Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

個人的傑作とは何か/『ゴースト・イン・ザ・シェル』を観て

いい作品とははたして何を指しているのだろうか。映画でも小説でもゲームでも、創作物なら何でもいいのだけれど、それらに触れる際に他人の評価を気にしすぎるのは人生の損失と同義ではないかと僕は思っている。一度きりの人生なのだから、自分の目で見て、耳で聞いて素直にいいと感じたものが良きもの、つまり傑作なのであって、それが、他人から評価されようがされまいが、はたまた酷評されていようが別に構わないではないか。大勢が良いと思っているものが、それほど良いと感じられなかった経験が誰にでもあるのではないか。そんなとき「多くの人が賛美しているのだから…」と自分の感じたものより、他人の言葉を信用してしまうのは、なんだか自分を捻じ曲げているようで、寂しいものに僕には思える。もっと自分らしく生きて欲しい。人の意見に左右されない自分なりの基準を持って欲しいと老婆心で思う次第である。とはいえ、平凡なセンスと、平均的な目と耳と思考能力しか持ち合わせていない一般人に、即座に、自分の頭で考え、自分だけの基準を持とう!というのはどだい無理な話である。皆様には時間をかけて自分なりの基準を作り上げていただき、豊かな人生を送ってもらいたいけれども、皆さんが豊かな人生を送ろうが送れまいが僕にはどうでもいいことなのも、ひとつの事実なのである。こんなことをいっていると、天邪鬼と思われるばかりなので、僕が己の人生をかけて築きあげた基準のひとつをお披露目したい。先日、「ゴースト・イン・ザ・シェル」という日本の漫画「攻殻機動隊」を原作にもつハリウッド映画を観た。無職に降格している僕から「攻殻機動隊」についてあれこれ教わるのは、正社員の皆さんの自尊心を傷つけてしまいかねないので、各自ウィキペディアなどで調べてもらいたい。僕と「攻殻機動隊」の関わりはせいぜい士郎正宗氏による単行本(1)(2)(1.5)を読み、アニメ映画「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」「イノセンス」を劇場、テレビアニメ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」「〃2ndGIG」「〃SSS」をDVDで鑑賞したくらい、最近製作された新アニメはまったく知らない、その程度なので、とてもディープなファンといえない。そんな僕が観ても、今回の「ゴースト・イン・ザ・シェル」は普通にいい映画だった。既にご覧になった皆さんにとってもいい映画であって欲しいとは思うけれども、そんなことはどうでもいい。ここで冒頭の、いい作品とは何か、というクエスチョンに舞い戻る。僕にとって最高の映画か否かの基準は《鑑賞中、ハラハラドキドキし続けているかかどうか》である。この基準に拠って最高の映画としたのは、『ダイ・ハード』『T2』『青春の殺人者』『青い体験』シリーズ…。聡明な皆様はすでに気づいているだろうが、今回鑑賞した『ゴースト・イン・ザ・シェル』のことを僕は最高の映画ではなく、いい映画と評した。僕にとっていい映画とは何か。それは不眠気味の僕が映画上映時間内の相応の時間を眠って過ごせた作品。その基準に拠るとアニメ版をトレースするような描写が続き冒頭20分程度で眠りに落ちてしまった『ゴースト・イン・ザ・シェル』は非常に眠れるいい映画ということになる。僕の判定基準が正しいとは全く思わない。ただ、バカバカしくてもいいので自分なりのブレない基準を持つことが大事という話なのである。さて、僕が今までの人生で「いい映画」と判定してきた作品を列挙してこの文章の〆とさせていただきたい。『機動警察パトレイバー2』『スカイ・クロラ』『アヴァロン』『ASSAULT GIRLS』愛すべきこれらの作品には、どれも「開始20分以内で深い眠りに落ちた」という共通点以外に、大きな共通点があるのだが、それをここに記載すると戦争になりかねないので控えさせていただく。(所要時間19分)