超チルなサラリーマンを目標に4年前中途入社してから順調にやってきて、生え抜きと老人で占められた幹部に抜擢され、営業部門の責任者を任されてきたけれど、マジで失脚しそう。詳しくはいえないが、社内で大きな動きがあったのだ。ウチの会社は僕が入社する前、経営が芳しくなかった頃から、金融機関から出向を受け入れてきた。出向者は1年ほど経った時点で幹部社員になるという流れが出来ている。その流れから社内で勢力を持っているのが専務派であり、先述の社内の動きに乗じて専務派が攻勢にでているのだ。そのうちの一人、去年の春から出向してきた50代の人事マンが、夏から正式に社員となった。無論、専務派。その彼が、突然、僕に牙をむいた。「一年ほど、営業部長の行動を監視させてもらい、いくつか問題を発見しました」といってヒアリングを行いたいと言ってきたのだ。営業管理ソフトと社用車のドラレコGPS管理で僕の行動を一年間チェックしていたらしい。僕は聖人ではない。想像的な倶楽部が立ち並ぶ風俗街を駆け抜けたり、パチンコ屋でトイレを借りたり、休憩時間にアダルティックな店でブルーレイを買ったり…といった見る人によってはグレーに見える行動が思いついてしまう。きっつー。
新しい場所で己をアッピールするために、ターゲットを見つけ、そのターゲットを踏み台にする方法を僕は否定しない。自分はやりたくない方法だと思うだけである。だから人事マンから、監視してましたよー、問題ありましたよー、と告げられて、僕自身がターゲットにされたとわかったときは、「ついにターゲットにされる価値の人間になったのだ…」と軽く感動したくらいだ。おそらく、人事マンは部門長レベルで最年少かつ唯一の中途採用者かつ専務派ではない僕を貶めることが最高のアッピールになると考えたのだろう。ただの凡庸な人事メーンだとばかり思っていたのに悪事を働くとはね、お見それしました。僕に出来ることは、チェックされたであろうグレー行動のグレーの濃さを薄めるべく適切な弁解を重ね、人事マンに尻尾を振るかのように、今後は専務派の末端として社内で目立たないように誓うこと…などではない。僕に目をつけたことを後悔すらできないよう人事マンを殲滅することである。
個人ヒアリングで人事マンは、営業管理ソフトと社用車の記録から僕の行動をピックして、「もっと効率的な営業活動をすれば成果もあげられるのではないか」「5分の商談のために客先へ足を運ぶ必要がありますか」「最短ルートを通らずに繁華街を通る理由はなんですか」などとくだらない質問をしてきた。馬鹿なのだろうか。馬鹿なりに余裕があるように見えたので、隠し玉があるのかもしれない。僕は、どんな回答をしても、あげ足を取られるのが目に見えていたので、それらのくだらない質問には直接答えず、「部署としても個人としてもノルマは達成しているので問題はないかと」と前置きしたのちに、「貴兄の期待するような行動を採って数字が下がったときにどう責任を取られるのか教えていただけますか」「営業管理ソフトはあくまで営業部門の生産性アップのために導入したツールであって個人を監視するためのものではありません。その点についてどういう見解をお持ちですか」と質問で返した。反撃を予想していなかったのか、質問に答えろ的なことを繰り返す人事マンに、僕なら貶めようとする相手の行動を監視するなら、決定的なものを掴むまで相手にバレないようにしますよ、決定的なものが見つからなかったら監視をやめる、監視していたことが問題になってしますからね、監視が正当化されるのは決定的なものが見つかったときだけですからね、と監視のいろはを教えて差し上げたら、彼は「専務には報告をあげておくから」と言って黙り込んでしまった。
こうして人事マンとの緒戦は互いに遺恨を残すかたちで終わった。僕は監視されている。営業管理ソフトと社有車記録と会社で持たされている携帯の通話記録で。意外と仕事に対してはマジめなので、監視されても問題はないはずだが、あげていない足を強引に上げられてあげ足を取られることはおおいにありうる。しんどいのは、ただ仕事をしているだけでストレスを感じることだ。監視されていることがわかってから、頭痛、声のかすれ、耳鳴り等の症状が出てきて、なんだか体調が良くない。とはいえ、僕は会社で生き残るために、好きでもない人間と迎合するつもりはまったくない。殲滅するか、失脚させられるかの2択。ミスをしたら、即、失脚もありうるという状況に今、僕は置かれている。きっつー。(所要時間27分)
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