2008-04-01から1ヶ月間の記事一覧
厄介な上司がいる。嫌いな人ではないので、よく飲みに行くのだけれどひとつだけ困った癖がある。本人に悪気がなく、大真面目なので対応に困ってしまう。毅然とした態度で「結構です」ときっぱりと言ってやればいいのだろうが、彼が悲しそうな顔をするのは見…
朝、鏡を見た瞬間に、髪を切ろうと思った。鏡のなかの僕の姿は、認めたくないが醜さが限界値を超えていた。夕べ、布団に入る前は、ここまで酷い顔をしていなかったはず。一晩。たった一晩で人はここまで醜く変われるものなのか。感心と落胆が半々。 いつもの…
子供のころ、歯磨きをしているオヤジが「オエーッ!オエッ!」と奇妙な声を出しているのが不思議で仕方なかった。家中に響き渡るほどの大きな声だった。僕は「オヤジどこかカラダがおかしいんじゃね?」なんて思っていた。ところが僕も30を過ぎたあたりから…
会議があった。月次定例営業会議。面子は僕を含めて総勢8名。会議室に勢揃いした顔ぶれを眺めて暗い気分になった。この面子で会議を行い、話がまとまった例がない。各々が人の話を聞こうとせず、勝手に話すからだ。明確な議題がなく、論点が曖昧になっている…
会社のトイレには大きな窓がある。小便をしながら少し背伸びをすると向かいのビルと下の通りを一望できる。不思議なもので、小便をしながら通りを歩く人影を上から見下ろすと自分が神様か王様になった気分になる。四角に切り取られた僕だけの王国。昔はおか…
出張に行った。仕事を終えてチェックインした部屋は特徴がないのが特徴というくらいの代物で、僅かに僕のなかに残っていた旅行気分を払拭するには十分なつくりだった。労働環境を支える、凝り性な総務のいい仕事。舌打ち。近くの蕎麦屋でざるそばを食べなが…
毎度お馴染み流浪の水彩画コーナー!第六弾「京都八坂神社舞殿」!奉納提灯!いつものように写真を元に描き始めた。鉛筆で下書きを始め、しばらくたってから中央の若者二人が僕と弟だってことに気がついた。高校を出てすぐの3月の休みに家族で京都旅行に行っ…
土曜日。新宿。宴席で馬鹿のようにオッパイ、オッパイと叫んでいるうちに終電を逃していた。一人になった僕は、夜の新宿を彷徨った。当てもなくぶらりぶらりと。いつの間にか、花園神社の隅っこに腰をかけ境内を眺めていた。深夜一時。人の気配は疎らで、時…
メイドバーに行ったのは昨年の今頃のことだ。繁華街の通りで歓迎会か何かを終えてフレッシュな空気を垂れ流している新入社員や学生の集団から、逃げるようにして僕はメイドバーに滑り込んだのだ。扉を閉じテレビや雑誌で話題になったあのフレーズを待った。…
昼カラオケを格安でやっているスナックにたまに顔を出す。完璧に歌えると格好いい。そう教えられて以来、春になるとその店でケツメイシの「さくら」を歌っている。真面目に聴いたことがないので、まともに歌えやしない。まるで国語の授業で指名されて教科書…