Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

何をしていたかより、どこにいたか。

 人材を見極めるときには、何をしていたかよりも、どこにいたかが重要。今日はそのことについてお話したいと思う。営業課長という立場上、僕は面接を任されることも多い。なかでも、中途採用面接を受けにくる人は、自分が何をしてきたか、何が出来るのか、アッピールすることに長けているので、ウブでピュアで壊れかけの僕は「1000人の部下を率いていました」「15年連続社長賞をもらってました」といったアッピール話を鵜呑みにしてしまい、その結果たるや、あれれ~1000人の部下を率いられても名刺交換ひとつ出来ないの~というザンネン人材だったりして、散々たるもの。

 

 一概にはいえないが、面接において重視すべきは、何をしてきたかではなく、どこで働いていたか、ではなかろうか。やっぱ超一流のところで働いている人材は、得体の知れない会社から漂着した人材とは違うしね。安心なんだよ。アップルやグーグルで働いている人の方が、ハロワでくたくたしている、かつての僕のような人より仕事人としては優れていると考えるのが自然なんだよ。何をしていたかより、どこにいたかの方が信用出来る。その考えは様々な経験をするうちに僕のなかで確固たるものとなっている。これを書いている今この瞬間も、より一層確固たるものになり続けている。

 

 そんなふうに強烈に実感しているのは今日も中途採用面接だったから。相手は僕とほぼ同年代の男性で襟の大きなシャツを着ていた。襟の大きなシャツは信用できないのを僕は経験で知っている。戦闘開始。「それでは今までどのような仕事をなさってきたのか簡単にお話してください」「はい。営業の責任者という立場で任された責任のある仕事を責任感をもってやってきました」疲れそうだ。

 

 「責任、責任、責任と仰るけどその責任について説明してもらえるかな~」「責任とは部下を預かるということですね」「なるほど、あなたの下には何人の部下がいたのですか」「50人くらいでしょうか」「おかしいなぁ」「はぃ?」「あなたのお勤めになられている会社には営業職がそんなにいないはずだけど」「延べ人数を四捨五入してしまいました。すみません」「いやいやいや。困るなあー。勤めてきた会社や職場環境についてはしっかりと答えてくださいよ。はっきりいってあなたが何をしてきたかはどうでもいいんだよね」「えっ!」「そんなのは二の次で、第一にどこにいたか。これをお聞きしたいんだよ。何をしてきたかの自己アピールはいいことしか言わないじゃない」「確かに」

 

「『学生時代は~勉学だけではなく~ボランティアにも精力的に取り組み~、ベンチャーで~ビジネスに~触れました~』はぁ?全員が?ありえないよね。ホントならこの国はもっとよくなっているよね」「私は何もやってません」「え、嘘。やってないの」「はい。まったくやってません。ウチにひきこもってゲームばかりやってました」「それはそれでよくないね。多少はやろうよボランティア。嘘でもいいから学生ベンチャー。まあいいや。もうね。信用出来るのは大学名だけ。大学名で決めて、実際の現場で能力と適正を見極めるしかないの。それが企業が一流大学を選ぶ理由。わかる?」「なんとなく」

 

 「中途採用も同じなんだよ。能力や経験のある人材は世の中の方が放っておかないんだよ。言いかえれば、そういう残ってしまってる人の自己アピールなんて信用出来ないわけ。こちらは経歴書に並んだ会社名で判断するしかないし、出来ないの。知らない会社ならどういう会社なのか詳しく調べて、聞いて、それで採用を決めるしかないのよ」「わかりました。では自己アッピールを…」「自己アピールはいいから、今、君が勤めている、この、なんだ、よくわからない、何か胡散臭い消費者金融みたいな名前の会社について話してもらいましょうか」


 今日の面接はこんな調子だった。聡明な読者の方なら既にお気づきだと思うが、面接を受けさせていただいた人物が、僕である。オブラートに包んだような記述になっているのはブログが会社バレしているから。大変申し訳ない。しかし、好結果は期待出来ないだろう。やはり、何をしたかではなくどこにいたか。この思想が蔓延している現状が突きつけてくるのは、胡散臭い会社に絶賛勤務中の僕が転職するのは、かなり難しいという現実。地獄は、まだ、これからだ。(この、未来が見えない暗い文章は18分間で書かれた)