Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

専業主婦化する妻と失われた1200万円

妻が僕に心配をかけたくないという理由で相談もなく仕事を辞め専業主婦となってから10日ほどになる。
 
 
先日、帰宅するとマンションの照明が全部消えていて、うわ、事件性!つって焦って部屋に入ると闇の中に妻がカーペットを爪でガシガシひっかきながら座っていた。ノーメイクの妻はノー眉毛。ノー眉毛で色白の女性が闇に半分溶けているのは至極不気味であった。
 
 
なぜこのようなことをしているのか理由を聞くと、当日朝の僕の発言が原因だそうで。その発言とは「君が仕事辞めると生活が苦しい。お金がないよ、余裕がないよ」というものだった。真実である。正直、何が問題なのか僕にはちょっと分からなかった。
 
 
妻が言うには、生活費削減のために、照明を落としテレビの代わりにラジオをつけるなどして電力を極限まで落としているとのこと。その裏には「私があなたに心配をかけないように気を遣っているのに、あなたは何ですか。金がない。苦しい。そんなことばかり言って。少しは私の身になって考えて欲しい」と言う主体思想があるらしい。
 
 
いまいちよくわからない。世帯収入が減るのは確実事実。使える金が少なくなるので、今までのような生活ができなくなるのは自明のことではないか。そんな意識の流れから出た僕の「少しばかり照明を切っていくらになるんだ」という発言がトリガーになったらしく、こんなことは申し上げたくありませんが、と前置きしてから妻は「主婦のやる家事がどれだけ収入になるか知っているおりますか」と抑揚のない声で聞いてきた。知らないと正直に告白した僕に浴びせられる「1,200万円」の声。
 
 
それから妻はあなたの年収から1,200万円をひかなければいけないところをそんな野暮な事はせずに私は家事をこなしている、つまりあなたは1,200万円得していることになる。これはなにを意味するか理解力がないあなたのために丁寧に申し上げますとあなたの生活は苦しくないということになるんですと衝撃的な事実を付け加えた。ナルホド、ソッカー1,200万円ゲットだね。僕はなんだか納得してしまう。つーか納得することにした。人生には理屈ではなくバカにならなきゃいけない時もあるのだ。専業主婦最強すぎる。逆らってはダメだ。
 
 
とりあえず朝の発言を取り消すべく「君が働かなくても全然大丈夫。今まで以上に金を使おう。浪費しよう。何も心配はいらないさ」といって以来「大丈夫?現実を見てよ。お金がなくてクルパーになっちゃった?」とクルパー扱いされ続けている。僕はどうすればいいのだろうか。もしかしてだけど妻のカメレオンのように変化する機嫌にあわせていかなければいけないということなのか。そんなムリゲーを皆やっているのかよと、長年、専業主婦と戦っている人生の先輩たちへの尊敬の念は強くなるばかり。こんな論争を繰り広げてヒートアップしたカラダを冷やすように、このあと滅茶苦茶セックスしなかった。
 
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「フミコフミオの夫婦前菜」