Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

義父が倒れた。

義父が倒れた。病状については大騒ぎする本人の意図はさておき「たいしたことない」とドクターと本人以外の家族全員が口をそろえて言っているので安心してほしい。とはいえ無視しているわけにもいかないので先ほど、鳩サブレ―を手土産に半勃起する暇もないほどの繁忙期の間隙を縫うようにして隣町の病院までお見舞いにいってきた。

 

お見舞いをお見舞いしようにも世間様は連休のド真ん中、江ノ島電鉄は激烈に混んでいて、車輛内はほとんど揉み合いのようであった。問題は前夜に自分自身を慰めるために服用したフ社製の青いお薬の効き目が残っていたことだ。そのおかげで、おっさん、おばはん、女子高生、可愛げのない子供との押すな押すなの揉み合いの果てに、不能ゆえいささか角度は緩やかではあるものの、ムクムクとオッキッキーしてしまった。ジーパンきっつー。

 

大人の事情で僕自身が「きのこの山」なのか、「たけのこの里」なのか明言出来ずに大変申し訳ないが以降は「きのこの山」で表記を統一させていただく。もし、僕の腰くらいの身長しかない子供のちょうど目の前できのこの山がスパークしているのがバレてしまったら…僕は己の想像に前立腺した。幸い、ロサンゼルスドジャースの帽子を持っていたのでそれを腰にあてて荒れ狂うきのこの山を隠した。ロサンゼルス(Los Angeles)、その瞬間、天使はまちがいなく僕の腰にいた。

 

病室の義父は仕事をしていないからだろうね、むしろいつも以上に健康そのもので、今にも復帰しそうなその姿は僕をひどく落胆させた。僕は昨年の秋から箱職人をしている義父の元で修行している。おしゃべり、お茶入れ、お菓子の買い出し。そんな厳しい修行のなかで箱ライフの将来性の無さに気付くのにそれほど時間は必要がなかった。箱職人ライフに見切りをつけようとしていたところに師匠である義父の入院は渡りに船でしかなかったのだ。退院したら有耶無耶にしようとしていた修行が再開されてしまう。

 

悲しみのあまり僕は今にも涙が出てしまいそうだった。しかし泣かなかった。泣いてしまったら脱力して、きのこの山が噴火してしまうからだ。その一方で、ナースステーションにいたナースさんが想像倶楽部でもお会いできないレベルにセクシーで、僕はこみあげてくる笑いを抑えることが出来ずにもいた。結果的に僕は演技では絶対にできない、泣き笑いの表情をしていたらしく、そんな僕の顔を見た義父は真顔になり望んでもいないのに早期退院とこれまで以上の充実したカリキュラムの箱修行を僕に誓った。「俺は、やるよ」きっつー。

 

意味がないどころか害でしかなかった義父との面会を終え、失意のまま僕は腰にあて続けていたドジャースの帽子を頭に被った。希望の山、きのこの山は跡形もなく消え去っていた。天使はすべてを天国へと運び去ってしまったのだ。(所要時間18分)

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会社員の壊し方

20年もやっていると良さがわからなくなってしまうときもあるがサラリーマンはマジで最高だと思う。厚生年金もあるし残業代だって出るし楽しい楽しい社員旅行だってあるときはある。組織で働いている以上、それなりに縛られてしまうこともままあるが、縛られるのはフリーランスや自営業で働いている人とて同じこと。縛られているものが違うだけの話にすぎない。何に重きを置くか。個々の価値観の違いでしかないのだ。


ただ、僕にとっては会社という組織に守られている安心感。これは何ものにも替えがたいものがある。気を付けなければならないのは、組織が壊れたときだ。守ってくれていたはずの組織は守らなければならない厄介なものになり果てる。たとえば僕の勤めている会社がまさしくそんな感じで、他の外食産業の企業と同様に、慢性的な人手不足状態が続いている。団塊世代が退職した穴埋めをせず、ビジョンのない会社に絶望して優秀な若手社員から辞めていき、五月の連休直前に、現場の大学生のバイトたちまでもが逃亡。残ったのはうだつのあがらない小汚い中堅中年社員だけ。


《現場を守らなければクライアントから訴えられて死ぬ》っつー感じで焦った上層部はアルバイトの穴埋めのために高給取りの部長クラスを差し向け、高級取りの部長クラスは総じて動きが悪く時給950円のアルバイト一人分の戦力にならないうえプライドを捨てきれずやたら仕切りたがるので雰囲気だけが悪くなり現場の作業効率と雰囲気は悪化の一途。僕も例外ではなく、この連休は朝4時から某ホテルの現場にヘルプで入り、アルバイトのやっていた仕事をこなして(そのおかげで多分僕は業務用回転釜で調理が出来る数少ないブロガーになれた)、12時に一旦上がり、仮眠と休憩を取ってから午後3時から午後8時まで別の某老人ホームでアルバイトの穴埋めをしている。これで残業代が出なかったらブラック企業当確だけども不幸中の幸いで、午後の仕事は副業アルバイト扱いにはされてしまうが(ウチの会社は副業可能)それなりの手当をいただいている。当該手当が現金払いであるところにある種の闇を感じてしまうが。


連日の15時間労働。ほぼハードな立ち仕事。なぜ僕がこんなことをしているのか?少し前、やりがい搾取という言葉を耳にしたことがあるが、そうではない。僕はやりがいなど微塵も感じていない。ひとことでいうならば、営業マンの性搾取、だろうか。僕がアルバイトの穴埋めに行かされている現場はどれも僕がそれなりに苦労して取ってきた仕事だ。おめおめ失いたくない。客に迷惑をかけたくない。やりがいではなく、そういう営業マンの性が搾取され、いいように使われているのを知りながらあえて僕は使われている。


やっていることの半分くらいは皿洗いなどの単純作業なので慣れてしまえばあまり疲れることもないけれども、最近時々テレビで見かける、人間のかわりに受付を任されているロボ・Pepperの方が今の僕よりもずっと人間的な仕事をしている気がしてならない。寝不足気味で疲労困憊なのは否定できないが心身ともに健康そのものなのが不幸中の幸いだ。僕自身には記憶がないので同僚たちの冗談だと思っているのだけれど、昨日、僕は手洗い場で、白目になり、ううううううううううう、うなり声をあげながら十数分間一心不乱に手を洗い続けていたらしいが、もし事実だとしても疲れているだけだろう。つーか、忙しすぎて悩んでいられない、五月病や鬱を患う暇もないのが実際のところだ。


今、僕を支えているのはアルバイト仲間のN女子大生。JDとお喋りできる環境は得難く、何よりも価値があるのだ。可憐で真面目な彼女の存在だけが僕の支えだったのだけれど、今日出勤するはずの彼女がドタで来なくなってしまったので、僕が休日を返上して彼女の穴を埋める。だってオラは正社員だから。この先の見えない地獄の中で《女子大生の穴を埋める》というエロティックなセンテンスだけが僕の救世主。(所要時間23分)