Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

我輩はゲスである

流行り言葉を使いすぎるのも考えものだ。今なら「ゲス」や「格差」がそれに当たるのだけれども、条件反射的に使うのは本当にカッコ悪いなあ、ダサいなあ、イモいなあと思う。なんでもゲス。とりあえず格差。乱発されるMK5。うざすぎるぷんぷんビーム。「いやあフミコ課長との給料格差がひどいっすよ~」などと誰が見ても一目瞭然単純な性能差からなる賃金の違いを格差なる言葉を使って自分保護している人の多いこと多いこと。


「ゲス」という言葉も本当に有能で適当に使ってるだけで何か言えちゃってる感がする。言葉に頼りっきりになってしまうのだ。それは思考停止とそれほど変わらずチョベリバ。当たり前田のクラッカーだが通常「ゲス」は批判的な文脈で使われるものだ。しかし最近は使われる頻度が激増したおかげで「それゲスくね?」「ゲスいわあ(笑)」などと肯定的な文脈で使われることも多くなってきて意味がとてもファジーになってきていてマブい。



僕の場合、人生において常に批判にさらされてきたのですっかり耐性が出来上がってしまったこともあるが批判的な意味合いで「ゲスすぎるだろ」と言われても、ドM体質に加えゲスいことを自覚的にやっている自負もあり、ほめ言葉としか受け取れない。これもゲスという言葉の有能さ故である。本当に相手に自分の考えを伝えたいのであれば思考停止せず自分の言葉ですることだ。死ね!ボケ!バイビー!カス!チャンネーと花金に遊びたい!オールナイターズサイコー!と。そちらの方がずっとナウい。


ここまではゲス受信について申し上げてきたがゲス発信をする際はより慎重さが求められる。たとえば若いイケメンの言う否定的な「ゲス」がどこかスタイリッシュで壁ドン的な効果・世界観すらはらんでいて世の女子を濡らすことさえあるというのに、経年劣化以上の速度で劣化した僕のようなただ小汚い中年の言う肯定的な「ゲス」はお金で少女の性を買っている的なおぞましい汚らわしさをもって必要以上にゲスく受け取られてしまい、悲しみのあまりアジャパーになる。


このように相手に何かを伝える際に流行り言葉に頼りすぎるのはよろしくないときもあるのである。肝要なのは「ゲス」を使うときに何を、どう考えているかを意識的に持っていないとダメだということ。そんなことをザギンの喫茶店でヒーコーを飲みながら考えていたなう。(所要時間19分)

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「争わない」という戦い方について

会社が持ビルを売却して大変ショックを受けている。一刻も早く逃げ出さなければならぬ。そんな焦りを感じている。その焦りは「会社ヤバい」というありふれた危機感からではない。テナントで入っていたキャバクラに社割いわゆる社員割引で行けなくなるという、より重大でプリミティブな理由からである。


この売却を担当していたテナント部長とテナント課長の間も、上層部からの重圧と現実に挟まれてかなりしんどかったらしく、相当険悪な関係になったうえ自称軽いノイローゼ。そして昨日、遂に2人は爆発した。社内で言い合い。罵り合い。呪い合い。最終的には取っ組み合いをするに至ったのだ。オッサン同士の争いは醜い。手足を動かすたびにワイシャツから放出されるむせかえるような加齢臭。静観を決め込むつもりであったがオウム事件以来異臭騒ぎに敏感になっている僕は彼らの間に割って入り「屋上へ行こ」「屋上へ行こ」「屋上へ行こ」とサラリーマン金太郎メソッドを駆使して鎮圧したのである。ちなみに屋上には出られない。冷静さを欠くと屋上すら忘れる。みっともないことだ。


こうしたトラブルで損をするのは常に弱い立場の方。部長と課長なら言わずもがな。想像しうる汚い言葉により彼は心を病んでしまい会社に来られなくなってしまった。実のところ2人がどうなろうと知ったことではない。社員旅行の大浴場で確認したかぎりでは2人とも僕よりも立派なモノを持っていたからだ。そそくさと内股小走りで湯船に向かう僕を嘲笑するかのように2人はそれを隠そうともせずに闊歩していた。僕は終生消えることのない痛みを覚えた。あのときの屈辱を1日たりとも忘れたことはない。もろともこの騒動で失脚してくれれば、監視密告しあうライバルが減り残り少ない会社での日々も多少は快適に生きられるのだが、などと自分の保身のことだけを考えていた。冷酷なのではない。正直なのだ。なので2人の仲介を命じられたことは僕にとって苦痛でしかなかった。きっつー。


仕方ないので出社してきた者には「あなたのせいで余計な仕事が増えてしまった。このせいで転職にしくじったら一生恨むからな」と自分の立場だけを考えた助言を与え、インスタント引きこもりには「会社に来なくてもいいなんて、会社に行きたくない僕からみれば羨ましいかぎり。気の済むまでどーぞ」と相手をリラックスさせるために僕自身の正直な気持ちを与えた。《仲間内で内ゲバめいた足の引っ張り合いをしているからキャバクラを売るはめに陥るのだ》そのような批判に対しては決して引っ張り合いではないと答えることにしている。僕は一方的に相手の足を引いているだけなので引っ張り合いに当たらない。僕の年齢になるとわざわざ利のない戦に乗じることはないのだ。


大事なのは自分の予測の範囲内でうまく立ち回ること。今回ひとつ予想外だったのは、心を病んで出社出来なくなったのが上司の側だったことだ。己が口にしたおぞましい悪口のなかに悪魔を見て心を病んだそうである。付き合いきれん。この疲労はキャバクラでしか癒せないがもうそれも、かなわないのだ。(所要時間22分)

花束を君に

当たり前の、何気ない、毎日の暮らしこそが尊く、美しい。そんなことに気づくのに40年もかかってしまった。今、僕は忘れてしまいがちな、素晴らしくもありふれた生活に花束を贈りたい。そう、マジで思っている。
 
今日、会社を休んだ。普段より遅い朝でも、いつもと同じようにフジテレビ系列の「めざましテレビ」。妻のお気に入りは愛犬紹介コーナー「今日のわんこ」。コーナーの始まりをキッチンにいる妻に知らせるのが僕の役目。「今日の○ンコ始まったよー」「はーい!○ンコ~ちょっと待って~」
 
僕はコーヒーをすすりながら、彼女はエプロンの裾で濡れた手を拭きながら画面を見つめた。画面の中で散歩する雑種犬。子犬時代の写真。ありきたりの幸せなエピソード。「この○ンコ、子供のときは白くて可愛いのに、なんで大人になると黒くなっちゃうんだろう?」彼女は言った。
 
僕は適当に相槌を打ちながら早起きして皮を剥いたタマ○○について考えていた。ネギは長ネギよりも断然タマ○○。長ネギの長さとタマ○○の硬さが両立すればいいのに。皮を剥いたタマ○○はいつも僕を悩ませる。やれやれ。視線を落とした先にはボロボロの○ックス。テレビには北朝鮮のミサイルの映像。よく見ると先月の発射映像。近いうちにまた発射するらしい。将軍様のバースデーミサイルの火を吹き消すことは出来ない。世界の誰にも。
 
「これ何?」と彼女は訊く。「北朝鮮の、いや、金○○のミサイル」と僕は答えた。「凄いの?金○○のミサイル?」彼女の声の鋭さに思わず驚く。「大型で危険。射○数千キロ。何発もある」「そんなに射○長いの?」「アメリカに届くヤツもあるらしい。安保に影響あるよ」「○ンポ?」「○ンポ。日米○ンポ」チン黙が僕らを包んだ。「金○○の、長い、射○」彼女は一語一語、まるで重要文化財に指定された庭園に置かれた踏み石を一歩一歩踏むように、丁寧に紡いだ。
 
「じゃあイッてくるね」彼女には学友と○ンチする約束があった。テラス席でオシャレ○ンチ。「○ンチ楽しんでおいで」僕は彼女の背に声を掛けて送りだした。ひとり残された部屋で僕は皮を剥いたタマ○○を弄りはじめた。このように何気ない日常も、見方によってはエロチックな美しさをたたえるのである。僕は自分のどうしようもない人格に菊の花を供えたい。(所要時間16分)
 

胎教をはじめた。

胎教をはじめた。まだ見ぬ我が子にクラシック音楽やヒーリング効果のあるミュージックを聞かせるのだ。子供の健やかな成長のために。42才の現在まで神童と言われ続けている僕と比べられても恥ずかしくない、授業参観で鼻高々になれる子供であってほしいという親のエゴのために。僕と妻は完全なレスなので胎児などいない。処女懐胎、あるいは湯船の中でキタチョー遊びをしていて「エキゾチックジャパン!」と叫んだ勢いそのままに肉テポドンを誤射したことがあるのだがその後続いて入浴された妻が億千万の確率で懐妊されていれば話は別だが。


「備えよ常に」これはボーイスカウトの創始者パウエル卿の言葉である。この言葉はボーイスカウトの下部組織であるところのカブスカウトを体験入隊3日目で逃げ出した僕の心にもしっかりと刻み込まれている。僕はその言葉の奴隷。さあ子供に備えよう。胎教するぞ胎教するぞ胎教するぞ胎教するぞ、つっても肝心要の胎児がいない。ならばって始めたのがまだ僕の中にいるオタマジャクシ以上子供未満の素敵な奴らに対する胎教である。


深夜。僕が大好きなメタリカやビル・エバンスやムソルグスキーをiPodに繋げたミニスピーカーで股関に聞かせてみた。効果を最大化するためにパンツははかない。ミニスピーカーの微かな振動が冬眠中の僕の男を刺激する。ボリュームを上げれば上げるだけ振動は大きくなり刺激は強くなった。ヘブンに近づいている気がした。しかし太陽に近づきすぎたイカロスが羽根を焼かれて墜落したようにあれがレスの僕もその堕落ぶりを妻に見つかってしまう。さよならヘブン。


音がうるさいというクレームであった。しかし胎教をやめるわけにはいかない。ここでやめたらただのバカだからだ。子供のためではなくエゴのため、何より気持ちエエことのために。深夜。家人が寝静まったあとに僕はすべてを脱ぎ捨て、これはサイズが小さい男性や敏感な男性にはなかなか想像しがたいと思うが、腰を振り振りして僕自身をすぱーんすぱーんと打ちつけた。全裸パーカッション。DIY胎教。ときおり「サンバ!」「アミーゴ!」「はっ!」「うっ!」と気合いの声を上げる。熱くなりすぎないよう時々ドアを開けた冷蔵庫の前ですぱーんすぱーんすぱーん!


この胎教がうまくいくのかどうか僕にはわからない。チャンスがあるのかどうかさえ。ひとつだけ言えるのはこれが原因で出血性膀胱炎になり血尿が出るようになってしまったことだ。胎児なき胎教。その荘厳な言葉の響きは、僕に国境なき医師団の気高さを思わせる。(所要時間12分)

42才、転職失敗のリアル

認めたくないが転職に失敗したらしい。最後の希望、返事待ちになっていた会社からお断りのメールが届いたのだ。お約束の「今回はご縁が…」メール。ピュアな僕はその文面を信じて「今回というなら次回がありますよね。いつでしょうか?」と返事を出しておいた。今回は残念な結果になってしまったがいい関係が築けたら嬉しい。

 

今年2月からの転職活動で面接まで辿り着いたのは計8社。この数字が多いのか少ないのかわからないが自分なりには老体に鞭を打って頑張ったほうだと思う。僕はプライベートでサーフィンをやっているのだが、サーフィンと転職活動はどことなく似ている。日焼けしてカブトムシ色をした小汚いサーファーたちと大きな波を待ち続け、波が来たら、挑む。うまく乗れなかったらまた次の大波が来るのを信じて待つ。そこにあるのは信じることだけだ。

 

転職活動もここからしばらくは凪に相当する時季になるようだ。転職活動中に採用担当者から言われたのだが、4月から5月の新入社員がやってくる時期にフォースの暗黒面に堕ちた僕のような中途採用がいると新人が汚染されていまうから出来るだけ避けたいと言われた。汚染物質扱い。きっつー。フレッシャーズ許さん。

 

確かに僕は暗黒面に墜ちている。転職にしくじったのも強すぎる猜疑心。皮肉の多さ。執拗さ。抑えきれない煩悩。それら暗黒面に起因している。どれもこれも先天的なものなので親を恨むしかない。今、転職失敗の分析を自分なりにしている。猜疑心と煩悩が主要因だと思われる。たとえば各転職サイトの経歴書的なものを記入しようとするとき《経歴や資格だけでなく興味あるものやりたいことをアッピールしていきましょう!》と極めてアッパーな説明文があるのだけれども人生の折り返し地点を越えた僕は困惑するばかり。やりたいことは皆無。やりたくないことしかない。

 

さすがにそう記入するのは人として終わっているので空白のままにしておく。すると《経歴書に不備があります!》《不備アリ!》《不備!》と色文字で警告を受けてしまう。確かに空白はよろしくないと反省し無理矢理考えてみる。やりたいこと。やりたい。やりたい。女子大生。いかんいかんそれは。やりたいこと。やりたい。やりたい。女子大生。あふれんばかりの煩悩のせいで、やりたいの先には女子大生しか浮かばなかった。はたして経歴書のやりたいこととして女子大生を挙げてもいいのだろうか。僕にはわからない。やれやれだ。

 

ここで強い猜疑心が発動してしまう。《やりたい 女子大生》と記入したら、おそらく危険人物としてマークされ、秘密裏に労働基準法で禁じられている「秘密の記号」を付与されブラックリスト掲載、それが全国の事業主に配られて社会的に抹殺されるにちがいない。このように強力な煩悩と猜疑心により経歴書を埋めることさえかなわない。面接の際は自分をアッピールすることを忘れてまで相手の弱点や矛盾を探すことに集中してしまう。このように呪われた性分をしているので転職活動がなかなかうまくいかない。

 

だが、反省は出来ている。今は準備を整えて次の波を待ちたい。なお、あたかも辛抱強く波が来るのを信じ、トライし続けるサーファーであるかのように語ってきたが嘘である。実際の僕は海岸に腰を下ろしたまま「あーでもない」「こーでもない」と波評論をするだけでなかなか波に乗らず、次の波を待つうちにタイムオーバーになってしまうような消極的スタイルのサーファー。目の前の波を信じられないダメ・サーファー。転職活動もサーフスタイル同様に、面接中に次の会社の方が良いのではないかという疑いが頭を支配してしまう。次、次、次。そう思って適当にやりすごしているうちに気が付いたら転職にしくじっていたのである。(所要時間19分)

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