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Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

社畜にさえなれない君へ

 日本社会を支えているはずのサラリーマンは昨今、蔑ろにされすぎではないかと思う。僕は、この大型連休もテニスサークルの合宿で休んだ学生バイトの穴埋めの休日出勤で終わってしまった。管理職を理由に手当はない。取引先に迷惑をかけるわけにもいかない。課長という立場を利用して同僚や部下を休日出勤させようとしたが、彼らは全員申し合わせたように電波の圏外にいたので、結局、僕が休みを返上することになったのだ。こんなサービス残業・休日出勤に従ずるサラリーマンは、一昔前なら愛社精神あふれる模範的社員と賞賛されたのだが、現代では会社に飼い慣らされた社畜と各方面から揶揄される。つらい。
 
 会社に頼らないで生きていけるような優秀な人が「残業自慢、社畜自慢はチラシの裏だけにしておきたまえ。それはただのマネジメント能力の欠如だ。みっともない」と言ってくるのもよく分からない。会社に縛られないワークスタイル。フリーな働き方。そういうのをアッピールする、社畜になることがないエリート=強者が、アスファルトに咲くクチナシの花のように何も言わずに働く社畜を攻撃する。あゝ無情。
 
 僕には日本経済をリードする無職やニートの人たちがサラリーマンをバカにする理由もよく分からない。働くのも働かないのも個人の自由だと僕は考えているので、彼らに対しては何の感情も沸かないというか、相手にしていないので、社畜にさえなれない彼らから働き方を社畜と揶揄されるのはどうも納得がいかない。あゝ無職。
 
 日本経済をニートする無職も、優秀なエリートも、己の正当性を証明するために社畜的なるものを叩いているように僕には思える。無職からみればエリートは圧倒的すぎて敵となりえず、エリートからみれば無職は……なので相手にするだけ損。結果的に手頃感のある社畜が標的になるのだ。社畜的な働き方をしている会社員の立場から言わせていただきますなら、放っておいてもらいたいというのが本音で、「辞めればいいのに」と仰るのであれば転勤なし秘書付き年収一千万超のオファーと共に責任感を持って発言していただきたいものである。それぞれの自由を尊重すべきなのだよ。
 
 このように社畜を擁護しているが、当の僕は社畜にさえなれなかった。僕と同じように休日返上していたベテラン課長に「ホント参りますよねー。手当貰わないとやってらんないすよねー」と話しかけると彼は「いや、別に…」とだけ答え黙々と業務に当たっていた。そんな彼を少しだけカッコよく思ってしまう僕の気持ちの中にこそ社畜を生み出す原因はある。
 
 けれども僕は彼のように黙々と残業、休日出勤するような社畜にはなれなかった。行儀良く真面目なんて出来やしなかった。連休前に上層部から課長・係長以下の管理職手当のない社員宛に休日出勤しないよう秘密裏に通達が出されていたのを知った。クソ。信じられぬ大人との争いの中で許しあいいったい何わかりあえるだろう?そして上層部に対し「ローキショ行っちゃいますよ!」と半ば恐喝めいたことを言って、休日出勤したスタッフの手当を勝ち取ってしまう僕。到底、社畜になれない。残業残業残業休日出勤休日出勤キモティー!これだけやっても僕はただの反乱分子。社畜にさえなれない。悲しい。
 
 先ほど、大型連休中のデータが出た。売上、対前年比40パーセント。上層部を含めた誰もがこの辛すぎる現実を直視しようとしていない。天井を見上げて目を見開いたままの同僚。「父さんの会社、倒産かも」家族に絶望的な電話をかけだす同僚。僕が勝ち取った手当も多かれ少なかれ会社を圧迫するだろう。もし、会社が無くなったら、僕は社畜どころかただの畜生でしかないのだ。