Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

すべての家事を引き受けたら価値観が一変した。

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1000万か2000万か…具体的な金額は忘れてしまったけれども数年前に主婦のこなす家事を労働ととらえて金額換算すると大きな金額になるという記事があって、当時、ほぼすべての家事をこなしていた妻から「女性は搾取されている。差別よ。キミは無意識で搾取している。つまりキミはその金額だけ得をしている。本来その額を頂戴しなければならないが私は人格者なのでそんな野暮なことはしない」といわれ、それを理由に一方的に無関係なこづかいを減らされるなど謎のマウンティングポジションから殴られ続けた屈辱を、夫婦平等の旗のもとに家事を分担するようになった今でも僕は忘れてはいない。

僕は明治生まれの祖父の影響で《俺より先に寝てはいけない》といった比較的古い価値観を持っていると自覚している。だから家事をやっているときもゲーム感覚で楽しめているときはいいのだが、ふと、便器の前で冷静になってみるとこれが本当に1000万の仕事なのか、いいがかりではないのか、と疑念グルグル状態になってしまうこともしばしばあった。すべての家事を受け持ったら、家事とその換算額が正当なものかわかるはず。その結論に至るのは早かったが、仕事に加えて家事を全面的に受けてしまったら負担が増になるのは目に見えていたので二の足を踏んでいた。家事をこなせなかったら「それみたことか大変でしょ」と換算額はより大きなものになり「キミはその分だけ得をしているのだ」と妻に嘲笑され、家事をこなせてしまったら「仕事をやりながら出来るのなら死ぬまでキミが全部やればいい」と妻に宣言される。僕にメリットはなかった。

「墓に入るまでとか勘弁…なんとか期間限定で家事を任せてもらえないだろうか…」とチャンスをうかがっていたら、人間は想像したことは実現する、逆にいえば想像していないことは実現できないというのはホントだね、ホワイトな会社から9月中に夏休みを取らないとペナルティを課すといわれて連休もあわせて大型連休(9/12~22 9/14朝だけ仕事)を取ることになった。僕は、この大型連休のあいだ、すべての家事を引き受けることにした。早起きして弁当をつくり、出勤する妻を送り出し、日中、炊事掃除洗濯買い物をこなして、妻の帰宅を待つという生活。妻の衣服を僕のものと一緒に洗濯したこと、在庫が少なくなっていた生理用ナプキンを尿漏れパッドのかわりに使わせていただいたことがバレたときは「相手のことを考えて真面目に家事をやれ」と命の危険を感じるほど詰められたが、全般的にはよく出来たと自負している。ただ、「使った分のナプキンはドラッグストアで買って補充しておいたよ~銘柄も同じだよ~」という僕の言葉が妻の怒りの炎に油を注いだことだけは理解できない。要領よくやれば趣味の時間や昼寝時間も確保できたけれども、10日間でシュフな人たちの大変さはよーくわかった。「これは1000万の仕事だ。シュフは大変だ」とひとことで言ってしまうのは簡単だけれども、僕は心身でその大変さを理解できた。

9月22日、昨日で家事全部やる期間は終わった。妻に「家事の大変さがわかった。これを毎日やるのはキツイ。主婦をやっている女性、主夫をやっている男性すべてを僕は尊敬する。1000万以上の価値の意味がよくわかったよ」と感想を述べた。彼女は「何をいっているの」と不満を述べた。え。どういうこと?マジ意味がわからない。尊敬すると言われてキレるとか、どういう道徳教育を受けてきたのだろう?と戸惑っている僕に「何が1000万以上の価値よ。この額は女性が家事をやっているからこの額に決まっているでしょ。男性の家事にそこまで価値があるわけないじゃん。キミみたいなら中高年ならなおさらよ」と妻は告げた。リアルに開いた口がふさがらなかった。でも良かった。口が自由に開閉できたら「男性差別じゃないか」と言って大爆死間違いなしだからだ。今、僕は、ガチで呆れたとき言葉が出なくなるように人間を設計してくれた神に感謝している。(所要時間25分)