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Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

派遣切っちゃった…

日記
派遣社員の人が突然来なくなった。前々からウチの営業部は人材流出の歯止めがかからない。新しい人間が来ても短期間で辞めてしまう。それならせめて営業事務の穴埋めにってんでこの夏から派遣会社に頼んで来てもらっていた。三十代の快活な女性だ。名前は仮に派遣さんとしておく。

ウチの場合、逃亡や失踪などで何の連絡もなしに会社に来なくなる社員は特別に珍しくないけれども、派遣さんはいい感じの人柄であったし、任せた仕事は一生懸命きっちりこなしてくれていたし、何よりも仕事に穴が空いてしまうのは困るので放置できるはずもなく派遣会社に連絡を入れてみた。

予想通りだが派遣会社も派遣さんの動向を把握していなかった。つーか電話をするたびに担当が退職して変わっている派遣会社に対する不安が僕の中でまた大きくなる。半年間で3人目?もし僕が転職するときでも派遣会社だけは辞めておこう。ハードそうだ。担当者たちが何だか魂が抜けたような声をしているのも気になる。

3代目Jソウル担当者は申し訳ありませんと謝ったあとで、2代目から何も聞いていないのでどうしようもありませんでしたと僕には関係のない事情を伝えた。それから3代目は、今現在代わりの人間はいないのでそちらで耐えてくださいと言った。耐える?何で?ウチが?納得いかないので3代目に「君が来てよ」と言ったら、「行ければ行きたいところですが私には別に行かなければならないところがあるんです」と使命感に満ち満ちた声で言い切った。話はそこで終わってしまった。

以前、派遣さんは「私は学卒で仕事も正社員に負けない自信があるのになぜこの年齢まで安い給料の派遣で働いているのかわからない」と僕に愚痴ったことがある。僕には、ウチの会社は退職金も福利厚生もない、この2年は大赤字でヤバいよ、と慰めの言葉をかけることしか出来なかった。でもね。今はわかる。どんなに仕事が出来ても、学歴があっても、休むとき辞めるときに連絡が出来ない人はダメなのだ。そのへんが彼女を派遣さんに留まらせているんじゃないのかと僕は推測している。


目下の課題は派遣さんの仕事の穴埋めである。誰か!と周りを見渡してみても皆々様顔をデスクに伏せたりスマホでゲームをやっていたりする。そもそも主のいないデスクの方が多い。月初の営業事務を放置しておけるわけもないので、課長である僕が派遣さんの仕事を埋めることになった。


何より僕は派遣さんが帰ってこられる場所を残しておきたかった。社員とか派遣社員とかアルバイトとか立場の違いはあれど僕たちは仲間なんだ。チームなんだ。仲間は守らなければならない。僕は派遣さんが帰ってこられる場所を残しておきたかった。そのためには業務を停滞させて上席に目をつけられるような事態だけはさけなければならない。僕の裁量で何とかしなければならない。正社員の穴を埋めるために頼んだ派遣社員の穴を埋める中間管理職。僕の仕事を穴を埋めをしてくれる人はいない。僕の背後にあるのは墓穴だけ。


結果からいうと当該営業事務の仕事は楽勝であった。僕が有能すぎるのか派遣さんの仕事がアレなのかはわからない。たまたまかもしれない。でも事実として僕本来の仕事の合間で十分に片付けられた。派遣さんの一生懸命な仕事ぶりはなんだったんだ?今のところ経理や総務に回した書類に問題はない。上の人たちは「派遣さんいらなくね?」と言いはじめている。営業部員の仕事は増え、派遣さんの帰る場所はなくなり、会社は労務費カットに成功。何もかもがうまくいって僕は嬉しい。サイコー。


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・「かみぷろ」さんでエッセイ連載中。

「人間だもの。」

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「フミコフミオの夫婦前菜」

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