Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

超人たちの夕べ


 太陽が沈んでしまうと、昼間の暑さがまるで嘘のように涼しくなる。そんな夕べに、同僚と、「キン肉マンでいえば、僕らはビッグ・ボンバーズでいいよね」「2000万パワーズや、はぐれ悪魔超人コンビみたいにデキる方じゃあないし」「派手なの疲れるもんね」「しょぼいけれど、ひっそりと表に出ないように生きて行きたいよね」「身分相応、身分相応」なんて、やけに枯れた会話をしながら会社を後にした。平和で、穏やかな夕べだった。


 ただ、そんなまったりした時間のなかで、二人の役割分担について、僕らは多少揉めた。ビッグ・ボンバーズを構成するスペシャルマンとカナディアンマン。僕らの意見は、「スペシャルマンだけは嫌、カナディアンマンの方がいい」、という点で完全な一致をみた。理由は、両超人とも最弱レベルなのは疑いようのないところだが、カタログスペックでみると、カナディアンマン超人強度は100万パワーもあって、パワーだけは主力級の超人と肩を並べるのに対して、スペシャルマンのそれは60万パワーしかない、からだ。僕らにもちっぽけながらプライドは、ある。


 結局、醜い論戦のあと、僕の方が頭蓋骨の形状が似ているという名誉毀損的理由によって、スペシャルマン担当になった。僕らの争いは、チエの輪マンとキューブマンの名バトルに匹敵するものだったと思う。こんな、女性にモテそうフェロモン満載な会話が出来るなんて、本当にいい職場だ。