Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

社内で窮地に立たされている。

窮地に立たされている。どういうわけか競合他社へ移るよう社員を扇動しているとボスに疑われているのだ。断じてそんなことはない。愛社精神など持ち合わせていないが、競合他社へ推薦できるほど能力のある人材はいないし、そのような人物を推薦したら僕の株が大暴落することは目に見えている。第一、他人の人生に進んでタッチしたくない。冷血なのだ。社員の退職が相次いでいる状況に乗じてリストラを敢行しようとしているのであれば、辞めた人間がどこへ行こうが気にしているのを表に出さないでほしい。慢性的な人員不足を、不採算事業所から手を引き、浮いた人員で埋めることで解決しようとしたが、実際には自主退職する人がそれを上回るペースで増えているので僕がどれだけ不採算事業を整理しても追い付かない状態だ。売上減。人員不足。社内の雰囲気、最悪。社員の怒りの矛先はリストラ担当の僕に向かっている。社員をひきとめられない会社そのものに問題があるのがわからないらしい。きっつー。そのうえで錯乱したボスが僕が社員を扇動していると思い込んでいる。十時砲火地獄。錯乱により知能レベルが猿程度まで低下したボスが僕にこんな提案をしてきた。「辞めた人間をもう一度呼び戻せないか?」日々胃痛に苛まれながらリストラを敢行している僕に対してである。なんて器が大きい男なのだろうか。器のサイズに脳みそが追い付いていないが。ボス猿が「俺、日本猿辞めてモンキーになるわ。これからはモンキーだよ。今後は英語でしか交渉しないよ」といって去っていった下僕猿を日本語で呼び戻すだろうか。猿以下だ。さらに、前在籍時よりも高待遇を約束するという。まただ、と思う。社内で「ナチュラル定期昇給」と揶揄されているが、弊社には出戻り社員が無条件で在籍時よりも高待遇で迎えられるという謎慣習がある。ボス猿理論によれば《高待遇で出戻りした社員について長く会社に勤めている多くの社員達が「くっそ。出戻りには負けない」という気概を持って働くようになり業績はアップするはず》だが、人間とは楽な道を選ぶ怠惰な生き物でございますので、長く勤めている社員も将来的な出戻りを狙って退職するという悪循環に陥っている。猿猿猿。どいつもこいつも猿なのだ。僕はボスの提案を否定した。すると「扇動してないなら呼び戻せるはずだ」「火のないところに煙は立たぬ」というワンダーな思い込みでますます僕を疑う猿。結局、競合他社へ移るよう扇動していない証拠を出さなければならなくなった。無いことを証明することほど難しいものはない。肝心なものは立たねえくせに窮地に立たされている。まとまった金があれば躊躇なく辞められるけれども、退職金は一円もない。(所要時間12分)