Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

【自己PR】私の異常な就職 または私は如何にして就職活動をするのを止めても定職に就くことが出来たか

おかげさまで新しい職場で素晴らしい仲間たちに囲まれて忙しくも充実した毎日を過ごしている。信じられないのは毎朝鏡に映る自分の顔、そして表情。弾道ミサイル発射直後に「米国を正義の炎で無慈悲に焼き尽くす」などとイキってる平壌市民のようにエネルギッシュなのだ。万歳。ほんの1ヶ月前まで炎天下の駐車場の片隅で熱中症に震えながらアルバイトしていたのがウソみたいだ。今だから言える。8ヶ月超の失業期間は想定外だったけれども僕の蘇生には必要な時間だったと。ハロワに通わない。求人情報も検索しない。傍目には昼スナック通いの怠け者にしか見えなかったであろう僕が如何に前職以上の待遇で超ホワイトな環境の会社への転職を叶えたか。ひとことでいえば発想の転換に尽きる。きっかけは幸薄そうな顔面をしたハロワ職員との就職相談でのやり取りだった。僕が真顔で希望の仕事・待遇をカミングアウトすると幸薄男は「そんな好条件の仕事はここにはありません」と言った。「ここにないなら隣町のハロワにあるのですか」「隣町にもありません」「ないの?」「全国津々浦々どこにもありません」そんな無意味なやり取りの果てに、僕が転職についてダーマ神殿の次点に評価していたハローワークはグッバイワークへと堕ちたのである。そのときわかったことがある。求人というのはその理由が欠員補充であれ何であれ、雇用主側の求める理想の型にすぎないということだ。ピッタリの型が見つかれば本当にラッキーだけれども、悲しいかな、僕にピッタリの型はこの世にはないらしい(ハロワ調べ)。そこで僕は求人には期待せず、働いていたときの人脈、どこの業界でも同じだと思うが営業マンには横の繋がりというものがあって、その人脈に流れてくる業界の情報に注意を払うようにした。誰々が辞めた。転職した。という類の人の動きではなく、ひたすら業界の動静を炎天下の駐車場で観察していた。スマホって便利だね、駐車場バイトをやっている最中、とある食品会社のトップの事業展開の情報が入った。情報といっても営業マン同士の雑談のなかで『アソコの社長がこんなことを言っていたらしい』程度の雑談レベルの情報。僕が以前積極的に携わっていた仕事であったのと、なんとなくピーンとくるものを感じて、知り合いを通じてその会社の営業マンにアポを取って15分だけ時間をもらった。貴社の事業展開に役に立つものを提供できるとか何とか理由をつけて。当時絶賛失業中。完全にハッタリである。与えられた時間は15分。僕はその席で営業ボーイに自分を売り込んだ。前職での実績。僕を雇用すれば貴社の新規事業展開にどれだけ貢献出来るか。予想売上と利益。中長期のビジョン。その際にかかる経費つまり自分の給料と社会保険料、費用対効果。エトセトラ。いきなり企画書を持ち出して自分自身を営業しはじめたので、ただ話を聞くだけと鷹をくくっていた営業ボーイは「そういう話は!」「ちょちょちょ」「いきなりそんな」と狼狽すると「ちょうど社長がいるので」つって飛び出していった。7分経過。あらわれた社長は僕より少し年上の落ち着いた人で僕の企画書に目線を落としたまま「続けてください」と言った。僕は自分自身の営業をもう一度繰り返した。社長は、話はわかりました、検討しますと言ったあとひとつだけ質問させてくださいと言った。「なぜ8ヶ月も失業していたのですか?大人にしては無計画ですよね」痛いところを突かれた。ここだけはハッタリは通じないとわかっていたので素直に無計画を認めたうえで「失業しながら自分に合った仕事を探していました」と答えた。「わかりました。もうひとつ。仕事は好きですか?」「正直いって好きではありません。ただ、やるなら楽しみたいとは思っています」それから丸一週間後に採用の連絡がきた。待遇は僕の望んだとおり。肩書きは営業第二チーム課長。新規事業にかかわる新設営業セクションなので人員は来春までは僕ひとりである。ハードルを上げまくって入社を決めたので仕事自体は大変だ。もちろん新たな同僚たちも高いハードルを掲げて来た人として僕のことを見ているのでプレッシャーは大きい。仕事は大変だが、仕事に集中できる環境は素晴らしく、今、僕はとても充実している。ハッタリというか詐欺まがいのルートでの再就職であること、天から授かった能力と容姿は人それぞれ違うこと、等々の諸事情から再現性はまったくないので参考にして欲しいとは思わない。僕がいえることはせいぜい、情報を得てから企画書をつくりアポを取りつけるまでを半日で片づけるようなスピード感が何よりも大切になるときがあること、そして、他人がつくった型枠に自分を当てはめるよりも自身で作った型枠を売り込む方が簡単なときもあるということくらいのものだ。偉そうにいえば、自分都合のタイミングで求人を作ってしまえばいいのである。このように順風満帆の僕だが、実はブラック環境から超ホワイト環境への適応に少々苦労している。もはや呪いとしか言いようがない。(所要時間23分)