペの企画書。だから体調が悪くても目を通さなければならなかった。企画書には「どのような食堂にするか」わかりやすく提示するために何点かイメージ図やパース図を掲載する必要がある。これまでは、いつもお願いしているデザイナー氏(いつも氏)にお願いしていたが、今回から生成AIを使うことにした。いつも氏との関係を解除したのだ。コストダウン目的ではない。いつも氏の仕事のやり方に問題があったからだ。氏は設定した〆切ギリギリに納品するのだ。進捗を確認すると「〆切まで待ってください」。何回かは〆切に遅れたこともある。ウチは中小企業のため、いくつかのデザイナーに並行してお願いする余力はない。コンペ形式にしてもウチのような会社に参加する業者がいるか怪しい。

なぜ、氏はギリギリ納品なのか。〆切前に余裕を持って納品したら、修正や注文を受けつけなくてはいけないからだ。ギリギリ納品なら「もう時間がない」「仕方ない」となる。しかし、そのために大きな修正は出来なかった。妥協していた。どうしようかなーと対応に困っていたところに生成AIがあらわれた。試行錯誤はあったが、企画書には納得のいくイメージ図が掲載されていた。生成AIを採用してよかった。本音をいえば、いつも氏とも試行錯誤をしたかったが仕方がない。ギリギリだからね。結果が出たので、今後はこの方針でいくつもりだ。

ただ、生成AIがデザイナーの代わりになるかといったら、まだそこまでは行っていないとも思った。そのため、より精密なイメージ図やパース図が必要なケースではデザイナーの力が必要になる。今回のコンペが二次審査以降がまさにそれである。これからはデザイナーさんに打ち合わせから参加してもらって、経験とセンスを活用してもらうことになる。今回仕事をお断りした、生成AIに仕事を奪われた形になったデザイナーいつも氏に、二次審査の資料作成には参加してもらう予定だ。いつも氏は目から炎が出るくらいやる気になっているらしい。良い仕事をしてくれると期待している。目の炎が、仕事を切った僕への復讐の炎でないと信じたい。ま、〆切りギリギリ作戦をつかわない実直なデザイナーであれば、生成AIに仕事を奪われることはないだろうね。まだ。

生成AIは、人間から仕事を奪うだけでない。これまで惰性で仕事をしていた人間に気合をいれて、やる気を起こさせ、人間の創造性を刺激するのも生成AIの役割だ。これからは、今回の第一次審査のようなイラストや図は生成AIで作成させて、労力とコストと時間を節約して、より重要な段階にそれらを集中的に使っていくことになるのではないか。

生成AIは凄いけど人間の力、創造性はまだまだ必要だよね。人間にしか出来ない仕事はまだまだあるよね、などと人間の明るい未来を確信した直後に、部下が作成した企画書の表紙に「2025年9月31日」という絶対に到来しない未来が、全角半角混在で記載されているのを見つけてしまい、人間を排除したほうが良いものができるかも…と思い直している。デデンデンデデン、デデンデンデデン(ターミネーターのあのテーマ音楽)。(所要時間22分)9月18日に本が出ました!よろしく。

真夜中にゾウを描く。

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「夏は股間がかゆくなる」とは某有名股間薬のコマーシャル内で叫ばれているフレーズである。僕の沽券に関わることなのでいわせていただくが、股間がかゆいのは夏季にかぎらないのである。年中。オールシーズンである。筆舌に尽くしがたい股間のかゆみを放置していれば人類は滅亡したかもしれない。しかし、すでに人類の叡智は股間のかゆみを克服している。そのひとつがデリケアエムズである。デリケアエムズには感謝している。デリケアエムズがなかったら、僕の人生は終わっていただろう。自宅でポロンと出してポリポリポリ、往来でスマートにポロンと出してポリポリポリポリ、会社でプレゼン資料とともにポロンと出してポリポリポリ、一日の3分の1くらいの時間はポリリズムで消耗していたのは確実である。また、公衆の面前ポロンによりポリポリポリの前段階でポリスに通報されていた可能性もある。逮捕拘留起訴されていればラスカルに会うこともかなわなかっただろう。ありがとう、デリケアエムズ。僕の人生を救ってくれて、ラスカルに会わせてくれて。このように日々デリケアエムズに感謝している。しかし、デリケアエムズとて弱点はある。経済に対する脆弱性である。股間のかゆみ、ポリポリポリ対策として、デリケアエムズは素晴らしい。しかし経済という難敵の前には手の打ちようがなくなっているのが実情である。僕の月の小遣い額19,000円。一方、デリケアエムズ35gは最寄りのドラッグストアで税抜き1,580円、税込みで1,738円である。僕は現在、デリケアエムズ1本を1週間から10日で消化している。35グラムを10日で消費、すなわち、一日あたり3.5グラムを使用している。月3本のデリケアエムズを購入すると1738円を3本なので5214円である。19,000円のうち5,214円が股間のかゆみで蒸発している。経済的にかなり厳しい。デリケートエリアの話をするなら、スナックあゆみ(仮名)へのツケ、約1万円の支払いも滞っているのだ。ただちにデリケアエムズ関税を止め、公衆や国家権力の監視をふりきってポリポリポリすれば5,000円強は手もとに残るのである。5,000円と逮捕とを両端に据えた僕の心の中の天秤は激しく揺れているのである。仮にポリポリポリでポリスにつかまり拘留された場合、デリケアエムズを求めることは可能なのだろうか。デリケアエムズは1500円強である。カツ丼よりも高価なものが支給されるとは思えない。そうなると現実路線。デリケアエムズの使用を続ける方針を堅持すると、量とは何か問題になる。デリケアエムズに印刷された用法・用量には「1日数回、適量を患部に塗布してください」とある。実にアバウトである。1日数回とは一般的には2~3回といったところだろうが、かゆさポリポリポリを未然に防ぐ回数としてはいささか心もとない回数である。僕の実際は、朝起床して自宅トイレでヌリヌリ、昼食時外回り中の公衆トイレでヌリヌリ、夕方会社トイレでヌリヌリ、就寝前布団の上でヌリヌリの1日4回が標準である。「適量」はさらに難しい。適量とは適当な量である。テキトー=いい加減ではない。僕は適量を塗布している。この適量をテキトーな量と解釈して、僕が必要以上の分量をびちゃびちゃと塗布しているわけではない。しかしながら「塗布」するエリアの面積には個人差があることは考慮しなければならない。おそらくメーカーは標準的な人の面積を想定していると思われるが、僕の面積は人よりも広いのである。個人情報なので具体的なサイズは示さないが、スマートフォンのカメラで撮影したところ15センチ四方程度の面積になる。15センチ四方に適量を塗布するにあたり1日3.5グラムがはたして適当なのか。この問題については引き続き考えていきたい。しかしながら薄く塗布した結果、かゆさに耐えられずに警察署の前でポリポリしてしまったら元も子もないので、安全策を取るしかなく、少し多めの安全な分量を塗布するほかない。インターネットで調べたところ、塗り薬の有名な目安として、FT U(フィンガーティップユニット)というものがあるらしい。それは人差し指の先から第一関節まで薬を乗せた量であり、それを手のひら2枚分の面積に塗布するとちょうど良いらしい。結果論になるが僕は、このフィンガーティップユニットの分量で患部をカバーしていた。科学的定量的な物差しで、僕の正当性が証明されたので、一部インターネットの無頼者から指摘されているような、不安にかられていいかげんな量を塗布しているわけでないのである。しかし問題は経済の問題なのである。フィンガーティップユニットの分量を続けた結果、月5000円以上の出費を強いられている。小遣いの額を決めているのは奥様である。彼女は鬼でも仏でもあるので治療費や医療費は、19,000円とは別枠とされている。残念ながらデリケアエムズ代は現在治療費とされていない。19000円から捻出されている。実をいえば、奥様に申告していないのである。股間のかゆみという肉体的な辛さ、夏だけではなく年中続くという継続性、リズムにのってポリポリポリ、ポリポリポリポリ、ポリリズムによって社会的に失われる社会的地位、月額5000円超の出費、それらを奥様に相談するシーンを想像するとお腹が痛くなってしまう。結婚15年目。いまさらこれらを申告したら「過去15年間、僕のあずかり知らぬところであなたは股間ポリリズムを続けてきたのか。恥ずかしい」と言い返されるのは明白である。その反応に対して「耐えがたきを耐え、人目を忍んでポリってきたのだ」などと言ったものなら、「じゃあ命尽きるまで耐えに耐えてポリっていけばいいじゃないの」と詰められるのがオチだ。言えない言えない言えない。苦悩しているうちに月末が近づく。小遣いの残りが少ない。デリケアエムズの残量も少ない。2つの道がある。ひとつは通常の使用量を続け、なくなったらポリポリポリの道。もうひとつはデリケアエムズを水で薄め月末までもたせることに重きを置く道である。後者は、薄めることによって月末まで使うことは可能になるが、薄めることによる効果の減退、さらに水っぽくなることによりパンツがびちゃびちゃになる弊害も想定される。効果効能は減退したうえ、クール感も損なわれ、得られるのはぐちゃぐちゃ感である。湿度の高まりにより股間のかゆみが増すことになったら目も当てられない。等々の要因から適量を塗布しつつなくなったあとはポリポリポリしか道は残されていないのである、僕には。もともと奥様は僕の医薬品・生活用品の使い方に疑念を抱いている。昨夜も「歯磨き粉の消費ペースが早すぎ。何か変なことに使っていないか」と言われたばかりである。奥様にデリケアエムズの負担をお願いするには、厳密な監視を受けるのは避けられない。さもなければ、僕がデリケアエムズのクール感を満喫するために身体の他の部位に塗布しているのではないかという彼女の疑念を払拭することはできないからである。具体的には1回に使用するデリケアエムズを奥様に計測していただき、事前にラップフィルムで包んでおくのである。1週間に1度あるいは月に1度位の頻度で計量したデリケアエムズをラップフィルムに包んでいく作業をするのである。奥様の監視下で、生産量をExcelで管理してね。一日に使用できるデリケアエムズ・イン・ラップは4個まで。そんな『未来世紀ブラジル』のような『華氏451度』のような暗い未来を想像していたらストレスにより股間のかゆみがマシマシで、ポリポリポリ、ポリポリポリポリ、ポリポリ、ポリポリポリポリ、ポリポリポリ、ポリポリポリポリ、ポリリズムが止まらなくなってしまった。無理だ。耐えられない。となると経済的側面からデリケアエムズがストップする暗い近未来しかない。もはや、高温多湿環境を変えていくか、あるいは股間ポリポリを社会的に認めてもらい、往来でポリポリしていても、最低限のエチケットを守っていれば「まぁ仕方ないよね」とスルーできる寛容さを社会が身につけるしかない。そんな社会がやってくることを信じたい。そして僕は真夜中に全身のかゆさから解放されたゾウの夢を見る。ぱおーん。(所要時間40分)給食営業マンが本になりました。よろしく。【電子版限定特典付き】 給食営業マン サバイバル戦記 カスハラ地獄、失注連鎖、米の仕入れも赤信号

 

スキマバイトは「給食」を変えられるか?

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僕は給食会社の営業部長。先日、会社上層部から呼ばれて「現場スタッフ不足をスキマバイトの活用で解決できないか検討してくれ」と言われた。「また思い付きか…」と流していたら「細菌検査(検便)をクリアすれば」とか「秘密保持契約を結べば」などと専門的実務的なことを言い出した。彼らは本気だ。彼らなりに会社のことを考えていた。僕は、「ウチの会社上層部はアホ」という認識が成長しすぎて、まったく仕事をしていないという幻想を心の中に作っていた。この点は反省。すまん。とはいっても、会社上層部には創造性が欠如しているので、スキマバイトを推している業者の営業からの入れ知恵だろう。

給食業界は、人材確保に苦戦している。現場スタッフは社員からパートスタッフまで余裕がない。求人広告を見るかぎりでは、どの給食会社も苦戦しているようだ。特に、休みなく、朝昼夕3食提供している福祉施設(老人ホーム)や病院は、勤務時間が、早朝だったり、長くなったりするため、定着率が低いうえ、採用もうまくいっていない。そのためヘルプスタッフで穴埋めをしているが、彼らも休ませなければならない。だから、スキマバイトを活用して一時的にでも人材不足を解消するのは理にかなっているのだ。

で、いろいろ検討してみたが、当社ではスキマバイトの活用は難しかった。当社だけでなく給食会社で活用は難しいだろう。理由はスキマバイトと給食業は相性の悪さだ。委託給食は、クライアントから施設と設備を借りて運営している。たとえば、社員食堂は企業の福利厚生施設であり敷地内にある。そのため、スポット的に(企業側からみれば)よくわからない人を施設内に入れることにセキュリティの問題から拒絶反応を示すのだ。相談したクライアントからも「特定できない人を施設内に入れるのは出来たらやめてもらえませんか」と釘を刺されてしまった。

老人ホームや保育所のような施設系はさらにその傾向が強い。「スキマバイトの導入は委託契約書に含まれていません」とはっきり断ってきた法人もあった。相談に乗ってもらったとある特別養護老人ホームの事務長からは「入居している人にとってここは家なので……家に知らない人がいたら嫌でしょう?びっくりするでしょう?」とやんわり断られてしまった。社員食堂であれ福祉施設であれ、従業員名簿の提出を求められることがあるので、こうした反応は予想通りだった。

給食はクライアントの施設と設備を借りて営業しているため、スキマバイトを導入するにはクライアントから事前に許可を得ることが必要だ。たとえば、「こういう人を何月何日に使いたい」と人物と日時を特定して事前にクライアントに申請するように。だがこれはスキマバイト最大の利点である手軽さと相反する。つまり給食とスキマバイトは相性が悪いのだ。言いかえればクライアントの許可があればスキマバイトの利用は可能ともいえる。だが、先述のとおり、もっともニーズのある(人材不足が深刻な)老人ホームや病院といった現場とスキマバイトの相性はよろしくない。難しい。

会社上層部に、結果を伝えた。「しょうがない」と諦めてくれるかと思いきや、「クライアントに内緒でスキマバイトを入れればいいだろう」と言い出した。ウチが誰を雇用しようが相手には関係ない、そもそもスキマバイトを入れてもクライアントはわからない、と。これまで仕事をしていないのに、なぜ、スキマバイト導入には熱が入っているのだろう。「お主もワルよのう」的な何かがあるのだろうか。「クライアントの敷地に入るときのチェックをどうやってクリアするのですか。登録や許可のない人間は入館できませんよ」と反論すると「辞めた人間の名前を使えばいい。その場をしのげればいい」とグレーなことを言いはじめた。

会社上層部は僕に「君には柔軟性が足りない」と言い出した。何を言い出すのかと身構えていると「現場にこだわらなくていい。君のような本社スタッフの代わりにスキマバイトを入れて、本社スタッフが現場に入ればいい。君の代わりにスキマバイトに営業部長をやってもらって君が社員食堂で働けば何も問題はない」と言ったのである。真顔で。その理屈でいえば、会社上層部をスキマバイトにやってもらったほうが遙かにマシな経営ができると思ったよ。マル。(所要時間22分)

給食営業マンが本になりました。9月18日発売。電子書籍版もあります。