Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

子供が出来ました。

 子供が出来た。といっても僕の子供ではなく、以前お付き合いをしていた女性が子供を産んだのだ。インターネットは残酷な代物で、時に、知りたくもない情報まで流れてきてしまう。偶然ながめていたフェイスブックのタイムラインに共通の友人、つまり彼女の旦那から出産の報告があった。良くいえば猿似、悪くいえばママ似の愛くるしい赤ん坊の写真。光の速さで投稿された写真それぞれに執拗に「いいね!」をつけておいた。ちなみに彼女と僕はフェイスブックの友達ではない。彼女からMixiのアクセス拒否されてもう七年になる。

 

 僕らの関係は彼女から突然、一方的に切られた。「もう無理」の一言だった。『全裸筋肉バスター』か『秘技/水餃子』が原因ではないかと考えているが、はっきりした理由はわからない。きっと永遠にわからないだろう。「水餃子最低だったわ」と今さら指摘されても僕も困る。彼女の旦那とも顔見知りで、彼女と別れてからは彼とも会っていない。彼女にはさておき、彼には怨みとかそういうのはまったくない。僕と彼女が付き合っている前提であらわれた飲み会にも参加していたけどどういう意図と魂胆があったのか、詰問してみたい気持ちはあるけれども。

 

 若く美しい妻のいる僕だ。ひどく加齢した彼女への未練はまったくない。ただ、当時は自分で思っている以上にショックだったのだろう、僕は彼女に切られたときに、アレもちょん切られてしまったらしく、男としてダメになってしまった。あの日から青い薬は手放せず、モーニングスタンディングは一度もない。結果的に彼女のせいで僕は不能に陥り、妊活に失敗し、子供を諦めざるをえなくなった。妻とのアレも叶わず、お先真っ暗だ。

 

 でも僕は呪福しようと思う。もしかしたらあの赤ん坊は僕の子供だったかもしれないからだ。子供はすばらしい。みんなの宝だ。彼女のせいで素晴らしい子供を得られなくなってしまったお先真っ暗な人生だけれど、生まれてくる子供に罪はない、母になった彼女を今は精一杯、呪うよ。フェイスブックにアップされ、たくさんのいいね!に囲まれた赤ん坊の愛らしい写真。僕がそういう赤ん坊の写真をアップする機会は未来永劫訪れない。でもそれも過ぎたことだ。今、僕は立派に母親になった彼女を草葉の陰から称えたい。呪いたい。僕の分までしっかりとした親になって、溢れかえるような困難を乗り越え、増大する一方の食費や生活費や教育費をしっかりと負担していってもらいたい。

 

 残念ながら僕は子供を持てなかったけれど、子供の未来は明るい。人口減。産業の衰退。TPP。1人の高齢者を1.3人の現役世代が支える時代(2060年頃)。北朝鮮の弾道ミサイル。それらの障害を彼女と赤ん坊が多くの苦労とともに乗り越えていってほしい。子供に係る苦労は僕からみれば贅沢な喜びなのだから。

 

 一日もはやくフェイスブックに「よくないね」ボタンが実装されて欲しい。出来る事ならひとつの記事に対して回数無制限に「よくないね」が付けられるようにして欲しい。とりあえずその日まで僕は呪いながら「いいね!」を押し続ける。