Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

オエーッおっさん合唱団

 子供のころ、歯磨きをしているオヤジが「オエーッ!オエッ!」と奇妙な声を出しているのが不思議で仕方なかった。家中に響き渡るほどの大きな声だった。僕は「オヤジどこかカラダがおかしいんじゃね?」なんて思っていた。ところが僕も30を過ぎたあたりから同じような声が出るようになった。歯ブラシを奥歯の方に突っ込むだけで胃のあたりから何かがこみあげてきてオエーッとなる。なにかを産んでしまいそうな勢いのオエーッ!


 僕の家系特有の「癖」みたいなものだとずっと思っていたのだけど、どうやら違うらしい。ある朝、歯を磨いているとどこからともなくオエーッと聞こえてきた。ふと耳を澄ますと、至る所でオエオエ言っている。声に若さがないので同じ時間に出勤する近所のおっさん達だろう。負けずにオエーッとやると、どこからともなくオエーッ!と返ってくる。以来、そんな朝が続いている。


 最近はオエーッがちょっとしたコミュニティになっている。オエーッ!(おはようございます)オエオエ!(どーも!)オエーッ!(元気ですか?)オオオエエ!(なんとかやっています)オオエエオオエエエエエ!(最近女房と子供が口きいてくれなくって)オオエ!(ドンマイ張り切っていきましょう)オオエエエ!(実は俺EDなんだ!)オエッオエッ!(いつか治るよ)オエーッオオオエ?(mixi招待されないんだけど?)という感じのおっさんコミュ。オエーッ!の声色が少ないとどこか調子が悪い人がいるんじゃないかと「オエ?」っと心配の声をあげてしてしまうくらいだ。そうやって、近所のおっさん達とオエーッ!とエール交換をして励ましあってから僕は出勤している。明日の朝もきっとおっさんの声が聞こえてくるはずだ。オエオエオエオエグワッグワッグワッ♪