Hagex氏の事件から一週間経った。直前までやり取りをしていた人間があのような凄惨な事件の被害者になるのは人生で初めてなので激しく動揺したが、ようやく落ち着いてきたところだ。事件の翌日にはご家族から連絡をいただき、お悔みの言葉を直接伝えることができ、葬儀には参列出来なかったが弔電を打つことも出来た。ご家族の話によれば、スマホとPCが警察にあるため、氏のHagexという活動における連絡先がわからず、最近コンタクトを取っていた人物だけは名前をもとに連絡を差し上げているとのこと。「敵が多い」「ネット上で嫌われている」のを自覚していた氏は、リスクを考慮して、家族の情報をネット上には一切出していない。リアルとネットを切り離していた。そういう事情により氏もご家族にネットにおける活動を話しておらず、そのためにご家族も氏の詳細な活動は知らないそうである(そもそもご家族はネットで活動していない)。家族を守るためだ。そういう氏の遺志を尊重し僕も氏の家族構成を明らかにしないようにしてきたし、それは今後も変わらない(単に「ご家族」としてあるのはそのため)。なので、トピシュさんという有名ネットウォッチャーが氏のご家族ではないかという説は、ご家族がいわゆるネットの人ではないことから完全にデマである。氏の別アカウントの可能性もゼロだと僕は思っているけれど、もし別アカウントだったら、飲みながら僕に「トピシュさんは…」と話していた氏に僕はからかわれていたことになるが、それはそれでまあ、面白いではないか。また、ご家族は取材拒否のスタンスなのでマスコミの方々は控えていただきたい。僕のところにもほぼすべての在京テレビ局からの取材依頼があったが、評論家でも捜査関係者でもない僕に言えることなどないので、僕のスタンスはご家族に沿ったものになる。このブログに書いてあることがすべてだ(氏の事件について事の真相が明確になる以前にテレビであれこれ語っている人たちについては、良くも悪くも「スゲエ…」としか思わなかった)。マスコミについては、たとえばヘッドラインに「ネット上のトラブルで」と書かれていたように、あたかも氏と加害者が直接モメていたようにしか読めない記述が見受けられたので、その点についてはこの場で抗議しておきたい。また、氏はネットウォッチや炎上ウォッチを「ゲスい趣味」と自覚していたので、「ハゲックスは実はいい人だった…」などと今さら聖人のように扱うのは、先述のとおりゲスネット人格とリアルと切り離していた氏が望まないことであるし、氏が生きていれば「キモッ!」と言っているはずだ。僕のこの事件についての認識はテロである。誰でもよかったが一番声が大きくて目立っていた氏が狙われた。事件直後にも書いたように、個人的な付き合いを通じて氏は普通の人間だった。この事件は、ネットにおいて声の大きかった普通の人が狙われたテロであって、氏を聖人や偉人のようなスペシャルに扱うことは、事の本質を見誤るし、このような事件を防ぐことに繋がらないだろう。普通の人が狙われて命を奪われたからこそ悔しくてならないのだ。(一方「ネット上の付き合いは危ない」と今回の事件を歪め、シンプルに捉えるのも、ネットライフ初心者向けへのスローガンとしては有効に思える…)。先に述べたようにご家族と直接お話しした際、「何か力になれることがあれば仰ってください」くらいしか言えなかった。言葉が出てこなかった。長いこと生きてきてそれなりに経験を積んできたつもりだけれど、情けないかぎりだ。ブロガー/フミコフミオとして僕に出来ることは、前と同じようにアホバカゲスなことをブログで書いていくことしかないし、それが最後のセミナーで僕のことを「良い子はマネしちゃいけない」と褒めてくれた(?)氏への弔いになると僕は信じている。(所要時間18分)