Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

カーオーディオにDVD/Blu-ray再生機能は必要か?

カーオーディオにCDやDVDといったディスクメディアの入らないディスクレス仕様が増えてきている。このままDVDは使えなくなる!? ディスプレイオーディオ台頭でどうするファミリー層 - 自動車情報誌「ベストカー」音楽はBluetooth等で連携させる仕様。時代の流れだが、僕はこの流れに大反対。そもそもレスという文字が中に入っている言葉全般が好きではない(人名除く)。セックスレス、ストレス、ドレスコード、嫌いなものばかりだ。車を運転するときはいつも音楽を聴いている。CDから取り込んだファイルやDVDやBlu-rayを再生している。それらは通勤やドライブの思い出の一部だ。まだ小さかった甥っ子が車の中で泣き喚いたとき、後部座席のモニターにファインディングニモを流して泣き止ませたのも懐かしい。そういう家族や友人との運転にまつわる想い出も失われてしまうような気がする。僕の愛車のミニバンはCD、DVD、Blu-rayが再生できる。もちろんSDのファイルを再生できるし、Bluetooth接続もできる。リアモニターも付けてあるし、スピーカーは高音質のものに交換済み。運転する時はだいたい音楽を聴いていて、ときどきライブBlu-rayやDVDを流している。

ミニバンという乗車定員多めの車に乗っていると、法事で親戚を乗せる役目を任される。「あんたの車、ちょうどいいから」と言われるが何がちょうどいいのかわからないし、乗せた後に残る強烈な加齢臭を想像するだけで憂鬱になる。先月、法事があった。最寄駅で待ち合わせをして目的地の寺まで親族を乗せることになった。車に乗っても話題はない。ないわけではない。アレにはまったバカな従姉妹の話題はある。だが、口に出すといろいろ面倒な事態になるかもしれない危険性があるので誰もしない。寺までの20分。沈黙に耐えられない。こういうときこそ、ご機嫌なライブBlu-rayを流して気分をアゲていこう。さいわいサザンオールスターズの茅ケ崎ライブ2023Blu-rayが入ったままであった。

僕はディスプレイでディスク再生をタッチ。前回中断したところから再生されるはずである。『ミス・ブランニューデイ』か。『みんなのうた』か。ところが映し出されたのは、あえて説明しないが○ぼみという女性が毛深いキモメンの尻に顔を埋めている地獄絵図であった。その刹那、前夜、奥様から隠れて視聴するために、サザンからディスクを替えたのを思い出した。地獄絵図は電気信号を通じてリアモニターにも映し出された。地獄音は重低音から高音域までクリアに再生するスペシャルなスピーカーで再生された。毛深い尻に顔映像が流れた絶望の数秒間。死ぬ。終わる。僕は瞬間的に絶望からのリカバリーをはかり、カーオーディオを操作してラジオに切り替えた。四半世紀前に入り浸った早取り方式のてれくらでの経験が役に立った。着信して音がなるまでのコンマ数秒内で点滅する光に反応して受話器をあげる戦いだった。音が鳴った時点で勝者と敗者は決まっていた。戦いの中で僕は反応速度を極限まで高めた。それが四半世紀の時空をこえて僕を助けてくれた。「どんな経験でも将来役に立つ時が必ずやってくる」と「希望していた部署と違う」と言って入社3日で退職する若者たちに僕は伝えたい。とはいえ僕以外の6人の親族が数秒間の毛深い尻に顔映像を目撃した可能性は高い。不幸中の幸いは、ウチの奥様が別便で現場へ向かっていたので地獄に遭遇せずに済んだこと、目撃したのが全員高齢者で死ぬ間際に見る走馬灯と勘違いしてくれる可能性があることだ。サブリミナル効果は偽物と否定されているが、70歳オーバーの彼らが新たな癖に目覚めないことを今は祈るしかない。僕は気を取り直して「お寺まで20分くらいかかるよー」と明るい声を出した。反応はなかった。きっつー。笑ってよ尻のために。笑ってよ僕のために。誰も毛深い尻に顔映像に触れることなく法事は終わった。それから一カ月経ったが、陰でなんと言われているか想像するだけで下痢と便秘が同時多発テロを起こしてしまう。そもそもただの移動手段である車に音楽や映像を持ち込むのが間違っていたのだ。ましてや髪の毛やその他の毛まで識別できる綺麗な映像を再生できるDVDや Blu-ray等のメディアは車にいらない。こうして僕はディスクメディア否定派へと宗派を変えたのである。人間を変えるのはいつの時代も悲劇なのだ。(所要時間25分)