Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

『ヤバい日本の住所』が本当にヤバかった。

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カレンダー通りに働いていて夏らしいことをしていないので読書感想文を書いて夏気分を味わってみることにした。で、河合太郎著『ヤバい日本の住所』を読んでみたのであります。

「日本の住所のヤバさを紹介する本」という先入観が裏切られて、ちょっと感動してしまった。僕は自分と違う世界で生きている人の苦労話や失敗談が大好物。だから本書も「日本の住所はメチャクチャでツッコミどころだらけだろうなー」「トンデモなケースもあるんだろうなー」と地図を生業にしている人の苦労話を読んで笑おうと思っていたのだが…。

著者は、地図ソフトの開発からインターネットの地図サービスの開発を経て、今はAppleでマップを担当する住所専門家。その立場から「なぜ日本の住所がヤバいのか」、その理由と原因から、数々のヤバい事例を紹介していくという流れ。特徴的なのは、住所の「表記」にとことんこだわっているところ。なぜこんなアホな表記になるのか、淡々とため息をつきながら解説している姿が目に浮かぶようだ。「-」「‐」「ー」は似ているけど違うように日本の環境特有の表記の揺れや、日本の法令の曖昧さや、「この地名を残したい」という地域愛や、しがらみ(?)などが生み出す様々な事例が紹介されている。京都や大阪あたりの事例は頭が痛くなるほどだ。

しかし、読み進めているうちに、日本の住所の表記のヤバさは、いってみれば我々が積み重ねてきた歴史と文化の産物であり、人間の営みそのものに見えてくる。決定的な住所管理法が出来ればいいけれども、それはそれで味気ないと思えてくるのである。そして、現状のカオスでヤバい日本の住所を、AIなどの技術でなんとかしていけたらという方向性を示すのだ。ポジティブすぎる。

タイトルにある「ヤバい」は、最初はネガティブなヤバさ、酷いとかどうしようもない、からスタートして、中盤ではそのヤバいが「面白い」に変化して、最終的には「ヤバい」がそういうものすべてを含めたポジティブ感につながっていく。著者の苦労や嘆きが、ヤバい日本の住所を批判的な立場からではなく、メンドクサイけど面白いから付き合ってやるか!というネガティブな前向きスタンスから出ているのがとても良い。『ヤバい日本の住所』とは、超めんどくさくて扱いづらくて出来がわるいけど愛おしくて中毒性があってヤメられない、という意味のヤバい日本の住所のことなのでありました。面白かったです。(所要時間15分)