Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

私の異常なお見合い・天翔記 または私は如何にしてEDの分際でダブルベッドで女房を抱くために自室を劇的ビフォーアフターするにいたったか。


 結婚から一ヶ月。籍もムスコも入れてない。ナニも入れてないけどシノさん(元レイヤー/現歴女戦国時代西軍派/趣味ドール/某企業秘書課勤務のEカップ)との生活は概ね順調、彼女も、玉子焼きの焼けること火事のごとし…洗濯モノのたまること山のごとし…と家事を風林火山になぞらえて楽しみつつこなしている。「オイトマチョーダイ!」と実家に帰ってしまったこともあった。理由は僕の部屋の汚さとアダルトDVD鑑賞。雑然とした部屋の床にうつ伏せ、ヨダレをたらし、人間の女性とオス犬の性交を収録した作品、「獣皇11 長谷川ちひろ 2匹の犬に雨中で生ハメ中出しされるロリ娘」(画像右端) を鑑賞していた夫を嘆くのではなく、妻ならばパンツをおろして鑑賞している最中に床を抱くように寝てしまった夫の潔さを称えるべきじゃないか?「オヤカタサマ…あんなもので自慰を…」、実家のご両親の前で犬のように土下座した僕を頭上から非難するまえに冷静にあのとき僕がナニをしていたか分析してほしいものだ。だって僕はインポなのだぜ。

 ムスコを入れてないのはインポが完治してないからであり、籍を入れてないのはムスコ問題が解決していないからだ。夜の生活で相手を悦ばす自信がない、ではなく、ないこともないが、ここでいうムスコは文字通りのムスコ。つまり僕が相手の家のムスコになるかどうか、先伸ばしにしていた問題を決めかねているからだ。ムスコは入れられないのに僕自身は入れるらしい。人生は皮肉家で、哀しく、時に残酷だ。


 男兄弟がいないシノさんの家はこのままだと滅亡。だからご両親はウチの母親と共謀し、僕をムコに迎えようとしていたのだ。僕自身はムコになることを大きな問題だとは捉えておらず、名字が変わるくらい何でもないと気楽に構えていた。ところが自分の名前が変わるかもしれない現実に直面すると、男の性なのでございましょうか、インポの分際で男のサガなんて生意気、と言われるかもしれませんが、猛烈な違和感を感じるのだ。シノさんは彼女なりに考えているのかいないのか「戦国の常とはいえお家断絶とは哀しいことですう〜。よよよ〜」なーんて言うだけで意見らしいことは言わない。お父様は会うたびにテレビドラマ「北の国から'92 巣立ち」で菅原文太が演じた娘を寝取られた男の如く重厚さをもって、誠意、誠意って何かね、誠意、誠意誠意、誠意誠意誠意、じりじりと問い詰めてくる。重圧。


 家ってなんだろう?この姓が変わってしまうことへの違和感や抵抗感は何だ?。僕の母や祖母、多くの女性は姓を変えてきたのであるし、弟がいるから我が家は安泰、ひとつの家の名がなくなってしまうくらいなら、母にどうぞどうぞ差し上げますといわれているこの身体、ムコに入ってあらたな名前でやっていくのも悪くないかも…と一時は思っていたのだけれど、いろいろ考えはあるかもしれないが、やっぱり僕は長男として自分の家を継ぎたい。あぁでも「家族を繋ぎたい」とか言ってる嫁さんに「やぁ。申し訳ないけど僕のわがままで君の家断絶だわ。そもそも立たないかぎりは景勝君も産まれないだろうから同じなんだけどね。失敬失敬」なんて言えないナァ。三顧の礼で迎えられるのだからムコ入りも悪くねーかも。うんそうだな。そうだよ。つってもやもやしていた僕にシノさんが一言。「君が後悔しないような選択をすればどんな選択でもアタシはついていきます」。さすが我が身に過ぎたる者。


 手と手をとりあって婚姻届を書こう、そして出そう。さて実印を…とシノさんにより三日間封鎖されていた扉をひらくと、僕の部屋はピカピカに光ってあきれかえるほど素敵。私物はあらかた捨てられていた。さようなら。僕の宝物。ガンダム、綾波レイデラべっぴんドルアーガの塔ゲームブック鈴木直人著)。刻の涙が見えました。


↓↓(ビフォー・アフター) 

ダブルベッド。
「シノさんこれは…?」「オヤカタサマ、閨ですうー」。ねや。くらっとする。やや正気を取り戻し判子や通帳、各種カードが入ったキティちゃん柄のファンシーな箱のありかを尋ねると「オヤカタサマー!合戦に備えて槍を友達に送らないと!」と僕の背中の方から声がして、シノさんはそのままそそくさと姿を消してしまった。捨てたな…。僕は婚姻届を片手にゴミ回収センターへ車を走らせた。それから僕は、途絶えてしまうもの、無くなってしまうもの、継いでいくもの、毎晩ダブルベッドで生殺しになる煩悩、すべてを引っ括めて背負ってその大きさと重さに少しだけ襟を正し、僕の名前を冠したあたらしい妻の名前を呼ぶ。


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