Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

Hagex事件の判決を受けて

令和元年11月20日、僕の数少ないネット友人であるブロガーHagex(ハゲックス君)が巻き込まれてしまった事件の判決が出た。判決や公判の内容や量刑については、報道されているとおりで、「もっと重い罪を」と考えるのは被害者と距離の近いところにいた人間の感情が出てしまってフェアではなくなっているので、あえて何もいわない。アンフェアな犯罪についてもフェアに厳正に対応するべきだ。それでも、判決が出たのは、ひとつの区切りなのは間違いないので、今、自分なりに考えていることを気持ちを整理させるためにも、まとめておきたい。


言われているように前例のない事件だ。ネット上のトラブルを発端に死傷者が出る事件はこれまでもあったが、どれも加害者と被害者との間に、ある程度の直接的な関係性が認められるものだったからだ。この事件は加害者と被害者との間に直接的なやりとりはほとんどなく(加害者からはそうではないらしいが)、サービスを提供している会社への通報をしていた者とペナルティを受けた者という間接的な関係性から、逆恨み的に、通報していた者のなかでいちばん目立っていた被害者をターゲットにしたという点で前例のない事件であった。僕個人としては勝手にヘイトを募らせた加害者によるテロだと考えている。

前からここで言っているとおり、僕は昨年6月、事件が起こる直前、ハゲックス君と連絡を取り合い、実際に会っていた仲であった。僕らが会っていた昨年3~5月あたりは彼が加害者の行為を通報をしていた時期であり、ネタにしていた時期だ。当時、彼と酒を飲みながら話す内容は、ほぼすべてインターネット上の出来事であり、加害者のことも話題に上がっていた。《問題行動を起こして周りに迷惑をかけている面倒なヤツがいる》《通報をして迅速な対応をしてもらった》《あの執拗さは少し厄介かもしれない》そんな認識であった。

うっすらとだが《厄介さ=ヤバさ》は認識していた。それは間違いない。だが、そのときもっと用心しておけば良かったというのは結果論だろう。そのときの、うっすらとした「ちょっと厄介な奴かも」という認識は間違ってはいなかった。だが、あの時点で凶行と繋げる想像力をもった人間はいなかったのではないか。僕らは、インターネット上の事案に慣れていたので、加害者を《いつぞやのあのタイプに近い》と分類して終わらせていた。

もし当時、「加害者を過小評価せず、いつものあのパターンに落とし込まないほうがいいかもしれないよ」とハゲックス君に忠告できていたら…という後悔はずっと消えないだろう。まさか、今までにいないタイプの、ネットで自分勝手に憎しみを募らせて現実でテロを起こすような人間だったとは。もし前例があれば、想像し、予測することも出来ただろう。加害者の顔や姿は知らなかったけれど、存在を認識することはできていたので、後悔してもどうしようもないけれど、なんとかできなかったのかという後悔しかない。前例のない暴力で、友人を喪って、今後起こるかもしれない同様の事件の前例にしてしまったことは、僕にとって痛恨の極みであって、「彼のためにもこれを教訓にしなければいけない」なんて今はまだ言えない。