テレビショウでコメンテーターをしていた経営コンサルのショーンＫさんが学歴その他を詐称していたことが大きな騒ぎになっている。僕は彼のいる席を芸人枠ととらえていたのでケンコバが「獄中出産で産まれた」と語るのと同じじゃん、面白いなーぐらいの感想しか持たなかった。なぜ僕がそのような冷めた反応をするのか？それは世間の皆様のように「学歴（経歴）詐称ふざけんなよ」と声高に叫べない後ろめたい事情が僕にはあるからである。具体的に申し上げれば、僕自身が学歴詐称をしていたからである。恥ずかしい。
学歴詐称が成立するには３つの要素がある。学歴詐称により他人様を欺こうとする意志。騙される側の油断や眼力、学歴盲信。顔や振る舞いや言動など詐称を遂行し人を騙せるだけの能力と努力。実際のところほとんどのアイドルのウエスト５９センチが真っ赤な嘘であるように詐称出来る能力が決定的に欠落していて詐称は成就しない。あそこまで成り上がったショーン氏のその方面の能力は空前絶後のものだったのだろう。
自分の恥部を晒すようで嬉し恥ずかしいかぎりだが、先に述べたとおり僕も学歴詐称をしたことがある。公式には３度。僕はキャバ嬢にモテたいあまりに《東大卒》と学歴を偽りました。大人の事情でダイレクトに記述できないが想像力を試される倶楽部で身分を偽って《幼稚園児になりました》でちゅ。不幸中の幸いで、僕には詐称出来る能力が決定的に欠落していて、東大卒でも幼稚園児でもないことがガールズに看過され所定の時間が経過するとシンデレラの魔法が解けたように「東大とか嘘でしょ」「わたし東大生なんですけどやめてもらえます？」「いつまで幼稚園児やってるの。キモー」と突き放されてしまった。きっつー。もし。あのとき。僕に東大卒や幼稚園児を人に信じさせるだけの詐欺能力があったら…ショーン氏のかわりにコメンテーターとして活躍していたかもしれない。
もうひとつ。アニメ好きのキャバクラ嬢に気に入られたくて代々木アニメーション学院出身を偽ったこともあるがめちゃくちゃドン引きされてしまった。そのとき代アニ生の歩くいばらの道を想ってキャバクラのトイレでひとり落涙してしまったことを追記しておく。これらの学歴詐称についてはこの場所でお詫びさせていただく。ごめん。
４０年以上生きていると深刻な詐称被害に遭うことも多々ある。そのほとんどは幼稚な悪戯にすぎないのだけれども、なかには深刻なものもあってキャバクラに体験入店していた女子大生が女子大生でないことが発覚したとき、僕は今までの人生で味わったことのない怒りを覚えた。源氏名。年齢。出身地。騙し騙されのまやかしの夜の世界でも欺いてはならないことは間違いなくある。女子大生か否かは間違いなくそのひとつだと、つい先日まで早乙女女子大学が実在していると信じていた僕は強く思う。
個人情報保護時代の昨今、真実を真実と証明するのはひどく難しい。一方で人を欺こうとする輩はこれからも絶えない。防衛手段は自分の眼力を高めること、肩書や立場を大事にしすぎないこと、人をたやすく信じないこと、自分の目で確かめてみること、それくらいしかない。４２才の僕はもう詐称しない。自分を大きくみせたり、賢くみせたりするのはもうやめだ。ありのままの自分をさらけだしていきたい。ショーン氏の起こした騒動のせいで、外人レベルのメガサイズでめちゃくちゃハードという僕の真実までもが疑われてしまいそうなのが本当に悲しい。（所要時間１８分）
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