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Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

仕事中のタバコ休憩が原因で社長に激しく叱られた。

美女が吐き出す煙草の煙を吸い込むのが好きだ。インターネットでアイドルの喫煙の噂を調べるのが好きだ。そして僕自身、十年前までタバコを吸っていたので、喫煙者についての理解も一応ある。そんな僕からみても同僚たちの勤務時間内のタバコ休憩は目にあまるものがある。僕以外の営業部員全員、2月からやってきた新人クンたちまでもが、1時間に1度の頻度でビルの地下1階にある喫煙所に行っては15分は戻ってこない。
 
同僚たちが席を立っているあいだ、彼らの業務は上役である課長の僕がフォロー。すみません席を外しておりまして、あいにく別の電話に出ておりまして、すみません、あいにく、すんまそん、ソーリー、つってトイレにも行けずに電話の応対に追われるのが課長つまり僕。平成27年3月23日の午前中、ノリノリな感じで休憩から戻ってきた新人クンに「A社のBさんが大至急電話が欲しいって」と伝えると「何ですぐに教えてくれないんすか!」と父さんにも言われたことのない厳しい口調で返された…気がする。疲れているのだろうね、こんなありえない幻影をみてしまうとは…。
 
 イラっとするのは、タバコ休憩に行く人たちが鳩のように胸を張り、堂々と、連れ立って休憩に向かうことだ。なぜキミは堂々としているのか、なぜ鳩胸なのか、なぜ連れションなのか、そう尋ねると、決まって《タバコ休憩は仕事のクオリティを高めるのに必要不可欠》と返ってくる。アホか。
 
 「気分転換することで仕事の効率化がなされます」「斬新な発想が生まれます」「職種にとらわれない貴重な意見交換の場です」「仲間意識が芽生えます」と口々にいう同僚各位。いやいやいや。アップルやグーグルや大塚家具じゃあるまいし、ウチの会社に斬新な発想なんかいらないし、1時間中15分も休んで気分転換して効率的な仕事を行うよりも滅々とした気分のままその15分間を働いていただいた方が余程成果出るし、そもそも我々レベルのウンコ才能がタバコ吸って5パーセント能力がアップしてもたかがしれているし、喫煙してないデフォルト能力を知らないから比較しようがないし、だいいち8時間勤務のうち2時間休憩とかないでしょ、タバコ休憩といいつつパズドラやってんだろ!パズドラやってんだろ!パズドラやってんだろ!という内容をパワハラにならないよう細心の注意を払って僕は言った。すると新人ズから「課長は実態を知らないでそういうことを言う人だとは思いませんでした。ガッカリしました」「課長、見損ないました。実際の休憩を見てから発言してください」と反論され、僕は「お、おぅ…」としか言えなくなってしまう。
 
 パズドラではなくモンストでした。《モンスターストライク》。僕は自分の思い込みでモンストをやっている部下を、パズドラをやっていると決めつけ懲戒するところであった。現場百回。事件は会議室で起こるんじゃない現場で起こるのだ。反省。同僚たちは喫煙所で煙草を吸いつつ、無駄話も仕事の話もまったくせずにひたすらモンスト。クリエイティブに協力プレイ。丸1日、僕は職務として彼らのタバコ休憩のすべてに従い、その実際を調査した。1時間毎15分、計8回、合計2時間。僕は彼らのタバコ休憩に従い、紫煙とモンストを観察した。無駄な時間であった。
 
 運がなかった。僕は何もせずに喫煙スペースにいる姿を何度も社長に見つかり、夕刻、社長室に呼びつけられ激しく叱責された。社長は、「課長のキミが率先してタバコ休憩を取ってどうする!社としても脱喫煙を目指しているのに、部下にしめしがつかないだろうが!俺もガマンしているんだ!」と厳しく叱りつけた。叱責の嵐のなかで、私は喫煙しておりません、と言い返すのがやっとだった。
 
それが社長のハートのタバコに火をつけてしまった。「喫煙しないのにタバコ休憩か。ふざけているのか!」「ボーッとしていられるほど余裕ないだろ!」社長にいわせれば、勤務時間中のタバコ休憩は容認するが、勤務時間中にボーッと休んでいるのは認めることはできないらしい。出た。《タバコ休憩は仕事のクオリティを高める》思想。この思想こそが会社の敵なのだ。その後、二時間ほど社長室で叱責され続け、わたしが悪うござんしたと自己批判させられ、公的には《自主的な反省文》を強制的に書かされた。事件が起こるのは現場でもなく会議室でもなく社長室なのだ。
 
よく考えれば、タバコ休憩を取れる喫煙者と同等の立場を得るために、我々非喫煙者も気分転換や斬新な発想を生み出すような何かを、休憩に付随してやればいい。ガンプラを作成するためのガンプラ休憩、スッキリするための自慰休憩あたりなら労働基準監督署も認めてくれるのではないか。特に自慰休憩はトイレ休憩と同じ生理的現象に通ずるので理解を得やすいはずだ。
 
密室での社長からの激しい叱責罵倒以来、よく眠れず、めまいや頭痛に悩まされている。僕は壊れはじめている。こんなことで、悔しい。悲しい。この悲しみを癒すにはアイドルの吐き出したタバコの煙でこの胸を満たすしかない。胸いっぱいの灰を。