Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

ホワイト環境になじめない。

再就職してまもなく1年が経とうとしているがまだ職場に馴染めないでいる。仕事も充実、待遇も上司や同僚といった人間関係もいい、素晴らしい環境、いわゆるホワイト企業なのだが、12年もの歳月をかけて骨の髄、末端神経までブラック環境に染まりきった僕の心と身体が、そこに適応できないのだ。妻は「贅沢病」と笑うが僕は真剣に悩んでいる。小説や映画でベトナムやイラクからの帰還兵が日常生活になじめない描写があるが、大袈裟にいえば、それに似ている。たとえば職場で何かが起こると、「かつての職場だったら、足の引っ張り合いがはじまるだろうな…」と想像したり、実際に体験した獄絵図が頭にポーンと浮かんできたりするのだ。それに合わせて軽い胃痛が起きるのは日常茶飯事で、酷いときは吐き気を催してしまうくらいなのだ。この状態は何らかの疾病で診察を受けたほうがいいのか、それとも時間が解決してくれる慣れの問題なのか、ネットで調べてみたけれども、ブラック環境で心身を壊してしまう例はあってもその逆は見当たらなかった。いくつか例をあげてみよう。 

 

1.(現職)トイレに行く際にパソコンの電源を落とさないで良くなった。同僚「いちいち落とすのは効率的じゃないですよ」(前職)トイレに行っているあいだにデータ消去された経験あり。消去されるほうが対処しやすい。些細な数字を変更されて見積金額が改ざんされたときは焦った(未然に発見)。

 

2.僕がデスクで頭を抱えて考え事をしている(クセ)と…(現職)同僚たちが「大丈夫ですか!」「今日は休んだ方がいいですよ」と優しい言葉をかけてくれる。ありがたいがウゼーッと言いたくなってしまう。(前職)同僚「えー!!!脳出血死にかけても仕事に穴をあけないでくださいよ。人足りないんだから…」同僚「倒れるなら家に帰ってからにしてくれよ」上司「ローサイダー!」 

 

3.現職)ボス「日本代表の試合が深夜だから明日の午前は休みにしようか?」同僚たち「社長!僕らはサッカーを見てもいつも通りに出勤して仕事がします!」僕「吐き気が…」(前職)上司「日本シリーズに備えて俺は休む」「9回の表一死満塁カウント2−2、一球も外せないサヨナラの局面だ」僕「働いてくれ…」

 

4.(現職)日本代表ベルギー戦試合キックオフ午前三時を受けて。起きたくないので僕「観たいけど起きられない。明日試合内容教えてよ」同僚「それなら電話かけて起こしますよ!体験を共有しましょう!」僕「冗談でも嬉しいよ」ガチで午前2時55分にかかってくる電話。「起きてください!」もちろん熟睡中。ありがた迷惑って知らないのかな。鳴らない電話でいいのに…。UZA…。(前職)同僚「明日の出張、朝起きられるか自信がありません。モーニングコールお願いしてもいいですか!」僕「嫌だよ」同僚「遅刻してもいいのですか!会社の恥ですよ」僕「人類の恥め」 

 

5.(現職)朝礼にて。ボス「今夏の賞与は2.5か月」僕「そんなにもらえるのか」ボス「少なくて申し訳ない。冬はもっと出せるよう全員で頑張ろう!」同僚「頑張るぞー!!」僕「めまいがしてきた」(前職)上司「よろこべ。冬の賞与は0.2か月だ」僕「それしかないのか」同僚「すげえ、賞与がでるだけ俺たちは幸せ」僕「このままじゃダメになるな」

 

6.(現職)ボス「退職金は中途採用でも基本額と貢献度に応じた額を出すよ。安心して働いてほしいからね」僕「そんなうまい話があるはずがない、なにか裏があるのではないか…」(前職)上層部「退職金制度を廃止します!」僕「理由は?」上層部「退職金がなくなれば老後の生活のために一生懸命働いてくれるようになる。結果的に、離職率が下がるかもしれない」僕「血迷ったか」

 

7.(現職)ボス「役職者は社員よりも働かないといかん」同僚「そういう社長の姿勢マジ尊敬」僕「いやいや社員と同レベルでいいでしょう(吐き気)」(前職)上司「俺がサボっているように見えるとしたらそれはお前らの目が節穴だからだ」「上司があくせく働いていたら、誰も出世なんかしたくなくなるだろう?」僕「かっこいいけどクソだ」

 

8.(現職)ボス「残業は原則禁止。所定労働時間におさまらないのならそれは仕事のスキームが間違っているのです。残業した社員には残業代は法定より多く払うよ。これは戒めです。部長クラスは残業代がお任せてしている予算を圧迫しないよう早急にスキームを改善してください」僕「能力や努力の足りない人間に楽をさせるだけでは…(ブラック思考)」(前職)上層部「残業は絶対禁止。社として禁じている残業をやっている人間がいたら、それは個人が勝手に自己責任でやっているだけなので社は関知しない。残業が存在しないのだから残業代という概念も存在しない」僕「いいから定員を配置できるよう募集費をかけろ」

 

9.(現職)同僚「今日も仕事が終わってしまう。仕事楽しい!もっと仕事がしたい!」僕「アタマ大丈夫か?(吐き気)」(前職)同僚「仕事を早く終わらせたら別の仕事を振られてしまうでしょ。だから私は仕事をセーブしている」僕「たわごとは一度でもノルマを達成してから言え」

 

10.(現職)同僚「部長は最低最悪、劣悪な環境の会社で働いていたのですよね。そんな過酷な環境を生き抜いてきた経験と方法を教えてください」僕「何もないよ」同僚「いやいやいや謙遜しないでくださいよう」僕「ないないない(身についたのは同僚に対する猜疑心なんていえないの意/吐き気を催しながら)今の同僚たちから前の会社の悪口を聞かされるのは気持ちのいいことではある。

 

以上である。僕はこういうやり取りのたびに胃痛や吐き気を催しては、きっつー、と愚痴っている(PTSD?)。以前の職場とのギャップに苦しんでいるといえばいいのだろうか。今の職場は少々意識がハイな方がいるのをのぞけば本当に素晴らしい環境なのだが、理不尽な命令や足の引っ張り合いばかりで毎日が戦場みたいだった前の職場と比べると物足りなさを感じてしまうのもこれまた事実。暗闇(ブラック)に染まったこの俺を蹴落とす奴はもういない。その幸せな現状が僕を幸せにしてくれる日は訪れるのだろうか。(所要時間30分)