Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

夫婦滅亡の日まであと1日となりました。

何を隠そう明日平成29年2月8日は夫婦滅亡の日である。年末。「今度会うときは客だ」と捨て台詞を残し、家族に相談もせず、何の展望も計画もなく、ボスとの美しい罵り合いを経てめでたく怨恨退職した。わずか半日で営業部長から無職に身を落とした僕を家族は温かく迎えてくれた。1ヶ月の猶予を与える。その間に生活レベルを落とさない程度の収入を確保できる職業を見つけるか、商売を始めること。温かな味噌汁と共に妻が僕に課した条件はシンプルかつシビアなこれだけ。「万が一、というか百に一くらいの可能性があるけど、しくじったら?」「全財産ボッシュートのうえ夫婦滅亡」僕の保険証券を精査しながら笑う妻のうなじが真冬の月よりも遠く、冷たく感じられたのをつい昨日のことのように覚えている。こういう経緯で僕の転職デスゲームは始まったのである。しかも無理ゲー。きっつー。このような話をすると、なぜ離婚しないのか、馬鹿なのか、マヌケなのか、野垂れ死ねとありがたい助言をいただくが、しばし外野には黙っていてもらいたい。僕と妻の間には、生活におけるほとんどの事項について考え方に大きな隔たりがあることは認める。だが安心してほしい。人生を共に歩むうえで大事な、そして根本的な考えは完全に一致している。僕と妻は生まれ変わったら、お互い、絶対に別のパートナーを選ぶという点では考えが完全に一致しているのだから。さて滅亡の日が明日に迫っている(1週間ほど延ばしてもらったのはインフルでダウンした期間を考慮してもらったからである。妻のドライアイにも涙)。「果報は寝て待て」という引きこもり擁護の言葉があるが僕はそれを信じない。ハロワで傷ついた心を昼ビールで癒したり、誰も見ていない月9を観たり、披露する機会のない恋ダンスをマスターしたりと孤独な戦争に従軍していた。人事を尽くして天命を待つ、というヤツである。そして先ほど、引田天功の魔術のように突然天命が来た。僕を営業部門の中間管理職としてハンティングしたいという奇特な企業殿からの申し出があったのだ。「明るくて働き易くて好条件な職場なのに慢性的な人不足に泣かされています」「給与もガンガン上がります」「今の社長もアルバイトからの叩き上げです」という担当者のコメントから若干のブラック・スメルがしないわけではないけど、待遇に関しては、概ね希望通りなので面接で細かい点を確認して何もなければ決まるだろう。決めたぜ!サヨナラソロホームラン!さて。今回の再就職はひとえに僕の能力、人格、実績のおかげである。よく、なんとか賞を取った人が「今回の受賞は支えてくれた人たちのおかげ…特に妻には感謝の言葉では足りないくらいです」などと量産型聖人のようなつまらないコメントをするが、僕はしない。なぜなら無職の1ヶ月間、求職活動に支障が出るほどの家事を担当させられたうえ、「無職に口無し」「稼がざる者、食うべからず」「働かないこと林受刑者のごとし」などとプレッシャーをかけられてきたのである。ただし、家族に迷惑をかけたのは事実なので、その分は金で返していきたい。程度の差こそあれ人生とはマネーゲームなのである。頑張るぞー。こうして僕は夫婦滅亡は回避することが出来た。感謝や謝罪の言葉は敢えて口にしない。それは逃げであり、結局のところ言葉ではなく行動で示し、返していくしかないからだ。だがひとつだけ自分の言動で謝らなければならないものがある。僕は怨恨退職の際に「今度会うときは客だ」とイヤミな捨て台詞を残してきたが訂正したい。なんて恥ずかしいことを言ったのだろうか。同僚たちに合わせる顔がない。僕は血を血で洗うような抗争を繰り広げてきたかつての競合他社で世話になることになる。今度会うときは敵なのだ。(所要時間18分)