Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

「書き捨て」について

この記事は12月16日にKADOKAWAから発売される僕の新著『圧倒的な世界観で多くの人を魅了する 神・文章術』からの先出しです。今回は、「どうすれば書けるのか」に対する回答部分です。

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・「書き捨て」はひとりカラオケである。

「どうすれば書けるようになるのか?」という問いへの答え。
それは「『書き捨て』をしよう」である。
「書き捨て」とは、僕が苦難に満ちたサラリーマン生活を経て、やっとたどりついた、オリジナルのメソッド。
文字通り、紙にシャーペンやボールペンで、思うがまま書いて、あとに残さないで捨てるという手法をさす。
もちろんあなただって、今までに何度も「書き捨て」を経験しているはずだ。
何枚もの紙にアイディアを書き、丸めては捨て、破っては捨て……。
むしろ「『書き捨て』なんて、したことがない」という人のほうが珍しいかもしれない。

ただしこの手法は、無意識に行っても効果は期待できない。
明確な目的意識が伴ってこそ、人生をより良いものに変える数多くのメリットをもたらしてくれる。

僕はこれをずっと続けている。心にひっかかったものについて、書いては捨てる。残さないからこそ、自由に、自分の言葉で書くことができる。
いったい、どういうことか、お話ししてみよう。
「書いたものは、残す」というマイルールを自分に課した場合。それは少なからずプレッシャーとしてのしかかってくる。
ブログなんて特にそうだ。もちろん、ボタンひとつでいつでも削除できる。
とはいえ「残す(世間様に公開する)」と決めた時点で、いかに慣れている僕でも肩に力が入ってしまう。
Twitterなんて、なおさらだ。Twitterは文面の修正がきかない。たった140文字といえども、誤字脱字、反響を考えると、なかなか気軽につぶやきにくい。 
残すことがプレッシャーになってしまうくらいなら、
あらかじめ、「書いたものは、捨てる」と決めてしまったらどうだろう。
気持ちが軽くなり、いくらでもペンを動かせそうだ。
すると、心が自由にのびやかになり、それまでは感知できなかったことにまで、気付けるようになる。フィールドが拡がる。それは、とても大事なことだと思う。

たとえば「筆がすべる」なんて言葉がある。「調子に乗ったあまり、余計なこと(間違ったこと)を書いてしまう」というネガティブな文脈で使われる言葉だけれども、僕は、それでいいんじゃないかとすら思う。だって、自分から自由自在に言葉が沸き上がってくる状態になるだけでも、素晴らしいことなのだから。書くことくらい自由に、調子に乗ってしまおうじゃないか。

 

メモやノートや予定帳のように「書き残すもの」には、後で読み返して勉強の参考にする、記憶を補填するといった、何らかの意図と目的がある。読み返すために、ある程度体裁を整える必要もある。

 

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それに対して「書き捨て」は、残さないことを前提にしているので、目的や意図や必要に縛られない。体裁を整える必要もなく、気楽に自由に書ける。ぐちゃぐちゃでもいい。たとえば、ミーティングで同僚の前で、ふと心に浮かんだくだらないアイディア(しかも言語化されていない)をホワイトボードにそのまま書けるだろうか。難しい。周囲から「錯乱したのか」と白い目で見られてしまう危険性もある。

オーディエンスがいると自由に心のままに書けないのだ。だが、誰にも見せない、将来見返すこともない、書き捨てなら、どんなことでも書ける。自分以外には理解不能な言葉や図で書いてもいい。書き捨てはひとりカラオケのようなものだ。観客のいない、ひとりカラオケなら音程を外そうが歌詞がめちゃくちゃだろうが自由になれる。アレンジだって自由自在だ。書き捨ては、一人カラオケと同じように、ルールや常識から逸脱して自由になれるのである。

◆「書き捨て」とは?
1.紙に書く(裏紙でいい)。
2.残さない意識を持つ。
3.消しゴムや修正液で消さない(削除は線で)。
4.かならず捨てる(人に見られるのが心配な人は、クシャクシャに丸めてもよい)。

書き捨てと並行して文章を書き続けているうちに、自分がどういう人間なのか徐々にわかってきた。世界観が構築されていった。その世界観からの観察をベースに、ブログを書くようになってから、読んでくれる人も次第に増えていった。文章を通じて僕という人間に興味を持ってくれる人が増えてきたのだ。

僕が書き捨ててきたテーマは、「仕事がうまくいかなかったとき、何が原因だったのか」「若手や上司とのあいだにあるジェネレーションギャップとどう付き合えばいいのか」「チームのマネジメント上で、経験のない問題に直面したときの打開策」「企画提案で他社を圧倒できるアイデアを発想したい」「今の悩みをどうやって目標に変えればいいのか」といったところだ。普通に生きている人にありがちな、ありふれた、しかしながら一筋縄では解決できないものばかりだ。

書き捨てを続けていくうちに、「このままじゃダメだ」という焦りと悩みがまじったモヤモヤした気分も次第に晴れていった。それから今日まで楽に生きられている。気が付くと、ウェブ日記と書き捨てを始めてから20年近くの年月が経っている。

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