Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

42歳、無職のリアル

会社を辞めて4週間、まだ仕事は見つからない。世間体を気にして朝のゴミ出しもスーツを着て、あたかも出勤前のパパを装ってやっている。妻からは1ヵ月以内に今後の見通しを示さないと大変な災厄が降りかかると警告されている。今朝、「相談もなく会社を辞めてしまって…何サマですか」と妻から言われた。彼女は何の見通しもなく身勝手に辞めた僕のような人でなしに『様』を付けて慕ってくれている。ありがたいことだ。「僕のような勝手人間に『様』なんてつけないでくれよ。水臭い」という僕の感謝の言葉を遮って、彼女は「生活水準は落としたくない」と言う。なんて冷たい人なのだろう、このような危機を協力して乗り越えるのが家族のあるべき姿ではないか、無職という立場を棚上げして、パートで働く彼女に説教して差し上げた。「多少、家計が苦しくなってもいいではないか」と主張する僕に、彼女は、では仮の話をさせていただきますが、と前置きしてから「今、A子はパートで働いています」「ハイ」「A子の職場は人間関係がイヤな感じで、仕事もキツイとします」「最悪だね」「辞めたい。しかしA子の主人は無職で家計を支えるために辞められません」「そんな職場は辞めた方がいい。僕もブラッキーな会社を辞めた途端に胃痛が治ったよ」「A子は次の仕事のメドがついたのでパートを辞めました。しかし次の仕事の時給は前よりも低くなってしまいました」「そりゃ大変だ」「生活費はギリギリまで切り詰めているので、あとカットするのは主人へのおこづかいのみ」「仕方ないよね。緊急だもの」「A子は私です」「えー!」「もし、キミが再就職に失敗して生活水準が以前よりも下がってしまったら、いの一番でカットされるのはキミの小遣いであることを忘れないように、死ぬ気で頑張って生きてください」。毎朝、このような有形無形かつ荒唐無稽な重圧を受けている。今朝は真面目に「とくダネ!」も見ないで求職活動に取り組んだ。前に登録したいくつかの転職サイトからは、まったく反応がない。小遣い死守のため、生活水準を落とさないため、前職と同等の待遇を入力した途端に、積極的に助言をくれていたアシスタント役からの連絡は途絶え、企業からのアプローチは皆無。何万社登録してあるサイトであっても、特別なスキルを何も持たない平凡無気力な42歳の前には無力なのだ。朝一で職安に行ってみた。先日、離職票を持って行った際に職安のロビーで見かけた「チャンス求人」コーナーなら、あそこなら、僕の生活水準を維持する《100万円求人》があるに違いない。だってチャンスだもの。チャンスを活かすも殺すも自分次第、そういう意気を胸に僕は、チャンス抱きしめて、ユガタチャンス、ユガタチャンスと吉川晃司を歌いながらハロワに向かったのである。チャンス求人コーナーに辿り着いて「チャンス!前回の求人より時給が10円アップしています!1日80円アップ!」という文面を目の当たりにしたときの絶望をあらわす言葉を僕は持っていなかった。端末コーナーからは「ダブルクリックってどうやんの!」という初老男性の絶叫が聞こえた。きっつー。僕のやってきたところは想像以上に悲惨な戦場なのかもしれない。夫婦滅亡まであと1ヵ月。頑張るぞー。(所要時間16分)