Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

会社ってキモティー!

 会議があった。月次定例営業会議。面子は僕を含めて総勢8名。会議室に勢揃いした顔ぶれを眺めて暗い気分になった。この面子で会議を行い、話がまとまった例がない。各々が人の話を聞こうとせず、勝手に話すからだ。明確な議題がなく、論点が曖昧になっている側面があるにしても。


 会議が始まるとすぐに脱線の連続になった。予想通りの展開。流れる時間、押し寄せる眠気。僕は眠気に対抗するため、それぞれの主張にメモを取りながら耳を傾けることにした。ウンウンとわざとらしく頷きながら。


 「逆にいえば…」僕は発言者の苗字に続けて「逆」と書いて丸で囲い、発言の要旨をメモした。「裏を返せば」「裏」と書いて苗字と要旨をメモ。「裏」を丸。意見が裏返ったという意味の矢印を横に添えた。視覚に訴えると理解しやすいからね…。


 「逆に…」「裏を返せば…」「逆に…」「裏を…」「所謂」「要するに…」「極論いうと…」「逆に…」「裏を…」「いわゆる…」「極論だが…」「逆」「裏」「所謂」「極論」「要」「逆」「裏」「逆」「極」「要」「逆」「所」「裏」「逆」「仁」「義」「礼」「智」「忠」「信」「孝」「悌」…。そのうち僕はメモを取るのをやめて、ノートの隅にコロ助を描きはじめた。たかが会議が権謀術数渦巻く戦場に思えた。か、堪忍してくれ。僕は「ワケわからないナリよ!」とノートのコロ助に叫ばせた。


 なぜ、一時間程度の間に「逆にいえば」や「裏を返せば」が何十回も登場するのか。「要するに」がどうして娘の玩具の話になるのだろう。「極論いえばグライシンガーが投げてヨシノブが打ってクルーンが締めるようなもの」という部長の発言の意図がわからないのは僕が馬鹿だからなのか。所謂ひとつのミスターはいい人だよたぶん。


 肝心なことは何も決まらずに会議は終わった。部長は決定事項をまとめておいてくれと命じた。冗談かと思ったら真顔だった。僕は自分のデスクに戻りパソコンを立ち上げキーボードを叩き、御大将が出した難問を一行でやっつけた。



決定事項:連休明けに飲み会開催 場所日時会費等詳細未定