雨の夜、「はてな村」という星座を思い出す - シロクマの屑籠
シロクマさんの「はてな村」についての懐古記事を、ほぼ同じ世代でほぼ同じ時代をインターネットで過ごした者として興味深く読んだ。僕は25年くらいインターネット上に文章をアップしているけれども、「はてな」も含めてインターネットのコミュニティに属したことがないと認識している。現在でも、キャラクターを認識できるアカウントは数えるほどしかない。付き合いのあるアカウントも少ない。そんな中途半端な立ち位置にある僕でも、ネットの片隅に存在していたコミュニティーがなくなりつつある状況はすこし寂しい。「写真でしか知らない、遠い国の森林に生息するとある生物が滅亡に向かっている」というニュースを聞いたときの感覚に近い。直接関係ないし何かしようと思わないけれど、なくなると寂しい、みたいな感じだ。ブログやブックマークのような古いネットのサービス(コミュニティー)から活気が失われるのは自然の流れであり仕方のないところだ。
そういえば、僕にも中途半端なネット上の立ち位置を変えられる契機があった。ネット有名人であり、「はてな村」の中心人物であり、僕の数少ないネットを通じた友人であったHagex君との出会いだ。亡くなるまでの半年間、頻繁に会っていた。あの頃の彼は、ネットから飛び出してリアルでの活動を加速していて、その動きのなかでまず最初に僕にコンタクトを取ってきたのだ。いくつかの企画について話し合ったり、はてなの東京オフィスにプレゼンに行ったり、計画はあったけれど、事件で、全部なくなった。事件がなければ僕のインターネットライフも違うものになっただろうか。わからない。
今も、あの頃と同じように僕はブログを書き続けている。Hagex君の遺志を継いで「ハゲ子が好きだったネット文化とかブログとかを続けていきたい」なーんてことはまったくない。他に行き場所がなかっただけなんだよ。25年前、誰かに届くといいなーと思ってインターネットに文章をアップしはじめたときも他に行き場所がなかった。当時、僕の文章を読んでいるのは僕だけだった。独り言だった。当時に比べたら読んでくれる人の数は増えたけれども、独り言をつぶやいている感覚は変わらない。だから、いつの日か、近い将来、はてなブログやはてなブックマークがめっちゃ過疎って、誰もいなくなっても、一人に戻るだけのこと。僕は死ぬまで一人でインターネットの片隅で何か書いていると思う。最後まで独り言を呟き続けて全部幻でしたー!なんて、まあまあいいネット人生と言えるのでないかな。はてなの人たちも忘れてしまったかもしれないけれど、Hagex君が亡くなって今日でちょうど7年。これから喪に服してお酒を飲みます。(所要時間18分)Hagex-day.infoを読んでくださっている皆様へ - Hagex-day info