Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

ブスの本音がムカつくワケ。

ブスに面と向かってブスと言えたらどれだけ楽だろうか。僕の苦悩のほとんどはなくなるのではないか。そう考えている。


本音を言うことはひどく難しい。社会は建前で動いているからだ。本音ばかり言っていると世の中は成り立たない。滅亡する。国のトップが隣国の女性大統領や将軍に「更年期?」「世間知らず?」などと申し上げるのは戦争になるからもちろん、庶民レベルの会社や学校で「あなたはブスですね」「キミはバカだ」といっていたら社会は回らなくなり滅亡する。ディスカッションなどの前に司会の人が「本音をぶつけ合おう」というのは、限定的に本音を解除してるだけだ。建前っつーのは社会を円滑に回すため、社会と個人を守るためのルールで、本音を言うことは、その全てがそうではないけれど、社会的に防御されなくなることだ。


というわけで僕のような普通の人間にとって本音をズバズバ言うことは難しい。本音をズバズバ言う人は、その本音が正しいとか間違っているとかは置いておいて、僕たち俺たち私たちにはとてもとても言えないことを言っているので憧れられる。憧れられる理由は、その本音の内容ではなく、建前を必要としない強さにこそある。


建前に守られているのに、それに気づかない人がズバズバ本音を言うのは失笑を買う。ブスのいう恋愛論や恋愛術、ニートの組織論や仕事術は代表的なもので、お前何言うてんの?と言うイライラの発火点となり、失笑を買い、炎上するのだ。ブスの恋愛論にイラっとするのは、その内容というよりは、建前で庇護されている己をわきまえない厚かましさに対してだと思う。


加えて、その種の人たちは炎上すら自分に対する評価と変換する特殊な能力を備えているから手に負えない。マイナスの評価ですら、「マイナス評価→イケてる私に対する嫉妬→つまり私のイケてることの証明!」と変換するから手に負えない。何だかこちらがバカにされている気になるのだ。イライラするのだ。


なぜ、このようなことを長々と話しているのかというと、先日、安キャバクラでの出来事が僕の人生に暗い影を落としていて日常生活に支障が出てきているから。帰り際、全く興味もない興味も持ちようもないブスなキャバ嬢に「よかったら今度、飲みに行こうよ」と僕は言った。社交辞令であった。つまり本音ではなく建前。建前は建前で返さなけれればならない。「えー!じゃあまた今度ー」とね。


ところがブスは極めて深刻な顔をして僕にこう言った。「暇なんてないしぃ。つーか、日時を指定しないで言ってくるなんてありえなくね?ホントに課長なの?『よかったら?』はあ?」本音ズバズバ。ブスのくせに。ブスなのに。こちらは気を使って建前、社交辞令を言っているのに、なぜブスだけがズバズバ本音を言うのだ?しかもそれが一見、TPOをわきまえていないとはいえ正論に聞こえるからムカつくのだ。僕は悔しさに打ち震えながら店をあとにしたのだった。


これからは庇護されていることに気づかずにズバズバ本音を言うブスやニートに気を使うのはやめにしようと決めた。お前らは知らないだろうが、お前らみたいに、ブスに面と向かってブスと言えるなら楽なんだよ。なんで苦労しなきゃいけないんだ。お前らだけに楽はさせない、させたくない。


※※
 
twitter
・「かみぷろ」さんでエッセイ連載中。
「人間だもの。」
 
・ぐるなびさんの「みんなのごはん」にてエッセイ連載中。
「フミコフミオの夫婦前菜 」