Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

「開運!なんでも鑑定団」は恐ろしいほど正しい。

毎週、楽しみに観ている「開運!なんでも鑑定団」がパワハラ騒動に揺れていて悲しい。出演者の石坂浩二さんがチーフプロデューサーと揉め、発言をカットされるなどのパワハラまがいの仕打ちをされたうえで年度末に降板するとのこと。恐ろしいことだ。

しかし、勘違いしないでほしい。元々この番組は恐ろしいものだった。老人たちがピュアな思いで収集した骨董品を無慈悲に鑑定査定する恐ろしい番組、それが「なんでも鑑定団」。僕が鑑定団を愛してやまないのは、この恐ろしさゆえなのである。百万で買ったツボが千円査定され心臓が止まりそうになるご老体。自信過剰気味の鑑定眼を全否定されるご老体。そういう姿にゲスな僕は胸を焦がしてきたのだ。今回は査定対象がたまたま石坂浩二さんになっただけなのだから、方法は大いに間違っているが番組の方向性はまったくブレていないし正しい。「なんでも鑑定団」もとい、「パワハラ鑑定団」さすがなのである。

僕は石坂浩二さんをリスペクトしてやまない。その知性とスピード感溢れる行動力はいくらリスペクトしても足りない。今もまぶたをとじれば、離婚会見5日後に20才以上年下の不倫相手と結婚した彼のスピード感ありすぎる行動が、まるで昨日の出来事のように浮かんでくる…。しかし、仕事上の実質的トップと揉めたのが真実だとしたら、金田一耕助を演じたにしては洞察力がなさすぎた。厳しい言い方になるが芸能界ボケといわざるをえない。会社員が社長の顔を知らなかったら死刑だからだ。

仕事を干されたというべきなのか、飼い殺しというべきなのか、わからないが、発言をカットし存在を空気にして「あの人いらなくね?」という雰囲気を形成、既成事実を固めてからの残酷な「いらなくね?」。僕などはギャラさえ貰えればどうでもいいので気楽でいいじゃんと思ってしまうけれども、世間に同調してパワハラ、きっつーとだけ言っておく。

実際パワハラはきつい。イジメや悪口などのわかりやすいパワハラも一見パワハラには見えないものも。唐突だが、僕が約二十年のサラリーマン生活で学んだ厄介なパワハラのサインを教えて差し上げよう。それは「今まで存在しなかったポストが創設されること」だ。そのポストが終身名誉監督や助監督や上級大将のように言葉の意味はよくわからんがとにかく偉そうなもの、かつ、無くてもよくね的なポストであったら十中八九ビンゴ。持ち上げられた当人は豚もおだてりゃ木に登る気分でウハウハブッヒー!その実、昨日まであった権力を取り上げられており、気づいたときにはハシゴは外され職場に充満している「あの人いらなくね?」の空気。無意識に書きはじめている退職届。やがて悲しき自己都合退職。きっつー。

実際、僕の会社では社内随一のキレ者が社長と対立直後になぜか創設された統括総合事業本部長なるポストに就き、権力を剥奪。何もすることがない彼の目は虚ろになっていく一方。一般的に働いていない同僚という存在は役職が何であれ馬鹿にされるもの。周囲はそんな彼を統括総合事業本部長→統括部長→統括と徐々に雑な呼称で呼び、最終的にはTKという小室哲哉まがいな蔑称で呼ぶ者まで現れるようになり、彼は追い詰められるようにして退職していった。退職と同時にTKポストも消滅。彼はその後心を病んだと噂話に聞いた。持ち上げられたあとに叩き落とされたのでダメージも二倍であった。

このように新たなポストが創設されたらパワハラの前兆かもしれないので注意してほしい。石坂浩二さんですら鑑定団にガチ鑑定されゼロ査定される恐ろしい時代である。みんなも頑張って生き抜いて欲しい。そんなピュアな願いから僕はこの文章を書いた。主席課長という突然創設された謎の役職を与えられ、課長会議への出席を免除され、大学生バイトが抜けた穴を埋めるために早朝4時からマッシュポテトをつくっているスーパーエリートの僕には、ゼロ査定とかまったく関係のない話なんだけどね。

(この文章は眠気と格闘しながら21分間で書かれた)