
また、就職氷河期世代という言葉を耳にしなくなった。選挙が始まるとどこからか聞こえてきて、選挙が終わると聞こえなくなり、そして誰も触れなくなる。その繰り返しだ。「救済は無理なので触れないでおこう」という考えが見え見えで興醒めだ。
僕は1974年2月生まれ。団塊ジュニア世代かつ就職氷河期世代だ。氷河期世代が被害者扱いされるのはモヤモヤする。僕自身はまあまあ楽しく生きてきた自覚があるので、世間で使い捨てとか救済と言われることに違和感を覚えるのだ。厳しさやキツさはあった。だが、そこにフォーカスされると、半生を否定されるような気持ちになる。氷河期世代のポジティブな面に着目したらどうだろう?ポジティブな部分も他の世代と比べていまひとつだったのかな?ふとそんなことを思った。
1980年、僕は小学生になった。再放送とガンプラでガンダムは大人気だった。ガンプラはなかなか買えなくて商売気の強い汚い大人が…というネガティブな話はしないのだった。低学年の頃は月刊コロコロコミックが楽しみだった。特に大長編ドラえもん。ファミコンがデビューして、週刊少年ジャンプが全盛期。漫画の楽しさを遺伝子レベルで刷り込まれた。テレビでプロレスとプロ野球中継を楽しんだ。地上波という言葉はまだなかった。あだち充先生や高橋留美子先生に触れて、そこから親の影響で少女マンガもたくさん読んだ。親父が大友克洋を愛好していて「童夢」や短編集から大きな影響を受けた。「AKIRA」の分厚い単行本は発売日に親父がゲットしていた。学童の書庫にあったジュール・ヴェルヌの作品や「マガーク少年探偵団シリーズ」に夢中になった。好きだった。
そして1985年。小学生最後の年の年末にジャパンカルチャーを大きく動かす偉大なゲームソフトが世に出た。ファミコン版「ポートピア連続殺人事件」!!というのは冗談で、いや「犯人はヤス」は偉大だけれども、「スーパーマリオブラザーズ」の輝きと比べるとね…。今振り返っても「スーパーマリオ」をリアルタイムで遊べたのは大きかった。なお余談になるが、ウチの奥様はファミコン版「ポートピア連続殺人事件」の発売日に生まれた。年齢はカウントしないでほしい。
1986年、中学生になった。誰でも進学できる公立の中学校だ。まだ勉学に苦労することもなく楽しい人生を送っていた。世の中もキラキラして活気にあふれていた。大人になったら夜な夜なギャルとディスコで遊んでタクチケで帰宅する未来を夢見ていた。「ゼルダの伝説」と「ドラクエ」がデビュー。どちらもよく遊んだ。「ファミスタ」では反則チーム「レイルウェイズ」で対戦プレイにのぞんだ。スパローズ(ヤクルトスワローズ)は弱すぎた。「ファイナルファンタジー」の初代と2作目で遊んだのも中学時代だ。パソコンユーザーの友達の家で日本ファルコムの「ザナドゥ」や「ソーサリアン」を楽しんだ。「ロマンシア」は…おっとネガティブな話題は禁止だった。カルマが溜まるからね。小説も読んだ。大藪春彦とジェイムズ・クラムリーが好きだった。
思春期に突入していたので数々の大人コンテンツを知ったのもこの頃だ。意味のない文字列なので読み飛ばしてほしい。投稿写真デラべっぴんダンクビデオボーイコンプティーク。投稿写真デラべっぴんダンクビデオボーイコンプティーク。ありがとう。大人向けの素敵な番組を知った。テレビ神奈川の深夜に放送していたサンテレビ制作のお色気番組、それから「11PM」と「トゥナイト」。11PMのウサギちゃん温泉コーナーで温泉の効能をウサギちゃんが丸出しで伝えてくれていたけどいっさい頭に入らなかったのもいい思い出だ。あと山本晋也監督は神。
1989年に高校生になった。年号が平成に変わった。県立高校へ進学した。進学校で勉学に苦戦してボンクラ道を突っ走った。洋楽を本格的に聴くようになった。お金がなかったので「FMステーション」という雑誌でチェックして、FM放送を録音して気になったものをレンタルCD屋で借りてハイポジテープにダビングして聴いていた。好きだったバンドで今も名前が通じるのはニューオーダー、ニルヴァーナ、レッチリ、ストーンローゼスあたりかな。ハッピーマンデーズなんか若者は知らないよね。あとニルヴァーナは当初ナーヴァナと呼んでいた気がするけどこれは記憶のエラーかもしれない。僕の周囲ではマイ・ブラッディ・バレンタインを聴いている人は誰もいなかったけど最近のライブに同年代のおっさんおばはんが押し寄せていたのが不思議だ。おっとネガティブな話題は…。
漫画も読み続けていたけどレンタルビデオ屋が近所にいくつかできたので映画を見まくった。テレビ放送ではなく自宅で好きな映画が見られるのは画期的だった。ホラーとアクションと戦争ものを見まくった。テレビは深夜のお色気番組が印象に残っている。「満月テレビ」や「EXテレビ」。「ギルガメッシュないと」は後発。イジリー岡田は現人神。ぺろぺろ。「ドラクエ4」のAI戦闘のクリフトにムカついて、ファイナルファンタジーは3と4が出た。16ビット機の時代になってスーパーファミコンとメガドラで遊んだのもいい思い出だ。「神々のトライフォース」で遊びすぎて東大受験にしくじった笑。あと、「ターミネーター2」は最高だった。世の中はバブル全盛で明るく破廉恥な未来への期待で胸と違う部位を膨らませておりました。
1992年からは大学生のお年頃。受験戦争を突破できたのは今でも謎。大学時代は家庭の事情でサークルに顔を出せなくなるほどアルバイトばかりしていて暗黒期である。ポジティブな出来事はヤクルトスワローズが野村監督で黄金期を迎えたことくらいかな。金欠でプレステは買えず、スーファミとメガドラと中古で買ったセガサターンで遊んだ。ドラクエとファイナルファンタジーは共に5と6。「ロマンシングサガシリーズ」にはまる。フローラとビアンカの結婚問題はフローラ一択で悩むことはなかった。お金が大事だ。バブルがはじけて暗い影が世の中を覆い始めていた。テレビで「エヴァンゲリオン」が放送された。学生時代にエヴァンゲリオンを通過しておいて良かった。
1996年から社会人。奇跡的に就職に成功。このあたりから仕事に追われてポジティブな話が少なくなる。大人って悲しいね。サッカー日本代表がW杯に出始める。プレステ2を買うが多忙で通勤時間に遊ぶゲームボーイがゲーム人生のメインになる。「テリーのドラクエモンスターズ」ばかり遊んでいた。ポケモンは乗り損ねてしまった。DVDで映画と成人向け作品を見まくる日々。インターネットとパソコン(Windows)と携帯が一気に普及する。2000年代からは転職したりブログやSNSをはじめ、そこから本を出したりした。そして現在に至る。
悪くない。最高じゃないか。子供の頃にクールジャパンの始祖に触れてその成長と発展と共にあったのは僕らの世代ならではだ。マリオ、ゼルダ、ドラクエはすべて初代からリアルタイムで知っている。パソコンやインターネットやケータイ(スマホ)といったものをまだ若い20代のうちに経験できたのも大きかった。このときの経験があったから今でも現役で働けている。これらは氷河期世代のポジティブな面だといえる。
氷河期世代に係るネガティブな面、就職戦線の異常な厳しさ等々は、少なからず人生に影響したけれども、愛少女ポリアンナのように良かった探しをしてみると、それほど悪いものではなかったと思える。この世代だったからこそ、良いタイミングで通過できたことがたくさんあった。子供や思春期で通過するのと、大人になってからでは、体験としてだいぶ違うものになるからね。氷河期世代は、社会の被害者で救済が必要。そのとおりだ。でも、それに甘んじては駄目だ。世の中が救ってくれると本気で考えているのなら楽観的すぎるし、世の中の理不尽さ、冷酷さをいちばん知っているのは氷河期世代だ。世代に囚われすぎてはいけない。ときどき自分史の良いところを振り返りながら、自分の人生を生きよう。誰もが自分の属する世代の一員である前に、一人の人間として生きているのだから。(所要時間38分)昨年出した本は、氷河期世代の奮闘記でもあります。よろしく→。


