Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

いんぽ白書


 京都駅を発つ新幹線の窓ガラスに映るシートに深く身を沈めた半透明の俺の姿はまるでスキャンされた胎児の亡骸。俺は何に対してというわけでもなく舌打ちし、前の座席の背から引き出したテーブルの上に置いたノートパソコンで大人向けDVDを観始めた。


 板垣あずさ。この女のスレンダーな肢体が俺を昂らせたことはない。この女の声は遠くの町で鳴る調子のずれた太鼓を連想させた。あばずれ!やくたたず!罵りの言葉を投げつけたあとで停止ボタンを押しヘッドフォンをパソコンから引き抜く。引き抜こうとした。ヘッドホォンとパソコンをへその緒のように結んでいるはずのコードの先端はシートの下で金属特有の冷ややかな光を放っていた。


 通路を挟んだ向こう側にいるカップルが俺を見る瞳のなかに俺は俺への憐れみを発見する。新幹線に乗って列島を横に斬るインポに同情はいらない。「どうしてたたなくなったのだろう?」。俺は国道に転がっているパンダの轢死体から目を逸らすようにして避けていた問題に向かわされインポに対峙。車輛販売の女からビールを買う。炭酸が俺の乾いた喉を潤したのは一瞬だ。俺の喉を焼いているのは誰だ。


☆ ☆ ☆


 検証が必要だ。法廷や数学のような学問で存在しないことを証明するのは難しい。インポも無だ。ナッシング。僕は困難に直面する。僕はいつからインポなんだろう。僕は気付いたらインポになっていた。僕が僕のインポに気が付いたのは昨年の二月の終わりの鎌倉山公園。「梅の花が綺麗だな〜いっちょエレクトさせてみるか。あれ?あれあれあれ」。えー!←の声も出なかった。


 つまり原因は昨年の二月より過去にある。医者はストレスが原因じゃないかと仰った。「ペニストレス」。僕が思わず呟いた刹那の言葉を無視した医者が何か悩みはありませんかといった直後、秒針が六度傾きを変えるあいだに先ず五十パターンの部長の顔が脳裏に浮かんだ。僕は缶ビールを二本立て続けに飲み干して部長を打ち消した。認めたくないものだな、部長故のインポというものを。僕はお土産の日本酒をあけてガブガブ飲み始める。


☆ ☆ ☆


 すっかり酔っぱらってしまった〜。なんでインポになったんだろう?そ〜いえば前の前のお正月におんなのこにふられたんだった。ふられた原因はぼくのおちんちんが大きすぎたからだとおもう。おんなのこは泣きながらいったんだ。それいじょうはやめて。内ぞうのばしょが変わっちゃうって。ぼくはおんなのこがてれているのだと思ってもっとはげしくうちつけたんだ。ぱぱぱん。ぱぱぱん。ぱぱぱん。ぱぱぱぱぱぱん。ぼくがぱぱぱんを終わらせるとおんなのこはないぞうがめくれるといっておこって枕をなげつけてきた。ぼくがむかついたのでまたぱぱぱんしようとするとおんなのこのぐーがぼくのほっぺたをぶちました。ぼくとおんなのこはそのあとなぐりあってちをながしてわかれました。もしかしたらこれがすとれす?になったのかもしれないな。ぼくのおちんちんはそれいらいおんなのひとのいやらしいしゃしんをみても多き、大きくなりません。すごくかなしいのでぼくはすごくにがいけどビールをたくさんのみます。おいしゃさんはぼくにおさけでからだがぼろぼろだぞといいました。でもぼくはビールをのみます。ぼくはすごくにがいビールをのんでいるあいだはすきだったおんなのこのことをわすれられるからです。


ついしん。どーかいんぽのぼくが死んだらおはかにバイアグラのおくすりをそなえてやてください。しんかんせんのぞみより フミコフミオ