夏以来、悩んでいることがある。生命保険のセールスだ。ロックじゃないと罵倒されるのが恐ろしいあまり隠蔽というこれまたロックと相反する行為で隠し続けているのだが実はファイナンシャルプランナー2級資格をもっていたりする僕は自分のライフプランニングを万全におこない既に十分な生命保険等々に加入しており本来なら包茎治療広告写真の男性モデルのような堂々とした態度で聞く耳をもたないのだがアフター5に保険のセールスマンの唇の間から滔々と湧き出てくる営業トークを聞く羽目になったのはその保険のセールスマンが社長のご子息だからである。
社長から呼び出され知り合いの話をきいてくれと言われたのは夏の終わり。「話を聞くだけで構わない」「契約するかしないかは君の自由だ」「私の顔を立ててくれ」というので話を受けた。社長の仲介とはいえ、我が社の重役会議室(通称サティアン)で保険のセールスマーンと会うのは何か裏があると思ったら会うや否や「社長の長男です」。初っ端からかよ。正直面食らった。
マニュアル通りなんだろう、可もなく不可もなくさしたる印象もなく営業トークを終えると「どのプランに加入しますか」と加入契約を前提にした話をしてくるので、同じ営業マンとして武士の情け、優しく「可もなく不可もない内容なので契約までは」と断ると「不可はないんですよね!」とまったく空気が読めていないご子息のご様子。厄介。その後、「不可はないんですよね」「不可はないですけど可もないですよ」「不可はないですよね」「可もないです」「不可はない」「可もない」「不可」「可」フカ・カ・フケ・ケ…不毛なやり取りを繰り返すうちに両者疲弊し蚊のなくような声で「不可がないのなら家にもちかえって奥さんと考えてください」「持ち帰るのは可です」という結論にいたった。ノーサイド。
以来、社長から携帯番号を聞いたらしく、 執拗に電話がかかってくるようになった。どうしますか?どのプランにしますか?ご説明に行きたいのですが。僕はそのたびにオッカナイ家内と話し合った結果今回の話はなったことにしてくれと返答しているのだがまたお電話しますといってへこたれず電話はかかってくる。ムカついて着信拒否。すると社に現れて「お話を」としつこいので改めて契約しない意思を伝えると「えぇええ。私、親族はみんな契約してもらって父の会社で持病のない人も全員契約していただいているのにー」「関係者以外に営業はかけないのですか?」「そうですね。だって契約していただきやすい方が近くにいるのですから」「そうですか。でも私は御社の保険は必要ないので今回は縁がなかったということにしてもらえないですか。保険を支払う余裕もないですし。お父さんが私の給料を増やしてくれればいいのですが」「本当にいいんですか?」「いいんです」「この話に乗らないと損しますよ」「いいんです」これがよくなかった。
最終会談のあと、社長に呼び出されてた。「息子のビジネスに協力しないなら…私も人間だ、ひとりの親だ、感情的に君の評価を下げてしまうかもしれない」と社長はいった。「いらないからいらないんです」のあとに続けるべき言葉を見つけられなかった。社長は便所を這うゴキブリを殺すときのような黒目がツヤなしブラックになった目をして「息子に賃金が安すぎるから保険に入れないといったのは本当か?」と詰問してきて僕は風前の灯火。あの冗談を言ったのか。嘘はいえない。「本当です」「自分の問題を会社のせいにするとは。君には失望した。評価は、必然、さがる」結局、この会社にいる限り、僕には「いらない保険契約を結んで無駄な出費を強いられる」か「保険を断ったおかげでトップからの評価と報酬が下がる」の二択しかないらしい。実質、賃金カット。ライフプランニングの修正が必要かも。ファイナンシャルプランナー2級の資格もっててよかったーってなんか納得いかないこの会社。
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